”単独型”老健が超強化型に転換できた理由

2024年3月22日配信

カテゴリ:
保険制度改定 介護

介護老人保健施設を運営されている医療法人・社会福祉法人の皆様。
いつもありがとうございます。
船井総合研究所の古賀です。

老健経営において重要な「超強化型転換」「稼働率の維持」ですが、
どちらも両立するというのはなかなか難しいというお声をよくいただきます。
類型については強化型以上、稼働率については93%以上というのが一つの目安となりますが、
皆様の施設おかれましてはいかがでしょうか。

今回は、「超強化型」かつ「稼働率95%以上」を達成している「単独型」施設の事例についてお伝えします。

在宅復帰率向上のカギは「入院の防止」

「在宅復帰率50%以上」と聞くと、毎月何名も在宅復帰をさせているという印象を持つ方もいらっしゃるかと思います。
ところが、在宅復帰率5割を超えていながら、毎月の復帰者数は2~3名という施設がよくあります。
こういった施設が復帰率50%を超えられている理由は、「看取り・在宅復帰以外の退所者数を抑えているから」です。
「在宅復帰者数」÷「看取りを除く退所者数」が在宅復帰率となりますので、
分母である「看取りを除く退所者」つまり特養への移行や入院による退所者を抑えることで、
復帰者数がそれほど多くなくても30%、50%を超えられているということです。

特に毎月の入院者については、施設によってバラバラである印象です。
ターミナルケアの体制や、老健内での医療対応に強い施設であるほど、入院が少ない傾向が見られます。
これこそが、単独型の老健が超強化型を算定できている大きな要因の一つです。
母体に病院を持つ老健とは異なり、入所導線が外部の病院・居宅である単独型施設は、
退所者のコントロールによって稼働率をなるべく維持しながら在宅復帰率を上げることに成功しています。

前述の在宅復帰率の計算方法や、施設方針を多職種でしっかりと共有しておくことで、
相談員・リハビリだけでなく看護職を巻き込んで入院防止・在宅復帰率向上を進めることがポイントになります。

稼働率向上のカギは「断らない」こと

一方で、稼働率の維持・向上については「断らないこと」がポイントです。
母体に病院がない単独型施設では、外部からの紹介が主な入所経路となります。
当然、透析での送迎が必要な方など、どうしても受け入れが難しいケースはあります。
施設内で受け入れ基準を定めたうえで、正しく地域に発信・理解していただくことで、
相談時のミスマッチを極力減らすことは可能です。
そのうえで、問い合わせが来た際は「なるべく受け入れる」という姿勢を見せることで、
地域内での信頼を獲得することが重要です。

近隣居宅・病院との信頼関係の構築、受け入れ基準やサービス内容を正しく浸透させるためにも、
特に単独型の施設は営業活動が欠かせません。
稼働率が高い事業所の共通点の一つは訪問営業件数であり、
目安として毎月40件以上居宅ケアマネ・病院のソーシャルワーカーと接見しています。
問い合わせ件数を最大化したうえで、簡単に断らない ということが稼働率維持・向上において重要です。

今回お伝えした類型向上・稼働率向上について、単独型の施設の成功事例をセミナーにてお話いただけることになりました。
単独型の施設の皆様はもちろんのこと、併設医療機関のある施設の皆様にとっても、
必ず参考になる内容となっております。
「超強化型転換」「高稼働率の維持」という二大テーマでお伝えしますので、
年度の切り替わり、改定の施行に合わせて知っておいていただくことを強くオススメします。
お読みいただきありがとうございました。

【単独型老健の超強化型転換の事例】


この記事を書いたコンサルタント

古賀 啓佑

福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。

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