コロナが中国介護業界に与えた影響及び今後の時流予測
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いつも読んでくださり、ありがとうございます。
地域包括ケアグループ、中国介護事業開拓チームの大上です。
本日も中国関連の記事を書かせていただきます。
私は2018年に入社して以来、日系企業でありながら、あえてローカル中国介護会社をメインに研究してまいりました。すでに中国の13の主要都市で200以上の介護会社を訪問調査し経営者と直接交流をし、今では月次支援などを通じて、中国のローカル介護会社の支援をさせていただいております。
少しでも日本の皆様に客観的かつ正確な情報をお伝えできればと思います(中国介護ビジネス、海外事業展開などに興味のない方には申し訳ありません)。
さて、今回はコロナと現在でも戦い続ける中国・中国介護業界の現状と今後の予測を中心に話していこうと思います。
中国・中国介護業界の現状
結論から申し上げますと、コロナの影響により、中国全体的には守りの体制であり、中国介護業界は史上最大のチャンスが来ますので。ここで一気に攻める介護企業も増えます。一方で、淘汰される企業も増え、業界の再編が行われつつあります。
中国の今
中国政府が先週“全国コロナ新規感染者数ゼロ”と発表しておりました。
ご存知の通り、中国は世界の中で一番最初にコロナと戦い、強制的な対策でコロナの広がりを封じ込めことに成功してと、いわれております。
実は2003年にちょうど北京の小学校に通っておりまして、その当時の政府の対応力や医療機関がさらにバージョンアップし、早い段階でコロナが収束するのは目に見えていました。それと同時に、これから社会的変化が加速し、チャンスをつかんだ新たな成功者が生まれる時代であると確信してます。
5月22日から27日に開催された中国の国会“中国人大和政协会議”の内容をみると、
政府は対内的には、現在慎重で、守り体制です。特に中間から下のボリュームゾーンに対しての優遇や支持を与え、失業者を最小限に抑える策にでてます。その対策として一番象徴的なのが、現在27の主要都市で推進される“摆摊経済”。これは日本でいう“屋台、路上店”のようなものです。これは2008年の北京オリンピックを境に、中国政府が厳しく取り締まりをしてきて、“城管”といわれる政府機関がパトロールし、罰金や拘束を恐れ、町からは屋台や路上店が消えてたのです。これが今では政府が“屋台や路上店も大事な文化だ”とのことで、改めて推進しております。参入ハードルが低く、初期投資も低いこのビジネスは現在ものすごい勢いで広がっています。
中国ではコロナ対策のため、約二か月以上全国民に政府が厳しく外出禁止令を打ち出し、人の流れを止めてきました。
さらに時期が中国経済に影響のでかい春節であったため、倒産する個人事業主、中小企業さらに大手が続出し、大幅なリストラ、フランチャイズ企業の閉店などが進み、仕事のない人があふれたのです。中国国家統計局によると4月時点での失業率が6%とはっぴょうしていますが、民間では20%と推測する企業や調査機関も少なくないので、現実はなかなか厳しいものだと思います。なので、この対策は多くの国民に喜ばれました。
中国介護業界の今
中国介護業界ではどうでしょう?中国ではまだまだ国を挙げて介護という業界を推進しており、求職者に“介護スタッフ”との選択を与えている最中ですが、ほとんどの業界が不景気なので、介護業界を狙う経営者や投資家は増えて、注目を浴びてます。
そんな背景もあり、現在中国の介護業界では今二極端に進んでいます。
まずここで皆さんにお伝えしておきたいのが、二点。
一、 中国の介護業界では入居率が約平均50%であること”
二、 中国政府の指示で、介護施設はまだ新規入居受け入れができないまたは一部コロナ検査をパスした証明をもって、14日施設内で隔離観察をしたのち問題がなければ入居Ok
なので、入居率がもともと高かった施設は、安定した収入があるので、経営は成り立っており、今では、家賃が安くなる傾向と、融資や政府の支援がもらいやすい傾向があるので、新規立ち上げを進める企業を多い。チャンスをつかみ、攻めに出る企業が増えている傾向です。
その反対にあるのが、入居率が低い施設。
中国では春節の後が新規入居獲得の絶好のチャンスで、入居率が低いところは、このチャンスを狙い、営業担当を多く確保したり、広告をたくさん打ち出したり、必死に頑張るのですが、コロナの影響で、政府から“施設内からは外出禁止、施設外からは入り禁止”と指示を受け、新規入居が進まないまま、退居も進み、赤字経営で苦戦してます。中では今まで大手として認識されていた介護会社は売りに出ていたり、そんな情報は結構入ってきます。
これからの中国介護業界
結果的に、良い企業はどんどん事業展開を進め、収益性に欠ける企業は一刻も早く成果につながる対策を打ちださないと、政府の介護会社に求める基準もどんどん厳しくなってきているので、悪循環に陥って、生き残れない可能性が大きいです。
お客様に必要とされるいいサービスを提供し、ファンを増やし、ロイヤルティーを高め、ブランド力のある介護会社が今後着実に事業を展開し、シェアを獲得し、業界を引っ張っていくことは間違いないでしょう。今まではビジネスモデルが日本に比べ、本当に乏しかったので、優秀な企業は今、ビジネスモデル開発を進めています。楽しみですね。
介護業界の日中の合作について
5月の中国国会で上海、天津、青島、大連、蘇州、成都、この6の都市で中日地方発展合作師範区の設立が発表されたので、今の中国は親日の傾向にあります。中国の介護業界では、まだまだ“日式介護”のブランド力は高いです。今後介護業界での日中の合作は増えると思いますが、中国で施設経営を含める事業の長期発展を目指すならマーケットへ対する理解、パートナー選び、及びローカライズはとても重要な三要素です。
介護人材の両国の合作も目が離せないです。中国政府では高度介護人材育成計画として、日本の専門学校、介護会社との合作を応援しています。日本でも、一時的に業界では人材が採用しやすい流れですが、大きな流れの中で、人材不足であることに変わりはないので、外国人人材の準備は一つの時流となると思います。そのために、質のいい、安定して人材を共有できるパートナーや、外国人材を受け入れる体制も、今のうちに整えたほうがいいと思います。船井がご支援する各地のシェアNO.1企業様でも着実にここの準備をしているのは間違いないでしょう。