いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
「居宅・病院に営業に行ってほしいけどなかなかいかない」
「営業に行ってるのに問い合わせが増えない」
今回のコラムではそんなお悩みのヒントになる内容をお届けします。
答えは
① 日々の訪問営業(あいさつ回り)は顔を覚えてもらうことを目的にする
② 在宅復帰後も使えることを伝える
の2つです。
老健の皆様に向けた内容ですが、介護業界全般の営業に共通する部分もありますので、
ご参考になれば幸いです。
訪問営業で最重要の目的は「覚えてもらうこと」
相談員がなかなか営業に行けていない!というお悩みについてですが、
主な原因は
① シフト作成段階で営業に行く日を決められていない
② 「営業」と聞いて紹介をもらうことを目的にしている
③ 「営業がしたくてこの業界に来たわけではない」というもっともな気持ち
です。
1つ目の営業する機会についてですが、
「現場業務で営業の時間が取れない」という声はコンサルティングでご支援する現場でも、
最も良く聞く声です。
多くの場合で解決に至るのが、シフトを作る段階で営業に行く日を予定日として組んでおくことです。
理想は2週間に1回の頻度で月2回、請求業務の期間はなるべく避けて7日~25日の間くらいが望ましいです。
一方で、そもそも訪問営業活動や稼働率を高く維持すること自体に相談員が納得できているか、という問題もあります。
「そう思えていないから、調整しようとしていない」ということはあると思います。
なぜそう感じてしまうか、という心理的な課題に関わってくるのが上記の②と③になります。
特に③はもっともです。営業がしたくて介護・福祉業界を目指す方は希少です。
ですので、単に「営業に行け!」というのではなく
・介護事業だってボランティアではなくあくまで事業活動であること
・黒字経営でなければ実現できないこと(人への投資、設備充実、労働環境の向上)
このあたりの背景を含めて目的を伝えていただくことです。
そしてさらに、「営業」の正しいやり方について学ぶ機会も当然必要です。
介護施設に入職して「ケアマネや病院へのあいさつ回りのやり方」をきちんと教えられている施設は少ない印象です。
「阻害要因」という表現をされますが、「営業に行けない理由」を1つずつなくすという当たり前の取り組みが必要です。
今回のメルマガですべてを詳細にお伝えすることはできませんが、
「営業(あいさつ回り)の目的は○○さん(相談員)の顔と名前を憶えてもらうこと」とお伝えしてみてください。
具体的には
・名刺を交換する(訪問したら当然のように名刺を出してくれるケアマネもいるが、そうでない人も普通にいます)
・入所とショートとデイケア(及び訪問リハ)があることを伝える
・「今、空いています!」ということを必ず伝える
・「また、私がご挨拶に伺わせていただきます」と伝える
まずはこれだけでOKです。
「それならできるかも・・・・!」と思ってもらえるのではないでしょうか。
所要時間は1件だいたい5分前後、慣れてきたら「今お困りごとはありますか?」と地域のニーズを探りましょう。
原則として同じ担当者が同じ事業所に訪問することで、繰り返しケアマネに会うことで顔を覚えてもらいましょう。
回る担当者ですが、入所は相談員が、通所は相談員がいない場合は介護主任の方が回れると理想的です。
慣れないうちは入所担当2名・通所1名の計3名体制などで回るようにし、
慣れてきたら「施設の東側はAさん」「西側はBさん」という具合にエリアで分け、二人合わせて施設として月2回営業に回れるようにしましょう。
通所の担当の方については、回る営業先自体は少なくても良いので、
まずは今利用されているご利用者の担当居宅に月初に実績配布の訪問と、
入所の営業日に合わせてもう1日月の中旬に回る2回の機会を確保しましょう。
繰り返しですが同じ営業先に同じ担当者が回る、という実施方法がおすすめです。
「繰り返し使える」ことを伝える
毎月営業を実施する、ということ自体が複数のハードルを越えなければならない場合もあると思いますが、
回ることが習慣化して覚えてもらえつつある段階で、伝える内容で意識いただきたいことがあります。
それは「老健が繰り返し使える」ということです。
居宅や病院からの見られ方で多いのが「3か月で必ず出される施設」という見方です。
しかし実態としては、在宅復帰された方であっても再度入所になる方や、
在宅生活を行いながらショートを利用される方、通所リハビリを使う方がいらっしゃるのではないでしょうか。
勿論、ご自宅が施設から遠くて退所後は別の事業所を使うケースもあると思いますが、
老健の役割に沿った理想的なかかわり方は
入所期間中は医師と専門職がリハビリで在宅復帰を支援
退所後はデイケアとショートステイで在宅生活をフォロー
ADLの変化や入院があったのち、再度本入所
上記を繰り返しながら、最後はターミナル目的で最期までフォロー
という関わり方です。
このコラムの執筆者自身も、施設の皆様と一緒に居宅や病院の営業に同行することがありますが
意外とこれが伝わっていない印象です。
営業に行く担当者自身も、「『3か月で出されますよね?』と言われてしまうと返答に困る」と感じることがあり、
それが営業に行きたくない理由になっていることもあります。
詳しくは老健協会が出されている「期待される老健の役割」の内容を熟読いただきたいのですが、
まずは自分たち自身が老健の正しい使い方を理解・実践しながら、
外部にもそれを正しく伝えていくことをおすすめいたします。
超基礎的かつ効果的!入退所管理の効率化

この記事を書いたコンサルタント

古賀 啓佑
福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。