【2018年(平成30年)介護報酬改定対策】訪問介護・訪問看護の同一敷地内の減算対策
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今回の介護報酬改定で、訪問介護や訪問看護などの訪問系介護サービスについては、同一建物居住者へのサービス提供を行う際の減算対象が広がりました。
今までは、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の居住者とその他の同一建物で20名以上のご利用者がいる場合は10%の減算でした。今回の報酬改定では新たに同一敷地内のご利用者が50人以上の場合は15%の減算となることになりました。
この内容を踏まえ、日々のコンサルティングの現場では、同一建物へのサービス提供を続けるべきかどうかというご質問を多くの訪問系サービスを実施している法人からをいただいております。減算対象とならないようにご利用者を集めるべきか?同一敷地内でない場所に訪問の事業所を移すべきか?など悩んでいらっしゃる介護法人も多いことでしょう。我々船井総合研究所のコンサルタントは、減算の対象が広がったからといって同一建物へのサービス提供を「やめるべきではない」と考えています。
理由は、売上が客数×客単価で決まるからです。客単価は、減算対象の拡大の有無に関わらず3年に1度必ず変動します。基本報酬が下がることは「想定の範囲内」であり、それを踏まえてどのように介護事業所の売上を増やしていくかを検討しなくてはなりません。売上が客数×客単価で決まり、客単価が変動するのであれば、優先順位は客単価を上げることではなく、客数を増やすこととなります。そのため、同一建物だとしても客数を最大化出来るのであれば、その方が介護事業所の売上の最大化につながるのです。
しかし、そうは言ってもと思われる方もいることでしょう。客数の最大化と合わせて検討しなくてはならないことがあります。それは、ヘルパー、看護師、OT、PTなど訪問を行う職員一人あたりの売上の最大化を検討するということです。減算にならないからといってご利用者宅が点在していれば、当たり前ですが1日に訪問出来るご利用者は少なくなります。客単価は高いでしょうが、月間の職員一人あたりの売上は下がることになります。これは、結果的に事業所の売上を下げることにつながります減算対象が拡大したということに気を配るのではなく、職員一人あたりの売上の最大化を目指すことが優先です。。新たに訪問の事業所を敷地外に借りるかどうかということを検討する際にも移動時間等を踏まえ、どちらの方が職員一人あたりの売上が最大化できるかを検討しなくてはなりません。
この2点の理由から同一建物のサービス提供は我々では継続または拡大すべきであると考えます。介護事業所の売上を最大化を図るということであれば、利用者数と職員一人あたりの売上の拡大の2点を合わせて検討頂きたいと思います。
この記事を書いたコンサルタント
沓澤 翔太
デイサービス、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの新規開設、収支改善、異業種からの介護事業への新規参入支援などを手がける。現在は、主としてデイサービスや有料老人ホームの利用者獲得や新規開設を中心にコンサルティングを行っている。 介護事業のコンサルティングの他、療養病床の転換や訪問診療など、医療業界のコンサルティングや、医療器具の販売促進についても実績を持つ。