経営者が理解すべき医療・介護の連携

2021年4月5日配信

カテゴリ:
入居施設 介護

皆様こんにちは。船井総合研究所の津田です。
令和3年度の報酬改定では、LIFE加算やBCP策定義務化等のインパクトある改定事項の陰に隠れ、やや印象の薄くなった医療・介護の連携ですが、依然として取り組みを進める重要性は非常に高いと言えます。
本日は医療・介護の連携の”経営における”重要性と、事業者が今後何を取り組むべきかをお伝えします。

加算取得で収益性を増すことは難しい?

今回の報酬改定は全体として、基本単位こそプラス改定になりましたが、加算要件等の見直しで、実質的に報酬が下がるケースも少なくないと予想されます。
基本単位が増えても、加算は切り下げられる。新設加算が設けられても、既存加算の評価が下がる。財政中立の観点から、このようなバランス調整は今回の改定に限らず今後も継続されると考えられ、加算の取得によって収益性を増すという考え方が難しくなっています。

一方で、人材不足による人件費高騰のリスクを考えると、収益性向上の取り組みは全事業者に必須として求められるものと言えます。
それでは、事業者はどのようにして収益性を高めるべきか。

収益性改善を見込むことのできる施策には、大枠として下記の3つが考えられます。

①保険外(自費)売上の拡大
②中重度者構成比の拡大
③医療保険報酬の獲得

①保険外(自費)売上の拡大については、施設の居住費や自費サービス料の値上げや、自費利用者数の増加等が考えられますが、利用者の支払能力に限界がある以上、売上拡大の余地は大きくありません。支払能力の高い富裕層が集中する都市部では大企業がドミナント戦略で高価格帯の店舗展開を行っていますが、中小企業が同路線で真っ向勝負を挑むのも違います。

②中重度者構成比の拡大については、既に取り組みを進めている事業者が多数ではないでしょうか。介護度が重いと売上が伸びるため、貧弱な介護・看護体制でも平均要介護度が3を超えているという施設は今や珍しくありません。ぜひ体制を整えると共に、中重度者対応に力を入れて頂きたいですが、競争が激しいエリアでは思うように入居者獲得が進まないケースが想定されます。

③医療保険報酬の獲得については、多くの事業者が未着手、もしくは力を入れていない状況です。介護保険サービスで医療保険報酬の算定が可能な訪問看護は、訪問介護やデイサービスと比べると実施する事業者がまだ少なく、サ高住等の施設に併設しているのも全体の9%程度と少数です。

 
医療・介護の連携に取り組むべき理由

収益性改善には3つの方法が考えられるとお伝えしましたが、利用者の経済状況や商圏の競争状況を問わず、有効であると考えられるのは「医療保険報酬の獲得」です。訪問看護の医療保険算定には固有のルールがあり、これが参入を難しく感じさせるひとつの要因ですが、該当する疾患や状態にある利用者については、区分支給限度額の枠外で、訪問看護の報酬算定が可能となっています。具体的には末期癌やパーキンソン病(※)、真皮にいたる褥瘡等です。これらは決して珍しくない疾患や状態ですが、自社で訪問看護を行う場合には看護師の対応および報酬算定が可能です。
※ ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。

医療・介護の連携強化は、介護保険制度の方針や医療費削減の施策と合致するだけでなく、介護報酬や自費売上とは異なる領域で収益を生み出し、事業ポートフォリオの最適化に繋がります。多職種の情報共有や各種加算取得はもちろん重要ですが、いかにマネタイズするかという視点をもって、医療・介護の連携に取り組んで頂きたく思います。

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この記事を書いたコンサルタント

津田 和知

津田 和知

大手介護事業者の介護付き有料老人ホーム施設長を経て、船井総合研究所に入社。前職の経験を活かし、現場主義で問題の本質や改善の糸口を掴み、経営者のサポートを行う。
コンサルティング領域は、介護事業全般の経営改善や訪問看護ステーションの立ち上げ、人事制度構築、厚生労働省調査研究事業への参画など。

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