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いつもお読みいただきありがとうございます。
(株)船井総合研究所の木村です。
今回のメルマガでは、2024年の介護報酬改定において主眼の一つである、
要介護1・2の総合事業への移行についてお届けします。
また、24年改定に向けた対策に関しても、ご紹介いたします。
◆24年改定に向けて進む議論
2024年は介護業界にとって大きな節目の年になるかもしれません。
財務省は年々増加の一途をたどる介護費の抑制を目的として、
要介護1・2の高齢者に対しての訪問介護・通所介護サービスを、現在の介護給付から
総合事業へと移管する議論を進めています。
こういった構想に関しては、2015年から方針が打ち出されていたものの、
事業者団体や地方自治体からの反発もあり見送られていたものが、
再び議論の的となっています。
審議会の委員や介護事業者団体からは、反対意見もあがっており
慎重派が多いものの、年内には大枠の方向性が厚労省によって決定される方針となっています。
ただし、高齢者数の増加が国の財源にとって大きな負担となっているのは、
まぎれもない事実です。
仮に24年改定においても見送られたとしても、遠くない将来には
再び議論の俎上にあがり、改定案に組み込まれることは避けられないのでは
ないでしょうか。
では、改めて要介護1・2の総合事業化によって生じる問題を整理してみると、
①報酬単価の減少による売り上げ減少
②総合事業の担い手不足による介護難民の増加
③サービスの多様化による職員の負担増
とりわけ①や②に関しては、
大手介護事業者が総合事業への参入を行わないことを方針として既に決定していたり、
民間の介護施設でも要介護3以下の高齢者の入居をお断りする施設が増加しています。
事業者にとっては、経営の安定化や効率化を図る上では
否定できない発想ではあるものの、
介護サービスを受けたくても受けられない高齢者が増加する可能性も否めません。
◆激化する利用者獲得競争
冒頭でのお話を鑑みると、
多くの介護事業者が、とりわけ要介護3以上の重度者を、自法人の利用者とするべく動き出すでしょう。
そうすると、営業や広告宣伝に大きな予算をさける大手事業者が、勝ち残る可能性が高いことから
介護業界の2極化や、大手事業者のM&Aによる介護業界の再編は更に進むことが予想されます。
そういった状況が迫りくることを目の前にして、何もしないまま事業を続けることほど恐ろしいことはありません。
船井総合研究所では、創業者の船井幸雄が提唱している”差別化の8要素”という考え方があります。
今後に向けて自社の強みや他法人との差別化ポイントを検討する際には、ご参考にしてみてください。
<差別化の8要素>
1.立地(商圏人口・通行客数など)
2.規模(敷地面積など)
3.ストアロイヤリティ(ブランド・歴史など)
4.商品力(提供できるサービスなど)
5.販促力(販促、ツールなど)
6.接客力(サービス品質など)
7.価格力(自費を含めた料金設定)
8.固定客化力(リピート・紹介など)
基本的に差別化の8要素では1~3を戦略的要素(途中から急には変えられないもの)、4~8を戦術的要素(事業展開の中で変更可能なもの)としています。
8つの要素の中では、1の立地から始まり、差別化に向けて大きな要因(ファクター)となる順番で構成され、
当然取り組みに対する難易度も8→1に向けて難しいものになってきます。
◆勝ち残るための戦略
差別化の8要素にならんで、船井総合研究所が大切している考え方の一つとして
”狭属性1番化”というものがあります。
狭属性1番化とは、言い換えると「まずはニッチな業界やフィールドで1番になる」ということです。
小売業等で例えれば、特定の商品やサービスに特化することや、特定の商品の在庫量で圧倒的1番を目指すことで大手にも負けない自法人の武器を磨きこむことにより、自法人のポジションを明確化することができます。
これにより、同一商圏でも負けない手法とすることができるのです。
また資本力の限られている中小事業者にとっては、商品やサービスに特化することで、
他社との差別化を行いながら、むしろ経営的な効率化にも資することができます。
介護業界において、今後ニッチとなるマーケットはどこでしょうか。
一つの選択として、多くの事業者が敬遠し始めている要介護3以下の高齢者を対象としたサービスを
展開することは
・早期の集客が見込めること
・中長期的に見れば、重度要介護者の利用者基盤を構築すること
・利用対象に軽度要介護者を含めることで他法人の差別化につながる。
等のメリットがあげられます。
◆狭属性1番化に向けた新規事業のご案内
この度、船井総合研究所では
狭属性1番化に向けて、要介護3以下の要介護者を対象とした
収益事業に関してのセミナーを開催させて頂きます。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
競争激化に備えた介護事業者が取るべき戦略
この記事を書いたコンサルタント
木村 亘佑
熊本県出身。新卒で船井総合研究所に入社し、介護保険制度内外の事業立ち上げや運営コンサルティングを行う。「福祉のまちづくり」の実現に向けてシニア向け空き家活用事業をメイン領域としながら、事業計画策定や採用、営業管理を行いながら企業の属人的な課題を仕組みで解決する為に日々業務に取り組む