介護職員の残業を2時間削減する方法
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いつも記事をお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の山本 貴大です。
介護施設の運営において、ムリ・ムダ・ムラを削減し、
残業時間、作業時間を2時間も削減する方法があります。
ズバリ、障がい者を戦力化していくことです。
障がい者の戦力化で得られるメリットは、
人材不足解決、業務効率化、人件費削減、職員離職率低下、等々、
ざっと挙げただけでもこれほどありますが、
そもそも障がい者ができる業務は限られているのではないか?と
懸念されている方も多いかと思います。
そのようなイメージを是非、払拭していただきたいと思っております。
▶障がい者戦力化成功事例レポート
青森県弘前市の社会福祉法人 伸康会様では、
職員232名に対し、41名の障がい者が勤務されており、
今後も障がい者雇用を拡大していく計画を立てています。
これまでの間接業務をすべて、障がい者の方に移譲することで、
介護職員ひとり1日2時間程度の業務時間削減に成功され、
生産性を高めることに成功されています。
その結果、年間約300万円の人件費削減を実現されました。
一日に削減された業務の一例として、
清掃(30分間)、コップ・歯ブラシ洗浄(30分間)、シーツ交換(60分間)があります。
障がい者雇用を進めることで、単に一人当たりの生産性が高まっただけではなく、
この時間を直接介護業務に集中できる環境を整えられたことで、介護品質の向上も期待できます。
実際に、間接業務に負担感を感じている介護職員の離職防止にもつながり、
業務を理由にした退職は大幅に減少しました。
障がい者に活躍していただくポイントは2点あります。
1点目は、労働力を「人」ではなく「作業」として捉えることです。
人材不足のため人を確保するという安易な考え方をするのではなく、
一日の作業を細分化して、分業体制を敷き、障がい者を最適な位置に配置することで
事業所全体のオペレーション改善が期待できます。
例えば医療現場においても、
医師・歯科医師→看護師・歯科衛生士→看護助手・歯科助手→無資格・未経験者と、
業務の移譲の流れは目を見張るスピードで進んでいます。
これは、川上の人材は有資格者にしかできないことに徹底して集中し、
川下の人材にできることを増やしていただくという発想です。
2点目は、「事故が起きない現場に配置する」ことです。
介護施設内で障がい者の方が勤務していて、
事故が起きないか不安に感じられる方もおられるかと思いますが、
そもそも事故が起きない現場に配置することが極めて重要です。
すなわち、介護業務に携わるのではなく、
介護補助業務に集中していただくことで事故が起きないのです。
そのため、障がい者の戦力化が成功している多くの介護施設や病院では、
利用者や患者と直接関わることはほぼありません。
一方で、職員と障がい者とがコミュニケーションをとることで、
職場の雰囲気が円滑になるなど、嬉しい副作用が発生した事例もあります。
中軽度の障がい者は、フロントエンド業務をこなすのはやや難しいケースがありますが、
バックヤード系の業務であれば職員とも問題なくコミュニケーションがとれます。
障がい者雇用をスピーディーに推進するのはハードルが高い法人様に対しては、
障がい福祉サービスの一種である就労継続支援事業を推奨しております。
就労継続支援事業で障がい者の方を育成しつつ、自法人での雇用の受け皿を作っておくことで、
法人にとっては障がい者の戦力化が期待でき、利用者にとっては一般就労の道が見える
魅力的な事業所になります。
さらに就労継続支援事業は、これを起点に
縦の展開(放課後等デイサービスや児童発達支援への参入)がしやすく、
地域の障がい児・者の一生に寄り添う盤石な経営基盤を確立していくことが可能です。
是非、皆様の法人でもこの流れを作りましょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
障がい者活躍の成功事例と障がい福祉サービスの事業展開をまとめたセミナーはこちらから
▶https://lpsec.funaisoken.co.jp/kaigo-keiei/seminar/054667_lp/
この記事を書いたコンサルタント
山本 貴大
船井総研で障がい福祉業界のコンサルティング領域を確立した第一人者。 障がい児から障がい者まで、軽度者から重度者まで、 地域でサービスを必要としている様々な方のお役に立てる法人が全国に増えることを願い、 地域密着型のワンストップサービスの構築を提案している。 お付き合い先は1事業所展開の法人から複数事業所展開の法人まで多岐に渡る。 障がい福祉業界の経営者が100名以上所属している勉強会を開催中。