デイサービス市場はいま、成熟期を迎えています。
2023年度の平均稼働率は69.4%、赤字事業所の割合は43.9%。
月平均収支差率はわずか1.5%と、多くの事業所が利益確保が困難な水準にあります。
市場はすでに成長期を終え、いわゆる「成熟期マーケット」に突入しています。競合が増え、サービスの差別化が難しくなる一方で、利用者ニーズは多様化し、求められる機能も複雑化しています。この環境下で生き残るために、経営者が取るべき事業戦略は、大きく3つの方向に整理できます。
第一は「総合化(強者戦略)」です。
これは、事業投資を行い、競合他社の「特徴」や「強み」を包み込む戦略です。例えば、他社が機能訓練に強みを持つなら、自社でも同様のプログラムを導入したうえで、さらに+αの付加価値を加え、地域の包括的ニーズを取り込んでいく考え方です。
第二は「専門化(差別化戦略)」です。
強みの一点突破で選ばれるモデルを構築する考え方で、認知症特化、機能訓練特化、調理リハビリ、重度対応型など、独自のコンセプトを磨き込み、他社にはない専門性で市場を絞り込みます。
第三は「事業転換・事業付加(再設計戦略)」です。
市場環境や競合他社の分析を踏まえ、事業転換や客層付加を行う方向性であり、共生型デイや生活介護への転換(障がい利用者の受け入れ)、または小規模多機能への転換などが代表例です。既存事業を前提とせず、新たな制度領域や利用者層を取り込むことで、持続可能な収益基盤を再構築していきます。
こうした変化を先取りし、成功を収めているのが、全国776事業所を展開する株式会社ツクイです。同社は「在宅強化」「保険外事業」「DX推進」を三本柱に、現場主義の多角化経営を推進。各拠点では“1拠点1テーマ”を掲げ、機能訓練、認知症、食事など、それぞれの得意分野を明確化しています。データと現場の知見を組み合わせ、稼働率と人材定着の両立を実現する仕組みを構築している点が特徴です。
また、収益性の高い経営へ移行するためには、いくつかの主要指標(KPI)を定期的にモニタリングすることが不可欠です。特に、稼働率・利用単価・新規契約数・営業件数・成約率・人件費率・営業利益率などを把握し、「稼働率95%以上」「人件費率55%未満」「営業利益率10%以上」を目標ラインとして設定するのが有効です。
数字を経営判断の軸に置くことで、感覚ではなくデータに基づいた改善が可能になります。
こうした成功モデルを現場で実践してきた手法を学べるのが、船井総合研究所主催のセミナー 『全国776事業所!大手介護会社が教える介護戦略セミナー』です。講師は、ツクイ ゼネラルマネージャー 佐藤園子
氏。現場から経営までを一貫して経験し、在宅・保険外・DXの三位一体経営をどのように組織へ浸透させたのかを、具体的な事例を交えて解説します。
全国776事業所!大手介護会社が教える介護戦略セミナー

この記事を書いたコンサルタント

森永 顕成
新卒で船井総合研究所に入社。 専門はデータと事例を活用したシニア関連事業の 戦略策定と実行支援コンサルティング。 既存事業の収支改善、高収益化支援を得意としており、 中小・中堅企業から地域一番企業まで 幅広いクライアントの経営支援を行なっている。













