施設系サービスの成約率を上げる問い合わせ~クロージングの流れ
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はじめに
このコラムでは、【施設系サービスの集客手法】として、成約率を上げる問い合わせ・見学対応から契約のポイントについてお伝えいたします。施設系サービス向けではありますが、デイサービスなど在宅系サービスにおいても新規を増やすために見学、体験、事前説明を行って選んでもらうというステップがありますので、当てはまる部分や活用できる点を探して、経営戦略に活かして頂ければと思います。問合せからの見学誘導率70%以上、見学からの契約率50%以上になることを目指して、明日からすぐできる成約率アップ手法についてお伝えします。
方法1:見学に繋げる電話対応の方法
● では、まず見学申し込みの電話の正しい受け方についてケアマネ・相談員からの電話とご家族・本人からの電話の二つのパターンをご説明します。
● 1.ケアマネ・相談員からの問い合わせ電話対応
○ ケアマネや相談員から問い合わせがあった際の対応のポイントを4つ紹介します
■ 1.第一声は「ありがとうございます。お問い合わせいただき嬉しいです」というように、問い合わせが来た第一声でウエルカム感を出す。
■ 2.空き状況だけではなくて、いつ頃までに入居を考えている方なのか、さらに家族とはいつ頃の面談をする予定になっているのかというところまでヒアリングを必ず行います。
■ 3.そして「ちょうど良かったです。今日近くに寄る予定がありますので、ご家族説明用の資料を持って行きます」というふうに伝えます。
■ 4.電話の後には見積もりを準備し、その日中に訪問します。もし難しければ、ファックスを送信するなど、対応が熱心だという印象をしっかりと残すことで、見学への誘導率を高められます。
● 2.家族・本人からの問い合わせ電話対応
○ 家族・本人からの問い合わせ電話対応のポイントを3つ紹介します
■ 1.家族やご本人から見学の日程、時間の調整希望があったとしても、「お困りごとだけ先にお伺いできますか」のフレーズでアセスメントから入るようにして下さい。
■ 2.アセスメントの際、誰が電話をとってもしっかりヒアリングができるよう、見学のときにご家族に書いてもらうヒアリングシートがあるを常に電話機のそばに置いておいて、その内容を聞ける限り聞いてしまいましょう。
■ 3.電話のときの手書きである程度埋めたシートを当日の見学のときに使って、「既に電話でお伺いした情報は記載しましたので、空いている部分だけ記入してください」というふうにご家族に案内をします。
■ これらを行うことで、事前に本人の情報を把握したうえで説明や提案ができますので、見学成約率上昇に繋がります。
方法2:見学を成功させるために必要な3つの前準備
● 見学者の満足度を上げて、入居の申込みをいただくためには環境整備などの事前準備が非常に重要です。成約率を上げていくための具体的な手法を3つ紹介します
○ 1.清潔感を保つために玄関コーディネーターを任命
■ 見学者は玄関や1階の相談室周りなどを特に観察して、清潔さが保たれているかや施設のレベルを判断します。
■ これを整備してくために玄関コーディネーターを任命しましょう。飾りつけなどの作業が得意そうなスタッフに、環境の整備を依頼して下さい。役割を明確にすることがポイントです。
■ 具体的な作業としては、ウェルカムボードをネットで注文して作成、見学者に見られがちなスリッパを3カ月に1回程度買い替える、季節ごとの飾り付けを購入して玄関を飾りつける、などです。
○ 2.確認すべき点のチェックリストを作成し、見学前日に管理者がチェックして回る
■ 玄関と1階以外でも、フロアやエレベーター、トイレなども見分けるポイントとしてチェックされています。
■ 下の図のような見学前チェックリストを作成して、前々日に現場スタッフに周知してチェックするように指示します。そして、前日に管理者が館内を守って、その通りにチェックをすることで事前に見学時の館内を清潔に保てます。
○ 3.施設のモデルルームを作成する
■ モデルルームを設計し、入居後の暮らしをイメージしてもらうことも、成約に繋げるためには重要です。ここでは誰でも簡単にモデルルームを設計する方法を紹介します。
■ お勧めの設計方法は、インターネットで「一人暮らし 家具セット」と検索し、安価で、最低限必要なおしゃれ家具セットを購入してそのまま設置することです。税込5万円以下で揃えられます。設置によって成約率が10%も上がって新規契約に繋がれば十分に元が取れるかと思います。
方法3:施設の印象を良くする見学対応の方法
● 見学対応を実施して見学者に施設を気に入ってもらうためのコツです。ここではやや口下手な担当者だったとしても、明日から実践しやすく、かつ効果的な見学対応が出来る手法を3つご紹介します。
○ 1.誰でも利用者に入居後の生活を想起させられるような見学対応を行得るために、5つのツールを作成し、対応者を「武装」してあげましょう。
■ ①見学申し込み電話の時点で把握した介護度などをもとに事前にある程度作成した見積書
● 当日は、既に作成してあるという準備の良さを感じていただくことが重要です。
■ ②一か月生活した際に目安となる料金をまとめた料金表
● 実際に生活するにあたって、利用する提携先の訪問の美容や訪問の診療といった外部サービスの目安となる料金をまとめた用紙を1枚作成しましょう。補助アイテムとして、実際に既存の利用者の家族に送っているサンプル請求書を用意することもお勧めです。
■ ③周辺5キロ以内を目安にした競合比較表
