介護業界向けコロナ対策~財務編~

2020年8月26日配信

カテゴリ:
介護

コロナ禍において、財務状況に不安を抱える企業が増えていますが、介護業界の経営者は、どのような対策を行うべきでしょうか。船井総研 金融・M&A支援部に実際に寄せられたご相談内容を踏まえ、具体的な対策をお伝えさせて頂きます。

コロナ対策財務編

本コラムは2020年5月の「介護業界向けコロナ対策〈財務編〉」より、内容を再構成して作成しています。

コロナ禍に増加した財務相談

新型コロナウイルスが企業活動に大きく影響することとなった3月以降、多くの企業から財務相談が寄せられています。
ご相談の内容は、企業の状況によって異なりますが、資金繰りが既に悪化している企業からは、資金調達方法やその金額についてのご相談、融資を断られた場合の代替案についてのご相談を頂いております。資金繰りにまだ影響はないがこの先が不安だという企業からは、現預金についてのご相談や、年内の資金繰りのシミュレーションについてのご相談、資金調達方法についてのご相談を、資金繰りに余裕のある企業からは、コロナ関連の制度や融資についてのご相談や財務状況を専門家に見てほしいという相談、財務強化をする方法があれば知りたいという相談、経営判断をしやすくするために資金繰りや財務状況をタイムリーに可視化したいというご相談を多く頂いております。

財務対策の進め方

さて、資金繰りに課題を抱えている場合、企業はどのような対策を取るべきでしょうか。
資金繰りのご相談に対して、船井総研の金融・M&A支援部では、以下のようなステップで対策を進めるようアドバイスさせて頂いております。

  1. 決算分析
    事前に決算書や試算表、業績推移表等を分析して、財務状況や資金調達力を把握し、今の状況をしっかりと確認します。
  2. 財務状況のヒアリング
    財務状況や業績見通しについてヒアリングし、先行きをしっかり見て情報を整理します。特に現在の借り入れの状況などを整理していきます。
  3. 資金繰りのシミュレーション
    年内の資金繰りのシミュレーションをします。12月までの月々の収支推移のシミュレーションを行うと、いくら資金を調達する必要があるのかが分かります。
  4. 資金調達戦略の検討
    いつ、いくら借りなくてはならないのかがわかったら、資金調達戦略と、具体的な金融機関へのアクションを決めていきます。具体的には、(1)いつまでに、(2)どの金融機関に、(3)どのような申し込み内容(融資制度、金額、借入期間、据置期間、担保、保証、利率など)とするのかを決定します。
  5. 金融機関へのアクション決定
    申し込むにあたって必要な資料や、打診方法、伝えるべき情報などを、各金融機関ごとに決めていきます。ケースとして多いのが、金融機関に借入の申し込みをしに行き、金融機関の方に「いくらで申し込みますか」と言われ、その場で悩むという状況です。事前に金額をしっかり決めておき、「なぜこの金額なんですか」と問われたときに、理由をしっかりと答えられるよう、根拠についてもあらかじめしっかり決めておく必要があります。

今後増えていくと考えられるお悩み

3~4月時点で資金繰りに本格的な影響が出ていた企業様というのは一部で、大きく影響が出てくるのはこれからだと考えています。例えば、以下のようなお悩みが今後増えていくことと考えられます。

  • 資金繰りの問題が顕在化
    資金繰りに本格的な影響が出始め、どうやって、どのくらい資金調達をすればいいのか分からない。
  • 資金調達後の財務対策
    一旦、資金調達はできたものの傷んだ財務をどのように良くしていけばいいのかわらない。店舗閉鎖やリスケ、もしくは廃業をいよいよ決断しなくてはならないが、明確な判断基準を持てず決断できない。
  • アフターコロナ、ウィズコロナ体制での財務対策
    ウィズコロナ体制へシフトする中で投資が必要となるが、そのための資金調達や資金繰りに不安を感じる。良い投資案件の話がありぜひ進めていきたいが、今の財務状況で投資をしても大丈夫か分からない。

このような中、財務面で何に気を付けなくてはならないか。

今、コロナ関連の制度融資がしっかりと整備されているため、資金調達はしやすい環境になっています。そのような状況でも資金調達が不十分になってしまうケースも起きています。どういうケースかというと、一つは、経営者が自社の資金繰りや財務状況を把握できておらず、資金調達額が不足するケースです。もう一つが、金融機関へ融資金額の根拠を示せずに減額されてしまうことです。このような理由で、資金調達が不十分になってしまうケースが起きています。

また、これから最も懸念されるのは、金融機関への申し込みが殺到し、融資が出るまでに時間がかかってしまうことです。その結果、資金調達が間に合わない状況が出てきます。今最も懸念されるのはこのリスクです。

財務面で今後、気を付けなくてはならないこと

このことを踏まえて気を付けるべきは、一つは資金繰りの可視化です。特に年内の資金繰りがどう推移していくのかということをしっかりと可視化しておくことです。
もう一つは、先手の資金調達です。後手の資金調達になってしまうと資金繰りがどんどん苦しくなって、打てる手もどんどん少なくなってしまいます。逆に資金繰りにまだ余裕があるときだからこそ、打てる手はたくさんありますから、先手の資金調達が非常に重要になってきます。

経営者が検討すべきこと

介護業界の経営者が検討すべきは、特に資金繰りが既に悪化している場合においては、どの程度の資金をいつまでに、どの金融機関に、どのような内容の申し込みをするのかという財務戦略や、店舗閉鎖やリスケ廃業のデッドラインを決めておくということです。
資金繰りはまだ悪化していないが不安があるという場合は、持っておくべき現預金の水準について明確にし、年内の資金繰りシミュレーションを行い、現預金を確保するための資金調達の方法を検討すべきです。
資金繰りに余裕がある場合には、コロナ関連の制度融資の活用検討と、資金繰りや財務状況をタイムリーに可視化する方法と組織体制の構築をしっかりと検討して頂きたいと考えています。

これらはどの企業であっても必ずいずれかは該当するもののですから、当てはまる事項をぜひ検討頂きたいと思います。

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この記事を書いたコンサルタント

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