リゾート地域の介護破綻が意味すること
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世界有数のパウダースノーを誇り、国内外から観光客が押し寄せる北海道「ニセコ」。
2000年代初頭より海外からの観光客が増え続け、移住者も増えている地域ですが、
近年では介護施設の閉鎖など介護会社が破綻したというニュースが報じられています。
1990年代とは明らかに景色が変わって高級ホテルや別荘が立ち並び、一見すると経済的に潤っているイメージを抱きます。
実際、スーパーには3万円の雲丹が陳列され、裕福な外国人が大量購入するなど日常の光景になっているようです。
しかしながら、観光客の増加が必ずしも地域住民の生活を豊かにするとは限りません。
特に介護という地域に密着したサービスにおいては、特有の課題が存在します。
出稼ぎにくる街へ
地域住民の話によると、牛丼チェーン店のアルバイト時給は1,600円以上、ホテル清掃員は時給1,650円以上といったように、介護職の時給1,000~1,200円を大きく上回る仕事が多く存在しており、北海道内から若者が出稼ぎに訪れている状況にあるとのことです。
この現実は、深刻な人手不足に直面する介護業界において、「やりがい」や「社会貢献」といった言葉だけでは人材確保が難しくなっていることを示しています。
牛丼店やホテルの清掃業務と介護職の仕事内容は異なりますが、生活のためにより高い給与を求めて介護職を離れる人が増えても不思議ではありません。
専門的な知識や技術、体力、精神力が求められるにもかかわらず、介護職の給与がその負担に見合っていないと感じる人が多いのではないでしょうか
介護業界が目を背けてはならない「価値」と「対価」
“介護サービスの対価は、基本的に介護保険制度によって決められています。
しかし、「制度がそうだから」と現状に甘んじるのではなく、事業者は積極的に収益構造の見直しを行う必要があります。
そのためにも、独自の収益源を確立し、保険外サービスの提供や新規事業の展開などを通じて、介護報酬への依存度を下げる工夫が求められます。テクノロジー導入による業務効率化も有効です。また、人材に関しては、柔軟な給与体系を導入し、公平かつ透明性の高い評価制度やキャリアパスを整えることが不可欠です。
職員の経験やスキル、貢献度を適正に評価し、明確なキャリアの道筋を示すことで、働く意欲を引き出し、長く活躍できる環境を整えましょう。
給与だけが人材確保の全てではありません。
介護職が長く働き続けたいと思える環境づくりも重要な経営戦略です。
例えば、研修制度の充実、資格取得支援、キャリアアップ支援などを積極的に行い、職員のスキル向上と自己成長をサポートすることも良いでしょう。
介護業界を、その専門性と社会的な価値を改めて認識し、高め合い、働く人が誇りを持ち、見合った対価(報酬・環境)を得られる業界にしていきたいものです。”
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この記事を書いたコンサルタント

久積 史弥
医療・介護業界に精通したコンサルタント。理学療法士資格を保有し、病院勤務、在宅介護現場での経験に加え、管理職として組織マネジメントも経験。船井総研にて、新規事業の推進、事業の最短軌道化を専門とし、実績とデータに基づいたコンサルティングを提供。クライアントの状況を的確に把握し、目標達成に必要な要素をシンプルに整えることで成果を創出します。