● 競合施設との料金や受け入れ態勢、立地などを比較した表を作っておくと十施設の特徴を明確に説明できるようになります。
■ ④飲食店や公園、スーパーなどの周辺環境マップ
● 今コロナ禍で面会の回数は制限されているかと思いますが、作成をお勧めします。面会に来ることが少し楽しくなりそうな、すなわち入居後のイメージが湧くような情報提供ができるとプラスに働きます
■ ⑤施設長プロフィールチラシ
● 施設長の顔写真や似顔絵等、趣味や人柄が表現できるもの、それから介護事業への思いなどを記載してポップなチラシを1枚作って渡します。誰が対応する場合でも、見学者が家に帰って、他の家族に見せる際に親しみを感じてもらえるツールとして有効ですし、あまり作成している施設もないため、差別化を行うことが出来ます
○ 2.3つのポイントを押さえて職員の「良い印象」を作る
■ 見学者は館内の職員の雰囲気が良いかという点も良く見ています。しっかりと良い接遇を作っていくことために以下の三つのポイントを抑えて下さい。
● ①見学日の朝、朝礼で周知します。例えば、「今日11時に見学の〇〇様が来られるので、30分ほど相談室で話して、3階の居室を見に行きますので、誰もがお会いする可能性があるので、その際は目を見て笑顔で挨拶をお願いします」というふうに全体に伝えます。
● ②見学時のヒアリングが終わり館内見学の際にインカムあるいは内線で、「今から見学の〇〇様が館内を回ります。〇〇様ですので名前を呼んで挨拶をお願いします」というふうに念押しをします。
● ③館内見学中に職員と遭遇したら見学対応している職員から「おつかれさまです」と声をかけ、挨拶を交わしましょう。自然に見学者を紹介できますし、何より案内している職員もマネジメントがしっかりと出来ているというアピールにもなります。
■ この3点を抑えていただいて職員の良い対応はあらかじめ約束された状態で見学を行うと成約率を上げることに繋がります。
○ 3.当日のお出迎え・お見送りスタッフを設定する
■ 出迎えとお見送りには、誰が対応するか事前に設定をして印象に残る対応をしましょう。行うべき手順をご紹介します。
■ 出迎え時
● 来訪時の出迎え時、見学担当者、それからその時間に事務所にいるスタッフは全員で出迎えましょう。出迎えの瞬間の3分程度は手を止めて、みんなで玄関に行きましょう。可能であれば現場スタッフも約1名は居るとなお良いです。目安は合計で3名以上、到着の予定時間になったら、玄関のすぐ外に設置したウェルカムボードの横で待って迎ええて下さい。
■ お見送り時
● 終了間際に見学の担当者は少し席を外して、インカム等を使って見学者の見送りができるスタッフを呼び、帰りもできれば3名以上、玄関で終わりではなくて、外に出て姿が見えなくなるまでをお辞儀をしましょう。
■ この二つを毎回必ず実行するだけでも相当な効果があります。指示をすれば明日からでもすぐにでも行えますので実践してみて下さい。
方法4:成約率を上げるクロージングと追客の方法
● 見学者の意向を引き出して次のステップに進められる、効果的なクロージングのための三つのルールと追客の仕組みをご紹介します。
○ 3つのクロージングルールで契約をしやすくする
■ 1.見学、説明が全て終わったあと、ブレイクタイムを作ります。見学者に「パンフレットなど、お渡しする資料をまとめてきますので」などと言って約5分離席し、その際にドリンクメニューを提示して再度お茶やコーヒーなどを出しましょう。
■ 2.5分後に戻って一言「以上となります。いかがでしたでしょうか」と投げかけましょう。一度、考える時間を作ることによって、ある程度の方向性を答えてくれるようになります。
■ 3.反応が良ければ、訪問調査など次の約束を決めてしましょう。予定が分からなければ、仮の日程を決めて、「都合が悪ければ連絡ください」というふうに締めます。できる限り、アポイントまで決めてしまうというところがポイントです。
○ お手紙追客の仕組化で成約率を上げる
■ クロージングの後、お客様からの連絡をただ待つのではなく、見学者をお見送り次第、見学担当者は手書きの手紙で、見学のお礼、ヒアリングをしたお悩みについての共感、そして困ったらいつでも連絡をしてきてほしいという旨を簡単で良いので書きましょう。その際に、テンプレートを作成することで、職員の負担を減らせます。その日のうちに発送をして、5日後に見学者に電話をして「届きましたか」という会話から追客をしていただくという仕組を作ることで、スムーズに会話を始めることが出来ます。
方法5:事前の訪問調査・入居判定でスムーズな契約
● 最後になります。仮申し込みをしていただいて訪問調査から契約時のポイントです。契約に大きくは影響しませんが、一つだけ注意しなければならない対応がありますので解説します。
● スムーズな契約のための訪問調査・入居判定のポイント
○ 入居の受け入れの検討会ですが、訪問調査の前に開きましょう。契約までをスムーズにすることが出来ます。担当者は見学後に申し込みをもらって訪問調査に行くまでの間になるべく診療情報や提供書などの資料を集めましょう。それを元に事業所の役職者を集めて、検討会を開いて今ある状況で判断するとしたらというルールで、仮入居判定をします。訪問調査前に入居受け入れはほぼOKな状態にしておいて、書類だけでは分からないような、より細かな情報などを訪問調査で埋めるために行くという認識を施設職員にも持たせましょう。無駄な調査を防ぎ、契約までをスムーズにできます。
今回ご紹介したことを担当者に実行させることによって、増えた問い合わせを着実に契約につなげていくことができた事例です。このコラムを参考に、見学誘導、見学対応を行って成約率アップや高稼働率を実現して下さい。