すごい事例共有② ~赤字の有料老人ホームから利益率20%ホームへ~

2024年6月6日配信

カテゴリ:
入居施設 新規参入 介護 サ高住

今回のコラムは「すごい事例!」の第2弾です。
第1弾も参考にしてみてください。
https://kaigo-keiei.funaisoken.co.jp/kaigo/mail_magazine/%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E5%85%B1%E6%9C%89%E2%91%A0%E3%80%80%EF%BD%9E%E4%BA%BA%E5%8F%A3%EF%BC%95%E4%B8%87%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%A1%97%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%9F/

まずは今回の事例施設の概要をお伝えします。
経営者が起業した2014年に始めたのが42室の「医療対応型」住宅型有料老人ホームですが、
開設から5年間赤字だった状況から見事に立て直し、年間売上2.5億(月売上2,400万円)・営業利益20%を達成するまでに至っている好事例です。

【市場】
・地域:吸収
・市の人口:約11万人

【施設概要】

・居室数:42室(木造・2階建て)
・施設形態:住宅型有料老人ホーム
・併設サービス(現在):デイサービス、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、訪問看護
・ホテルコスト(施設料金):103,000円~117,000(※保険サービス費は別途)

【主たる入居者】
・介護度の高い方(平均介護度3.8、医療特化部屋だけでは4.5)
・医療依存度の高い方(例.神経難病、末期癌など)
・看取り期の方

次は、経営者へインタビューした内容をお伝えします。

身近にあった医療を介護の世界でも実現したい、でも現実は甘くなかった

経営者は大学で政治学を学び、医師である父親に公衆衛生学を学ぶことを勧められて大学院へ進学、卒業後は地元の社会福祉法人に勤め、朝7時から掃除、8時から食事介助をするなど現場業務を学ぶところからスタートしました。

老健に勤めていたことで肌感覚として「医療が必要で、困っている方が本当に多い」と思っていました。
その経験から民間企業として「医療に強い施設をつくりたい」と想いが強くなり、2014年の独立時に建てたのが42床のクリニックを併設した有料老人ホームでした。

当時は周りにない施設として「看護師がいて医療に強いとなればうまくいくだろう」と安易に考えていました。
内覧会は200名以上を集客し、初月から10名程の入居が決まり順調でした。

しかしながら初月以降は入居が増えず、稼働が50%超えるまでに1年近くかかりました。

入居者が増えないだけではなく、内部体制にも問題が起こっていました。
訪問看護の管理者と意見が合わず、1年も経たない内に退職してしまい一度は訪問看護を閉鎖しました。
それからの2~3年は残っている看護師で『無償サービス』を行っていました。

当時はいわゆる「ホスピス」や「ナーシングホーム」というものが全国的になく誰にも何も聞くことができませんでした。

「このままではまずい・・・」
その思いが募っていた時に公募が開始されたのが定期巡回事業です。
「これだ!」と思い手を挙げました。

訪問看護の復活と理想への第一歩

定期巡回・随時対応型訪問介護看護を開始したのは2019年です。
驚いたことに開始した翌月には介護保険売上が倍増しました。

定期巡回は包括サービスのため施設と介護サービスの垣根がなくなったことで職員も動きやすくなりました。
5年間の赤字経営からも脱出し、
「まさかここまで伸びるとは」と驚きましたが、良いことは続きます。

あるセミナーで訪問看護の経験がある看護師に出会いました。
この出会いをきっかけに訪問看護の再建も始めることができました。

着手したのは「医療保険報酬の算定」です。
医療保険が優先となるいわゆる「別表7」の方を受け入れすることです。
さらに、入居率が90%程になっていたため、入居者へも状態悪化などのタイミングや医療処置の内容に応じて「特別訪問看護指示書」を受けるなどノウハウを蓄積しました。

『介護保険+医療保険』の『ダブル算定』という形が出来てきたことで本来目指していた施設へと近づいた感触を持ちました。

併設していた父のクリニックとも連携が深まり、より医療が必要な方を受け入れることができるようになりました。
現在は介護保険報酬が定期巡回だけで月売上1,000万円以上あります。
処遇改善加算が月200万円以上いただけますので、介護職員へは毎月9万支給、この2年間は退職ゼロです。

訪問看護による医療保険売上も月600万円を超えています。
施設と他介護事業で月2,400万円程の売上があります。今年は事業拡大のため人員を増やしているため一時的に経費が増えていますが、通常は営業利益が20%を超えます。

不思議なことに経営状況が好転してからはサービスの品質も上がったと思います。
職員に余裕が出ていることでゆとりを持って接することができているため良いサービスが提供されるようになったのだと推測しています。

また、地域でも存在感が増してきました。
他事業所が訪問サービスを縮小している傾向もあるため、在宅への訪問依頼が増えてきました。
有難いことに地域の中でも「あそこは重度や医療対応ができる施設」という見方をされていると思います。

インタビュー内容はここまでです。
苦労された経験を糧に飛躍を遂げた施設をご紹介させていただきました。
お読みいただきありがとうございます。

さいごに、本コラムでご紹介した事例企業様を講師にお招きしたセミナーについてお伝えいたします。
オンラインで視聴できますので、ご都合の良い日程を選択してください。

【視察ツアー】週休3日制ナーシングホーム2024


◆日程
2024年11月10日(日)13:00-17:00

◆場所
茨城県水戸市(東京駅から特急で約85分)
講座会場:BIZcomfort水戸(JR水戸駅直結1分)
視察先:ナーシングホームとうはら、ナーシングホームほしぞら
※移動は参加者全員で行います。

この記事を書いたコンサルタント

久積 史弥

理学療法士として病院、介護会社の責任者を経験した後に船井総合研究所に入社。前職では訪問看護事業の営業、看護師・理学療法士など約30名のマネジメントに従事、高収益事業として組織を牽引した実績を持つ。 現在は、介護・医療・保険外と幅広い領域でコンサルティングを行う。新規事業の立ち上げの経験が豊富であり、資格者採用・育成による組織活性化、営業による顧客獲得を得意とし、事業推進の手腕に定評がある。

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