こんにちは、船井総研の沓澤 翔太です。
高齢者人口の増加に伴い、これまで介護施設は拡大一辺倒でしたが、2025年を待たずに高齢者人口の減少が始まっている地域を皮切りに、徐々に介護施設の淘汰、M&Aが活性化し始めています。このトレンドは、ライフサイクルでは成熟期の転換点を迎え、展開期に向かっていることを示しています。
ピークアウトを迎え展開期に向かうときには、これまでの経営スタイルを維持することは正しくありません。新しい時流を正しく捉え直し、自社の経営スタイルや事業内容の再セットアップをしていく必要があります。そこで今回は、転換期における介護事業のトレンドを解説していきます。
トレンド①差別化・専門店化
介護サービスが地域に浸透し、価格も底値になり、大衆商品がありふれる状況になったあと、次のビジネスモデルのトレンドは差別化・専門店化となります。これまで「24時間看護体制の老人ホーム」という差別化商品がありましたが、リハビリに強みを持つ老人ホームや特定の病態に特化した老人ホームなど、専門店のバリエーションが増えていきます。また、サービスを提供する側・される側が明確に分かれていて、施設のなかでサービスが完結されてきたこれまでの老人ホームの概念を覆す差別化された老人ホームが人気を集めていくことになります。
すでに、認知症ケア、パーキンソン病、ターミナルケアなどの専門店が存在し、多くの施設が高い入居率を確保しています。また、地域の方々がたくさん集まる老人ホームや、地域のなかで経済活動を行なっている老人ホームなど、一般の方が見てはっきりと理解できる差別化されたコンセプトを持つ老人ホームも人気です。
トレンド②:プチリッチ
老人ホームの供給増加に合わせて、低価格トレンドとなり、すでに底値に到達しているエリアが多くなっています。一方で、仕入れコストや人件費は上がる傾向にあり、利益の目減りを懸念する会社も目立つようになり、アップセルを積極的に検討している介護会社が増えてきました。
かつては他社より金額の高い老人ホームは入居率が上がりにくい傾向が見られましたが、最近は差別化された商品を評価してもらいやすくなっています。全国のご支援先のうち、地域のなかで目立って価格帯の高い老人ホームを運営している会社でも、新型コロナウイルスの影響が出てからも入居希望は増加している数値が出ています。金額が多少高くても、品質の良さや安心感を得ることに重きを置く顧客も増えているようです。
ライフサイクルが転換するときは、これまでの考え方や経営スタイルの調整をし、必要であればビジネスモデルの再セットアップを行なう必要があります。いま経営しているなかで、時代の変化を感じたり、これまでの成功法則の効きが悪くなっていると感じる場合などは、何よりまず最新情報をキャッチアップするための行動を起こすことをお勧めします。
弊社には、2か月に1度開催される経営者向け勉強会である「介護サービス経営研究会」「デイサービス経営研究会」があり、無料お試し参加も可能です。ご興味のある方は、まずはお問合せください。
この記事を書いたコンサルタント
沓澤 翔太
デイサービス、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの新規開設、収支改善、異業種からの介護事業への新規参入支援などを手がける。現在は、主としてデイサービスや有料老人ホームの利用者獲得や新規開設を中心にコンサルティングを行っている。 介護事業のコンサルティングの他、療養病床の転換や訪問診療など、医療業界のコンサルティングや、医療器具の販売促進についても実績を持つ。