現状の介護業界とデイサービスの重要性
1-1. 介護業界の現状と求められるサービス
日本は急速な高齢化社会を迎え、介護業界の需要は特に高まっています。介護保険制度は充実しているものの、介護人材の不足や質のばらつきが問題とされています。また、家族介護の負担が増加しており、地域の支援が不可欠です。利用者が求めるサービスはリハビリ、交流の場、日常生活の支援など多様化しており、それに応える施設やサービスの創出が求められています。デイサービスは、こうしたニーズに即座に対応できる柔軟な形態として事業ポジションを確立しています。
1-2. デイサービスの役割と収益性
デイサービスは、高齢者が自宅で生活しながら必要な支援を受けられる重要な施設です。日中の活動を通じて、身体的・精神的健康を維持し、家族の介護負担を軽減します。また、利用者が地域社会とつながる機会を提供することで、社会的孤立を防ぐ役割も果たします。収益性に関しては、利用者数の増加に伴い、ストック型で安定した収入を得やすいですが、競争も激しいため、サービスの質や特色が非常に重要です。経営者は高齢者のニーズを的確に捉えたサービス展開が求められます。
デイサービス開業の基本ステップ
2-1. デイサービス形態の決定
デイサービスを開業する際は、まず提供するデイサービス形態を決める必要があります。デイサービスの形態にはいくつかあり、ビジネスモデルによって参入リスクと見込めるリターンが異なります。
例えば、1日預かる認知症対応型デイサービスや、1回3時間で2回転させるリハビリ特化型デイサービスなどの種類がありますが、今の地域社会や介護保険制度が必要としている形態を選定することが重要です。国の意向、地域の特性や競合状況を考慮した上で、ターゲットとなる利用者を絞り込むことが、成功への第一歩となります。
デイサービス事業は老人ホームなどと同じく、良くも悪くも売上の天井が決まっている業態ですので、新規参入を経営的に成功させるにあたっては、経費が少なく売上上限が高いデイサービス形態、言い換えると営業利益率の高い時流に乗ったデイサービス形態で出店することが最も重要です。例えば、
船井総合研究所が参入を推奨している時流のデイサービス形態には、要支援者の介護予防に特化した1回1時間の短時間デイサービスがあります。これまでのデイサービスとは異なり、保険適用の元気高齢者に向けたセミパーソナルジムというコンセプトで人気です。月商450万円で、経費が200万円程度の事業ですので、ご興味のある方はこちらをクリックしてご覧ください。
2-2. 数値計画の策定
開業計画の中で、数値計画の策定はデイサービス形態の決定に次いで重要です。初期投資、運営費、予想収入などを詳細に計画することで、経営の見通しを立てやすくなります。特に、利用者獲得のためのマーケティング戦略や、運営を安定させるための利益率計算を怠らないことが求められます。これにより、累積赤字の最大値や人件費として拠出可能な金額などの重要数値を算出し、財務の健全性を保ちつつ、今の企業体力でデイサービスを開業できるのかどうかの可否判断もします。
2-3. 開業要件を満たす
デイサービスを開業するためには、様々な法的要件を満たす必要があります。施設の面積、設備、職員配置といった基本設計から、介護保険制度に基づく指定を受けることまで、多岐にわたります。申請から認可までは1~2ヵ月程度かかるため、計画段階で早めに必要な手続きについて調査し、準備を進めることが重要です。
デイサービス新規開業における注意点
3-1. 立地選定の重要性
デイサービス事業は基本的に送迎を提供するため、利用者が自力で容易に訪れることができる場所である必要はありませんが、例えば、送迎範囲を店舗から車で30分以内としたときに、送迎範囲内に利用者の人口があるのか。また、地域の特性や周辺の競合施設も考慮する必要があります。人通りの多い場所に出店することができれば、看板やのぼりで通行人に対して利用者の募集やスタッフの求人募集などの直接的なアピールが可能となります。
3-2. 人材確保と育成の戦略
優れた人材の確保と育成は、デイサービスの運営において不可欠です。介護業界全体が人手不足の中、現場のスタッフが魅力を感じる職場環境を整えることが求められます。例えば、月例会議の中で報告を任されている自分の役割があることや、研修制度の充実、キャリアアップの機会を提供することなどで、長期的に働く意欲を促すことが大切です。
3-3. オープニング集客の鉄則
単月黒字の達成が、累積赤字のストップを意味すると考えれば、新規開業時の集客が、運営の成功を左右することは明白です。開業前に地域でのプレイベントやプロモーション活動を行い、認知度を高めることが大切です。また、オープニングキャンペーンを行い、初期の利用者を獲得することで施設の運営を安定させることが可能です。いま会社が抱えている顧客接点を有効活用することや、訪問営業、地域コミュニティとの連携も効果的な手段となります。
