介護老人保健施設 生き残りのための経営戦略

2020年7月30日配信

カテゴリ:
入居施設

昨今、法改正により経営状況が大きく変化しているのが介護老人保健施設(以下「老健」)です。今後の生き残りをかけて、どのように経営の舵をとっていくべきか。現在の老健の経営環境を整理しながら、今後の展望について船井総合研究所の見解をお伝えします。

本コラムは「超強化型老健転換セミナー」の第1講座より、内容を再構成して作成しています。

  1. 経営環境を変えた3つのルール変更
  2. 老健にのみ与えられた役割とは
  3. 超強化型老健を目指すために意識すべきポイント

経営環境を変えた3つのルール変更

2018年の報酬改定以降、老健の経営環境は以下の3点の影響により大きく変わることとなりました。

  1. 在宅復帰・在宅療養支援等の指標ができた
  2. 強化型老健の在宅復帰が除外された
  3. 療養病床が介護医療院へ転換し始めた

中でも特に大きな意味を持つのが、療養病床の介護医療院への転換です。

介護医療院は2018年に開始し、もともと病院であったものが「第三の介護施設」という名目で介護施設に替わりました。介護医療院と老健は医療対応可能な施設という点がありますが、介護医療院は「慢性期の病院として治療・医療行為を行ってきた」という点で異なります。老健にも医師・看護師は配置されていますが、より医療依存度の高い患者は今後、介護医療院に入所していくことになります。

また介護医療院には、介護療養病床相当のI型に加え老健相当のII型があり、II型は「長期療養、または生活施設」と定められています。一方、老健については、「在宅療養支援機能を持った施設」と定義されています。

つまり厚生労働省の定義上、これまでよく見られた「何年も老健で過ごす入所者」は老健の対象者ではなく、介護医療院II型の対象者ということになります。老健が老健として残っていくには、厚労省が定める通り在宅療養ができるように、リハビリや介護、医療サービスを提供する施設でなくてはならないのです。

老健にのみ与えられた役割とは

老健に求められるのは、入居される方に対して、医学的な管理のもとに介護・看護、および機能訓練、その他必要な医療サービスを提供することです。

昨今、あらゆる施設に「重度者対応」「医療対応」が求めらていますが、在宅復帰、在宅療養支援を求められる施設は老健のみです。介護医療院の開始によって老健の立ち位置は難しくなった部分もありますが、唯一老健に求められる「本来の役割」を担っていくことができれば、入所者の確保に困ることはないと考えられます。在宅復帰を考えている利用者が地域にいれば、老健以外に施設入所の選択肢がないからです。

施設に求められる役割と対応力

船井総合研究所では、在宅療養支援はブルーオーシャン(競合がいない環境)だと考えています。下の図は理学療法士のフィールドですが、リハビリのステージと役割を整理しています。現状の生活の維持は「予防」、何かしらの症状を発症すると「高度急性期」、そこから「急性期」に移行し、「回復期」でリハビリを行い、「生活期」のサービスを受けることになります。介護医療院を含め、多くの施設は「生活期」のサービスを提供しますが、主として「回復期」の機能を持つのは老健のみです。リハビリ職を配置する老人ホームもありますが、在宅復帰の実数が報酬に大きく影響する老健とは力の入れ方が異なります。

リハビリのステージと役割

超強化型老健を目指すために意識すべきポイント

老健に在宅療養支援が改めて求められる今のこの状況は、本来老健のサポートが必要な方にサービスが提供できていないことを意味しています。これまでとは異なる入所者層にサービスを行うというと、現場の職員さんから「今いる入所者を見捨てるのか」と声が上がることがありますが、そうではなく、在宅復帰の支援を必要とする人にサービスを届ける必要があるとご理解いただきたいと思っています。

重要なのは「あそこの施設なら、入所しても対処できるし、退所した後もきちんとしたサービスを提供してくれる」「リハビリはあそこに頼めば改善する」と思っていただける状態をどのように作っていくか、です。ブランドが定着することで施設の魅力が増し、採用力向上、人財の定着にも繋がることが期待できます。

基本型から在宅強化型へのステップ

超強化型への転換は、介護医療院の設置状況等により、すぐに行うべきエリアと時間をかけられるエリアがあります。それぞれの地域特性に合わせたスケジュールを検討頂きたいと思いますが、厚生労働省の定める老健の本来の役割を担い、在宅復帰をサポートする施設として地域に認められることが、今後の老健経営の鍵になると考えています。

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この記事を書いたコンサルタント

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