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厚生労働省より、2022年度の介護事業経営実態調査の結果が公表されました。
介護事業全体利益率の平均は前年(2021年度)よりも0.4ポイントダウンし、
2022年度の平均利益率2.4%となりました。
厚生労働省が要因として挙げているのは、
① 介護報酬が公定価格である
② 物価・賃金が上昇したことで、光熱水費や人件費の支出が大きく増加した
この2点であり、収益面にはいわゆる天井がある一方で、支出が増えているということです。
今回の実態調査で特に経営状況が悪化しているのが特養と老健となりました。
それぞれの収支差率について、特養は前年から1.0%ダウンし-2.2%、
老健は前年から1.1%ダウンし-2.6%となりました。
皆様におかれましてはいかがでしょうか。
ここからは収益性を担保できている事業所の特徴について、詳しくお伝えしていきます。
介護老人保健施設の約4割が赤字になっている
独立行政法人医療福祉機構のレポートによると、
2021年度の経営状況について介護老人保健施設の33.8%が赤字となっています。(回答数1478)
2020年の数値が28.0%だったことや、今回の厚労省の経営実態調査をふまえると、
介護老人保健施設の経営は年々厳しくなってきていると言わざるを得ません。
しかしながら、24年の報酬改定に向けて議論されている内容は、
老健に追い風となる内容はあまり見受けられない印象です。
特に、「多床室料の自己負担化」については実現されれば老健の入所者獲得に大きな影響をもたらします。
現在、老健の多床室料の利用者負担については介護保険が適用されているため軽減されている状況ですが、
それが全額自己負担になるということです。
切り口を変えると、「安く入れる施設を探している」という高齢者は、
いわゆる3か月・6か月の縛りがある老健を積極的に選ぶ理由がなくなってくるということです。
特養はすでに多床室料が全額自己負担となっていることをふまえると、
今後「安く長期滞在できる施設」を探している方は特養や介護医療院へ、それが難しければサ高住や住宅型へ、
ということになります。
では、結局老健はどうすれば生き残れるのでしょうか。
その答えが、「リハビリをメインの機能とする、超強化型老健への移行」です。
これまでもセミナーやメールマガジンで何度もお伝えしている内容でありますが、
24年以降は現行の介護療養型医療施設は完全に廃止され、介護医療院の増加が見込まれます。
それに加えて今回の改定、ということなので現在加算型未満の施設は特に経営状況が悪化するリスクが高まります。
厳しい言い方をすればリハビリをしない老健が生き残れなくなっていくということです。
いかがだったでしょうか。
老健の経営状況と、24年以降の環境を踏まえた生き残り戦略についてお伝えさせていただきました。
「理屈はわかった」という方に、ぜひ実際の事例についても知っていただければと思います。
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この記事を書いたコンサルタント
古賀 啓佑
福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。