今日は埼玉県にあるサ高住をご紹介します。
こちらの施設は居室数25室、25㎡の広い部屋が特徴。
常時満床で入居も安定、ベテラン施設長に加えて介護職員も充実しています。
順風に思えますが、
実は半年前まで売上が低迷。
人件費比率も高く赤字でした。
そこで社長自ら改革を行い
スタッフが介護に集中できる環境を整備しつつ半年でV字回復を達成。
30代の若い経営者ならではの経営手腕をご紹介します。
満床赤字からの脱却!サ高住の売上を伸ばす方法①
サ高住の売上は簡単にいえば
入居人数×入居単価 です。
満床であれば基本は入居単価を伸ばすしかありません。
入居単価を伸ばすために社長が取った方法はシンプル。
訪問介護サービスの利用数を増やすことです。
居宅は持っていないため他社CMが全てケアプランを作っていますから
もちろん簡単ではありません。
まずは実態を確認。
すると思っていた以上に無償サービスをしていたこと、
介護が必要な入居者が訪問介護を利用していないことがわかりました。
そこからは介護スタッフへ一人一人の状況を丁寧に確認、
「●●さんの状態だともっと●●●●が必要だと思うけどどう?」と
提案しながら必要なサービスを見極めます。
次にケアマネへの提案。
入居者の生活状況を説明しながらサービス追加を確認です。
「お金がちょっと・・・」と言われながらも、
実態に即したサービスだからと理解してもらいました。
この折衝は機会的な対応ではなく
コミュニケーション力が必要です。
ケアマネ提案は施設長に任せましたが、これまではまともに提案ができていませんでした。
「そもそも必要なサービスを提案しているので、
介護のプロとして適切なことを伝えて欲しい」と社長は強調。
結果として一人、また一人とサービスが追加、介護保険売上は倍増しました。
以前はスカスカだったスケジュール表は訪問介護の予定で埋まっています。
介護スタッフの働き方改革!サ高住の売上を伸ばす方法②
改革でなにより重視したのはスタッフが介護に集中できる環境をつくること。
これまで時間が掛かっていた記録・申し送りなど書類業務は徹底的に削減しました。
一部をご紹介すると
・外部者の入館確認はタブレットで記録
・出退勤はスマホでチェック
・申し送りは無料のクラウドサービスを活用
・社内研修は動画とチャットツールを活用
・介護記録はサービス終了時にその場でスマホ入力
驚くことに介護記録以外は無償アプリを活用しています。
契約書関連は紙で記録・保存をしていますが、日常業務はスマホで完結します。
PCを触るのは主に施設長のみ
50・60代が多い介護スタッフが抵抗なくデジタル移行するにはスマホが最適です。
若い社長ならではの発想と行動力により
介護に集中できる環境をつくれたことで生産性は上がりました。
現場に密着した改革により半年前の状況からは一変。
売上が倍増するだけではなく、現場の働きやすさを同時に改善したことで
介護スタッフもさらなる改革に前向きです。
視察して感じたのは、今後さらに売上・利益は伸びていく体質になっているということでした。
これからも事例を発信していきます。
施設経営をされている方にとって少しでも参考になれば幸いです。
【視察ツアー】週休3日制ナーシングホーム2024
◆日程
2024年11月10日(日)13:00-17:00
◆場所
茨城県水戸市(東京駅から特急で約85分)
講座会場:BIZcomfort水戸(JR水戸駅直結1分)
視察先:ナーシングホームとうはら、ナーシングホームほしぞら
※移動は参加者全員で行います。
この記事を書いたコンサルタント
久積 史弥
理学療法士として病院、介護会社の責任者を経験した後に船井総合研究所に入社。前職では訪問看護事業の営業、看護師・理学療法士など約30名のマネジメントに従事、高収益事業として組織を牽引した実績を持つ。 現在は、介護・医療・保険外と幅広い領域でコンサルティングを行う。新規事業の立ち上げの経験が豊富であり、資格者採用・育成による組織活性化、営業による顧客獲得を得意とし、事業推進の手腕に定評がある。