経営者が押さえるべき管理者育成のポイントについて

2021年5月17日配信

カテゴリ:
人材採用・育成・評価 介護

皆様こんにちは。船井総合研究所の鈴木です。
「令和元年度介護労働実態調査」のアンケートでは、介護従事者の65.3%が人手不足を感じているというデータが出ています。

【出典】令和元年度介護労働実態調査「介護労働の現状について」

人手不足に対する対応策として法人で取り組むべき事は「人材採用」です。しかし、介護業界の平均有効求人倍率は4.09倍と「超」売り手市場となっています。採用難易度が高く、時間も手間もコストもかけなくては採用成功につながらないのが現状です。

出典】厚生労働省「職業安定業務統計」

では、そのような中で何をすべきか?それは、施設長・管理者育成を行なうことです。船井総研では、組織はトップで99%決まると考えています。そのため、人材マネジメントを改善し、定着(優秀な人材を辞めさせない)を図るためには施設長・管理者を育成することが短期間で効果を上げる手法となります。

この人材マネジメントは学ばなければ身につかない事が一般的です。そのため、ケアや利用者対応のスキルが高い介護現場出身者が管理者に昇格しても上手くいかないケースを多く見てきました。
本日は管理者育成の”経営における”重要性と、事業者が今後何を取り組むべきかをお伝えします。

なぜ管理者育成が上手くいかないのか?
「管理者を外部研修に行かせたり、定例会議で営業施策をスピーチさせたりしているが結果に繋がらない。」日々コンサルティングをする中で経営者の方からこのようなお悩みを聞きます。

一方、マネジメントに悩む新任管理者の方にヒアリングを行ったところ
以下のような課題が上げられました。

①法人において管理者の役割が明確になっていない
②スタッフとどう関わり、育成すればいいかがわからない
③管理者業務のマニュアルが存在しない

多くの事業所では管理者業務の仕組み化がされておらず属人性が高くなっています。このような状態では、管理者は正解を探しながら業務を覚えなければならず育成に時間がかかってしまいます。

事業者が取り組むべき管理者育成
以上を踏まえ、管理者育成の3つの成功ポイントは

①職務分掌を作成し管理者に求める仕事を明確にする
まず模範となる管理者が行っている業務を書き出します。次に営業、人材育成など項目ごとに整理をします。そして作成したものを新任管理者に渡し、読んだ上で内容を実践させます。

②職員との関わり方のルール作りを行う
ポイントは2点あります。1点目はスタッフとの接触頻度を増やすルール。模範的管理者は、スタッフとの接触頻度が多く毎日全員に声掛けして関わっている傾向がありす。その場だけで問題解決しようとは思わず、何かあれば直ぐに相談して貰える関係作りをしています。2点目はどういう声掛けをして関わるかのルール。まずスタッフにいつ声掛けしているかのタイミング。次に何と話しかけているかのフレーズを書き出しまとめます。これを新任の管理者に実施させる事で「人を動かす」為の小さな成功体験を積ませる事ができます。

③業務を切り出し、マニュアル作成
まずは重要度の高い業務からマニュアル作成を始める事です。「管理者業務は多岐に渡る為、介護業務と違ってマニュアル化しづらい」と言われがちです。しかし、業務を絞ると作成は容易になります。例えば、特に業績に直結する営業、見学対応、ベッドコントロール、採用面接などです。一度作成すれば、OJTに頼らずに管理者育成が出来、成長を早める事が出来ます。

まずはこの点を押さえ、管理者育成に取り組んでいただきたく思います。

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この記事を書いたコンサルタント

鈴木康祐

従業員数1500名規模の医療法人に新卒入社し介護部門に従事。法人史上最年少の23歳で有料老人ホームの施設長を 務める。不振施設の立て直しを得意としてマネジメント業務に携わる。離職率50%超えの施設を1年で離職率5%まで改善させる。120床規模の新規施設の入居率を半年間で100%にする等の実績が評価され、介護部門のエリアマネージャーに就任。 船井総研入社後は、介護業界に特化し【マーケティング:集客、営業・人財採用】【マネジメント:管理者育成・研修・ 人事制度・教育体制構築】など幅広いテーマで組織活性化のコンサルティングを実践。業界経験があるからこそ現場の事を理解し、 巻き込みながら 動かしていくスタイルが多くの経営者から支持を得ている。

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