近年、訪問看護ステーションの事業所数が大きく伸びています。
以前のコラムで訪問看護ステーションの増加はまだまだ続くことを予測としてお伝えしましたが、競争が激しくなっていることは事実。
マーケットにはライフサイクルがあります。あらゆるマーケットは、成長期で拡大し、成熟期でピークを迎え、そして衰退に至ります。
訪問看護は今まさに成長期の市場ですが、必ず成熟に向かっていきます。既に一部都市の市場環境は成熟期と言えるかもしれません。
成熟期のマーケットで取り組むべき販促は『差別化戦略』。逆に、成長期では『プッシュ販促による認知活動』が最も重要です。導入期に必要なのは啓蒙活動です。
これらを踏まえて、貴社が何に取り組むべきか、参考としていただきたい視点をお伝えします。
訪問看護のマーケットライフサイクル
競争激化時代の利用者獲得手法
(1) 営業量の確保
訪問看護の基本的な紹介元は居宅介護支援、病院、在宅支援診療所。
ご紹介いただくためには、大前提として私たちの活動を知っていただかなくてはなりません。
当たり前のことを言うようですが、まずは営業量を確保しましょう。営業量とは、営業先の数、足を運んだ回数、対面した人数や回数に現される数量です。
『プッシュ販促による認知活動』が、ニーズが高いが競合も日に日に増す成長期の市場における販促の基本です。
(2) 営業の質の充実
認知を得るだけで紹介は発生しません。認知と理解を得て、紹介が発生するのは導入期の現象です。成長期の市場では、認知、理解、そして好意を得ることで紹介に繋がります。そのため、ただ営業を行うだけでは不十分です。
重要な視点は関係性を踏まえた営業を行うこと。
全く面識のない営業先と、既にお互い見知った状態の営業先ではアプローチが変わります。過去にご紹介いただいたことがある営業先へのアプローチも変わります。
初回訪問のご利用者に対していきなり友達感覚で話しませんよね?何度も訪問しているご利用者に毎回、初対面のような会話もしないと思います。営業も同じです。訪問営業を訪問看護と重ねて捉えれば、営業の質を向上することは必ずしも高いスキルが求められる行為でないことがわかると思います。
(3) 差別化戦略
冒頭で申し上げたように、訪問看護のマーケットもいずれは成熟期に至ります。その際に重要になるのは差別化戦略。他社と明確に異なる特長を持つことで、比較対象の中から選択していただける確率が増します。
例えば、特定の分野の看護やリハビリを強化し、あるいは専門店化するという発想です。間違えてはならないのは、目立つ看板を掲げることが差別化戦略ではないということ。ニーズがなければ、ただ利用者層を狭め自分の首を絞める行為になりますし、『特化』を謡っても内容が伴わなければ無意味です。
ここまで参考にしていただきたい営業の視点をお伝えしました。最後に、具体的な取り組み事項と、あると便利な営業ツールをお伝えします。
【具体的な取り組み事項】
① 営業リストの作成
② 営業マップの作成
③ 営業・案件管理表の作成
④ 営業ツールの作成
⑤ 営業研修の実施
⑥ 経営会議の実施
【あると便利な営業ツール】
・営業アプローチブック:営業や相談者への説明に特化した資料。”1ページ1コンテンツ”で基本情報や特長、費用、よくあるご質問等を記載。紙芝居を行うように、資料をめくることで順を追って必要な情報が伝えられる。
・事例紹介チラシ・事例集:訪問看護やリハビリの事例を紹介する。活動の成果や質を伝えたり、利用者層の理解度を上げたり、具体的な利用者を想起させられる。
・サンキューレター:ご紹介いただいたご利用者の近況報告。リピーター育成に有効。
・ニュースレター:関係性安定・固定のための広報・ブランディングツール。
・無料案内チラシ: 初めて紹介いただく際、きっかけづくりとして有効。
・空き情報発信FAXチラシ:関係性ができあがった後は、定期配信で効果あり。
船井総合研究所では、新規参入の支援から、事業活性化のサポート、営業ツールの制作、成長に向けた仕組みづくり、差別化戦略の実行支援等を行っています。事例に基づいた現場主義のスタイルで、目的達成まで伴走いたします。
ご相談の際は、まずは無料の経営相談窓口にてお問い合わせいただくか、関連のセミナーにご参加ください。
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この記事を書いたコンサルタント
津田 和知
大手介護事業者の介護付き有料老人ホーム施設長を経て、船井総合研究所に入社。前職の経験を活かし、現場主義で問題の本質や改善の糸口を掴み、経営者のサポートを行う。コンサルティング領域は、介護施設の立ち上げや収支改善、訪問看護ステーションの立ち上げ、人事制度構築など。