転換期に入ったデイサービス
2000年度の制度開始以降、毎年増加を続けてきたデイサービスがついに減少に転じました。2015年度改正による影響も、厚生労働省の介護給付費等実態調査によって明らかになっています。予期されていた状況が、じわじわと形となって現れてきました。
要支援1、2が総合事業へ移行したことで収入が30%~40%減少し、閉鎖を決断するデイサービスも出てきています。大きく収支状況が悪化しているデイサービスの多くは小規模型で、通常規模型以上の事業所との格差はますます大きくなっています。
小規模型のデイサービスが倒産を避けるにはどのようにすればいいのでしょうか。
小規模デイサービスの生き残りへの道は
考えられる手段は2つです。
ひとつは定員数の拡大。
もうひとつはデイサービスのリニューアルです。
デイサービスは、今後も基本報酬が下がることが予想される一方、機能訓練の強化や認知症ケア・中重度対応など、対応力の向上が求めらます。そのような中で、定員10名という事業規模には多くのデメリットがあります。
デメリットのひとつは、投資(チャレンジ)可能な範囲が狭く、例えば医療対応を強化するにしても看護師は人件費を売上を圧迫し、機能訓練を強化するにしてもセラピストの人件費で同様の状況となります。
そのため、小規模デイサービスであれば最低でも15名、施設面積次第では18~25名と定員数を広げることで、投資可能な状況を作り、経営リスクを軽減することが必須です。事実、私の周辺では、定員を拡大し、人件費の適正化や利益拡大に成功している事業所が複数あります。
もうひとつの生き残り策はデイサービスのリニューアルですが、特に稼働率が低く、収益化が困難となっている事業所は、リニューアルの必要性が高いと考えられます。機能訓練の強化なのか、認知症対応の充実なのか、医療対応の強化なのか、様々な選択肢がありますが、貴法人の理念に基づく専門分野を強化(リニューアル)していただきたき、利用者や社会のニーズを捉えたプログラムを用意することが求められます。
ここまでご紹介させていただいた内容は、介護保険事業を今後も継続すると決断された事業者様であれば本気でご検討いただきたい事項です。今回は特に触れませんでしたが、「介護保険事業から撤退する」という選択も決してないわけではありません。その上で介護保険事業を継続する意思をお持ちの経営者様には、ぜひ事業継続のために必要な選択を行っていただきたく存じます。