【2024年介護報酬改定解説】老健が特に注意すべき改定3選

2023年10月26日配信

カテゴリ:
保険制度改定 介護

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今回は2024年の介護報酬改定について、老健が特に知っておくべき内容を中心に予測・解説をお届けいたします。
すでに計画されている24年以降の経営方針、施設の運営方針のブラッシュアップに
少しでもお役立ていただければと思います。
【老健が特に意識すべき改定3選】
① 多床室料の自己負担化!?
② デイサービスが訪問可能に!?
③ 財務状況の見える化
上記3つの内容を中心に解説していきます。

老健とサ高住・住宅型の競争が激化する!?

まずは①の「多床室料の自己負担化」についてです。
これまで老健・介護医療院・介護療養病床(2024年に完全廃止予定)の介護保険3施設については、
多床室料が介護報酬に含まれる形となっており、以前から「室料相当額の自己負担化」が議論されています。
現時点ではまだ議論は継続中ですので自己負担化が確定しているわけではありませんが、
多床室料が自己負担となった場合に想定される状況についてまとめていきます。
これまでは国の介護保険で給付される「施設介護サービス費」内に実質室料分が含まれていたことから、
多床室料が自己負担化する場合は介護保険給付額が減少します。
そのため各老健がこれまでと同様の給付額を維持するためには、
多床室の利用者から自己負担で費用を払っていただくなどの働きかけが必要となりますが、
「サ高住や住宅型は料金が高く、特養・老健は前者と比べて安価」
という理由で老健を利用していた方が継続して利用されるかどうかは怪しくなるといえます。
この改定の背景には「施設と在宅のバランス」を適正化することで
「施設から在宅へ」という流れを進めたい国の狙いが存在します。
仮に老健とサ高住の費用の差がほとんどなくなってしまうと、
「3か月・6か月」といった期限付きの老健より、
期限のない住宅型・サ高住を選ぶ利用者が増えることが予想され、老健の利用率がさらに下がってしまうことが懸念されます。

次に、②の「デイサービスに訪問介護を付加した複合型サービス」についてです。
通所介護事業所が訪問介護を実施可能となり、さらに包括報酬になることが予想されています。
現状の小規模多機能型居宅介護の泊りサービスがない形態とも言えます。
この改定によって予測されることとして特に老健が注意すべきは、
サ高住・住宅型に併設の通所介護が包括費用で訪問介護も実施できるようになることです。
簡単に言えば、現在サ高住に入居しており、
併設の通所介護を利用している方が同一費用で訪問サービスを受けられるようになるということです。
先ほどの①の内容と合わせて、施設入居者が老健もしくは住宅型・サ高住を選ぶ場合、
料金面・サービス内容と合わせて住宅型・サ高住のほうが合っているというケースが今以上に増えることが予測されます。
費用はそこまで変わらず、通所・訪問サービスを併用可能、3か月や半年で退去の必要がないとなれば、
老健の入所者獲得が今以上に困難になってしまう可能性があります。

最後に③の「財務状況の見える化」です。
これまで社会福祉法人は財務諸表の公表が必要でありましたが、
母体が病院の医療法人で老健を運営されている法人の皆様は、
病院・介護事業一体で財務会計をされていることもあるかと思います。
これまで介護事業単体としては見えづらかった採算性を見やすくする、という国の目的で、
今後は本業の医療と介護事業は分けた形で財務状況を公開しなければならなくなると言われています。
母体の病院の黒字に隠れて見えづらかった介護事業の赤字や不採算性が見逃されなくなるということです。
①と②の内容も合わせると、今後も勝ち残る老健とそうでない老健の二極化がより進むことが予想されます。

まだ議論が継続中の内容もありますが、今回の内容も踏まえて2024年以降に老健として勝ち残っていくためには、
「リハビリと機能訓練の違い」「医師・ドクター・リハビリ専門職による在宅復帰支援」など、
他業態との差別化を通じて「黒字化」することが必須です。
改定までの期間はあまり残っていませんが、24年以降も安定して事業を継続するため、
「知らなかった」という方はすぐに準備することをお勧めいたします。

 

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この記事を書いたコンサルタント

古賀 啓佑

福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。

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