メディア注目の「ホスピス型住宅」とは

2022年11月4日配信

カテゴリ:
入居施設 新規参入 介護 サ高住

いつもお読みいただきありがとうございます。
本日はメディアで目にすることが増えた「ホスピス型住宅」についてお伝えします。

ウィキペディアによると、「ホスピスとは終末期患者の痛みや症状の緩和に焦点を当て、人生の終わりに彼らの感情的および精神的な要求に対処することに焦点を当てた医療の一種である」と記述されています。
つまり、ホスピス型住宅とは癌末期の方へ緩和ケアを行う高齢者住宅(老人ホームやサ高住)のことです。
病院でいえば緩和ケア病棟をイメージしていただくと分かり易いかもしれません。

なぜ、近年このホスピス型の高齢者住宅が注目されているのでしょうか。
考察していきます。

ホスピス型住宅が大注目の理由

想像に難くないですが、高齢者人口の増加が要因だと推測できます。
人口の構成比率・総数ともに増えているのは65歳以上人口だけですが、国立がんセンターの発表によると、癌の発症率は男性65%、女性50%と2人に1人です。
性別で見れば男性は50代頃から急激に発症率が高くなります。
そして、死因原因の第1位は悪性腫瘍(癌)であり、第3位の老衰より多いのです。

日進月歩の医療において完全な不治の病とはならなくなっていますが、延命による癌患者が増えていることもホスピス型の高齢者住宅が増えている要因といえるでしょう。

さらには国の計画的な病床数の削減も重なり在宅患者は増えています。
全国的に介護サービスが普及しているとはいえ、高齢者の単身世帯増加や老々介護の問題など自宅で看取れない方は大勢います。

これらの状況から近年急速にホスピス型施設が増えてきたことでメディアへの露出も増え、皆様が目にする機会も増えているといえるでしょう。

ホスピス型住宅経営の難しさ

ホスピス型の施設を経営するには、大きく2点が課題になります。

課題1 集客
読者の中には「そんなに都合良く癌の人ばかり集められますか?」と疑問に思っていることでしょう。
答えは「集まります」です。
既存事業や状況にもよりますが、それでも特別な魔法や裏技があるわけではありません。
癌患者が退院する病院との連携や施設の認知度など一段ずつ登っていく必要があります。
周辺の施設環境も確認しておくことがおすすめですし、後述する課題もクリアしなければなりません。
「思ったよりハードルが高い?」と感じる方もいるかもしれませんが、
だからこそ他社が真似できず差別化された施設として地域になくてはならない存在になれるのです。

課題2 医療サービスの提供体制
医療サービス医師は在宅診療医と連携するため、必要なのは看護体制です。
推奨は訪問看護を運営し、施設へ訪問する形態です。
看護師の採用は地域の給与相場を確認しながら進めていくことになりますが、在宅医療・介護領域に興味を持っている看護師は確実に存在します。
船井総研では「本気の看護師」と呼んでいますが、良い看護師を採用することで施設運営も格段に良くなります。

仲間になってほしい看護師を上手に採用・定着する方法についてはこちらのコラムを参考にしてください
https://kaigo-keiei.funaisoken.co.jp/kaigo/mail_magazine/%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%83%9b%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%83%bb%e8%a8%aa%e5%95%8f%e7%9c%8b%e8%ad%b7%e7%b5%8c%e5%96%b6%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%9c%8b%e8%ad%b7%e5%b8%ab/

集客、看護師採用など普通の高齢者施設以上に大変そうなホスピス型住宅ですが、その分収益性は非常に高いのです。

ホスピス型住宅を経営することで得られる報酬

ホスピス型住宅を経営することで得られる報酬は通常の高齢者施設よりも高くなります。
その理由は医療保険の報酬です。
癌患者、特に末期であれば医療保険の対象疾患になります。
看護師のサービス提供回数も増えますので、多い時ですと患者一人へのサービス提供で月100万円近い売上にもなります。
※患者の支払い分は「高額療養費制度」により最高でも5万7千円など一定額以下になります。
(所得により上限額は異なります)

収益が大きくなるため、看護師への給与も周辺の中で良い基準にできます。
そうなればさらに良い看護師が採用・定着する好循環を作れます。

まとめ

ホスピス型住宅が注目される理由、経営の難しさ、乗り越えた時の収益性などお伝えしてきました。
最期にお伝えしたいことは介護業界全体についてです。

これまでは市場の成長と共に企業数、施設数も右肩上がりでした。
しかしながら皆様が感じている通り既にサービスが飽和状態になっている業態も珍しくありません。
だからこそ明確な強みや特徴が必要です。
その課題を乗り越えられた時、他社が絶対に真似できない強い施設・組織へと成長することができます。

本コラムではホスピス型住宅を取り上げましたが、船井総研では同様の施設を「ナーシングホーム」というソリューションにて強い施設作りをお手伝いしています。

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この記事を書いたコンサルタント

久積 史弥

理学療法士として病院、介護会社の責任者を経験した後に船井総合研究所に入社。前職では訪問看護事業の営業、看護師・理学療法士など約30名のマネジメントに従事、高収益事業として組織を牽引した実績を持つ。 現在は、介護・医療・保険外と幅広い領域でコンサルティングを行う。新規事業の立ち上げの経験が豊富であり、資格者採用・育成による組織活性化、営業による顧客獲得を得意とし、事業推進の手腕に定評がある。

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