成功事例から学ぶデイサービスの運営
4-1. 成功したデイサービスの特徴
開業に成功しているデイサービスの共通点は、❶商品力❷営業力❸対応力のどれか、もしくは複数に強みを持っていることです。
まず❶商品力については、利用者のニーズを基にした多様なサービスを提供していることが挙げられます。介護度の重い方に向けた1日預かり型や、元気高齢者に向けた1回1時間の介護予防特化型などで、それぞれの利用者ニーズに応じたアクティビティやリハビリメニュー、リハビリ機材や外観などが特徴です。
次に❷営業力は、単純な訪問営業量だけではなく、品質としてハード面では自施設の良さが正しく伝わりやすいように販促物に落とし込めていることや、自施設の良さが伝わるキラートークが作れていること。ソフト面では、営業担当が自施設の空き状況や送迎範囲が頭に入っていること、そもそも自分のデイサービスが好きだということが挙げられます。
三つ目の❸対応力では、ケアマネジャーから責任をもって担当者さんを預かっているという意識をもち、ケアマネジャーがプランを組むうえで必要な情報をデイサービスとしてしっかりフィードバックすることが重要です。地域介護を支える連携先とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことで、エリアの地域包括ケアシステムの一部としてポジションを確立していきます。
4-2. 具体的な成功事例の紹介
兵庫県で成功しているデイサービス「リハビリモンスター」は、要支援者限定のデイサービスで、介護予防に特化したプログラムを提供しています。専門的な知識を持つ理学療法士スタッフが在籍し、まるで少人数制トレーニングジムのように、利用者3名に対してトレーナーが1名つきます。身体機能が少し衰えてきた高齢者でも安心して思い切り運動できる環境を整えているため、利用者や家族から高い評価を得ています。さらに、老化に伴う身体機能の低下に合わせて、1回3時間のリハビリ特化型デイサービスや訪問看護ステーションを自社で展開し、包括的なケアを提供することで、地域の信頼も獲得しています。このような成功事例は、他のデイサービスにも参考にされるべきポイントです。
デイサービス開業のまとめと今後の展望
5-1. 成功法則の整理
デイサービスの開業成功には、人員配置基準を満たすなど通常の行政手続き以外にも❶参入検討段階と❷開業準備段階でそれぞれ重要なポイントがあります。❶参入検討段階にはデイサービス形態の選択と数値計画の策定。❷開業準備段階では、商品力・営業力・対応力の強化を主軸に、オープニング集客施策への注力や、ケアマネジャーとの信頼関係の構築が経営的に成功できるかの急所になります。
5-2. 未来のデイサービス運営に向けて
今後のデイサービス開業には、時流のデイサービス形態が何か?という情報収集が不可欠です。総人口に占める65歳以上の割合が、2020年の29%から、2040年には35%まで増加するという2040年問題も控えており、介護業界はますます多様化していくため、柔軟に変化に対応する姿勢が求められます。
今回は、介護予防を推進できる点と、少ない人員で多くの高齢者へサービス提供できるという点で、時流に乗っている1回1時間のデイサービス「リハビリモンスター」を運営する株式会社PLAST代表取締役の廣田恭佑氏に最新のデイサービス形態についてインタビューした小冊子がございますので、ご興味のある方は下記のリンクから詳細をご覧ください。」と変更してください。
「5回転デイサービス成功事例レポート」概要
高齢化社会における「5回転ディサービス」は、短時間のリハビリを提供する新しいタイプのデイサービスです。職員5名で毎日50名に対応し、営業利益率は50%超。初期投資1,000万円で、単月黒字は6か月、開設時の人員は3名で運営でき、看護師は不要です。本サービスは要支援者の増加に対応し、介護事業所の収益性向上や地域社会への貢献が期待されます。また、短時間リハビリの効果が高く、利用者とケアマネジャーからも好評です。詳細なビジネスモデルやシナリオ、数値目標が明示され、予防サービスとして大きな注目を集めています。
この記事を書いたコンサルタント
武藤慶太郎
介護、歯科医療、人材紹介、地方創生等の業界を経てシニアライフコンサルティングチームに所属。新規事業開発の経験が豊富であることを特徴とするコンサルタントであり、現在に至るまで50社以上の公的介護・医療保険外事業(完全自費リハビリ事業・予防リハビリ総合事業等)の新規開設に携わる。マーケティング戦略に強みを持ち、中でも「Webマーケティング」においては業界問わず定評があり船井総合研究所自体のWebマーケティングも担当している。戦略立案から、具体的な広告戦略、サイト改善までWeb全般のサポートを行う。