今回のコラムは「すごい事例!」のご紹介です。
市の人口が5万人に満たない地方商圏に出店した40室の「介護施設」です。
同規模であれば単月黒字の目安が6~8カ月となる「ナーシングホーム事業」をわずか1カ月で単月黒字、6カ月で稼働率90%を達成している事例です。
日々、全国の凄い事例を探していますが、久々に「おぉ!」と思わず声が出る素晴らしい施設と経営者様でした。
では、早速をご紹介いたします。
【市場】
・地域:東北
・市の人口:5万人以下の
【施設概要】
・居室数:40室(木造・2階建て)
・施設形態:住宅型有料老人ホーム
・併設サービス:訪問介護・訪問看護
・ホテルコスト(施設料金):97,000円~(※保険サービス費は別途)
【主たる入居者】
・要介護4~
・医療依存度の高い方(例.神経難病、末期癌など)
・看取り期の方
次は成功したポイント=「ここがすごい!」ポイントについてお伝えします。
ここがすごい!ポイント①
すごいポイントの1つ目は「採用」です。
オープニングから介護と看護師を計30名以上雇用してスタートしていますが、実は中々できることではありません。
多くの施設では入居者の増加に合わせて第一採用、第二採用といった段階的な入社をとりますが、事例施設ではオープニングで必要人員を概ね揃えています。
驚くことはただの30名ではなく、採用基準を設けて社長自ら面接して見極めた30名なのです。
「申し訳ないのですが入社をお断りをする方も多くて・・・」
の状況でした。
特に他施設との違いは看護師の年齢です。15名程いる内の6割が20~30代と年齢的に若い方が多く、管理者は最年少の20代です。
社長曰く「経験よりも学ぶ姿勢、意欲を重視して採用した結果」とのことです。
募集方法は地域の広報誌を中心に紙媒体で行いました。
建物がデザイン性の高い新築であることも採用に成功したポイントだといえるでしょう。
ここがすごい!ポイント②
ポイントの2つ目は「集客(入居)」です。
開設1カ月で単月黒字というのは中々お目にかかれません。
30名以上の人件費だけでも相当な金額ですので入居者数の確保と高い単価が求められます。
入居において、ナーシングホーム事業では施設が入居基準を設定している場合が多く、事例施設では要介護4・5の方と医療依存度の高い方(末期癌や神経難病など)が中心です。
看取り期の入居者は逝去される場合も多く、稼働率を上げていくには世間一般の施設(有料老人ホームサ高住)よりも入居候補者を多く抱えないといけません。
また、外部の医師、相談員やケアマネなどケアに関しての連携も頻度多く行うことが求められます。
介護度が高い分介護保険報酬だけでも一人あたり30万円程の収益になります。ここに訪問看護による医療保険報酬とホテルコストが加わることで一人あたり100~120万程となっています。
集客の成功要因を付け加えるとすれば「立地」も挙げられます。
施設がある市は人口5万人以下と決して大きな街ではありません。
逆に言えば他に退院後の医療対応ができる施設が全くない、非常にニーズが高かい地域だったのです。
実際、開設前の挨拶周りは社長も行いニーズを感じていたとのことですが、オープン後も相談が多く順調です。
施設事業として、建物の用意、ケアする人の確保、そして入居者募集、この3点が総合的に高いレベルで達成していることが良い結果を生みます。
「細かい想定外の出来事や苦労はありますよ」とのことですが、自信を持って入居をおススメできる施設になっている、そんな充実ぶりを感じました。
最後に、本コラムでお伝えした「ナーシングホーム」について事例を通して理解を深めることができるセミナーを開催しています。リアル開催・オンライン開催どちらもご用意いしているため学びやすい方に是非ご参加ください。
【視察ツアー】週休3日制ナーシングホーム2024
◆日程
2024年11月10日(日)13:00-17:00
◆場所
茨城県水戸市(東京駅から特急で約85分)
講座会場:BIZcomfort水戸(JR水戸駅直結1分)
視察先:ナーシングホームとうはら、ナーシングホームほしぞら
※移動は参加者全員で行います。
この記事を書いたコンサルタント
久積 史弥
理学療法士として病院、介護会社の責任者を経験した後に船井総合研究所に入社。前職では訪問看護事業の営業、看護師・理学療法士など約30名のマネジメントに従事、高収益事業として組織を牽引した実績を持つ。 現在は、介護・医療・保険外と幅広い領域でコンサルティングを行う。新規事業の立ち上げの経験が豊富であり、資格者採用・育成による組織活性化、営業による顧客獲得を得意とし、事業推進の手腕に定評がある。