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スグに使えるお役立ち情報 を意識して今回もお送りさせていただきます。
今回は、「介護老人保健施設ならではの入退所管理」というテーマで、
介護業界では苦手意識を持ちやすい「DX」と掛け合わせた施策をお伝えします。
在宅復帰用と長期利用用でベッドを分ける
老健オススメの入退所管理、それはつまり「在宅復帰用と長期利用用のベッドを分けること」です。
他の施設系サービスとは異なり、在宅復帰支援を中心に入院、お看取りなど退所が発生しやすい介護老人保健施設。
「稼働率が下がってしまうから積極的な退所支援をしづらい」という施設もあるかと思います。
そこで実施を検討いただきたいのが、「ベッドを分ける」ことです。
例えば100床の施設であれば、「30床”以上”は在宅復帰など回転用、残り70床までは長期利用を受け入れるベッド」と分けるということです。
ベッドを分けることのメリットは大きく3つあり、
① 在宅復帰(リハビリ)とレスパイト(看取り)両方のニーズに応えられる
② ○床ずつ、と基準値を決めることで在宅復帰率を維持しやすくなる
③ 特養への移行による退所を減らすことができる
という3点です。
更に丁寧に順を追って説明していきます。ぜひお付き合いください。
老健に求められている「在宅復帰率」ですが、まずは毎月何名復帰させるかを明確にする必要があります。
様々な施設をお伺いしたところ、
100床であれば概ね月3名の在宅復帰支援が実現すれば復帰率50%が可能です。
というのは、
「在宅復帰した人数」÷「看取りを除く退所者数」=在宅復帰率 であるため、
要は「在宅復帰した人数」と「入院・他施設への移行による退所」が同数であれば復帰率50%ということになります。
入院をいかに抑えられるかがポイントにはなりますが、月平均2名程度は入院を見込んでおく必要があります。
ということで、毎月3名程度在宅復帰支援を行うということが目標として決まります。
次に、復帰する方が何か月間施設に滞在するかです。
これは施設によって3か月だったり、6か月だったりするかと思います。
確実性を意識して仮に6か月とすると、先ほどの毎月3名の復帰者が6か月ごとに完全に入れ替わるということになります。
つまり、3名×6か月で18床を回転用ベッドと定めておくことで、
その18床だけを回転用としてしっかりと月3名ずつ在宅復帰支援を行うことで、
残りの82床が全く退所のない特養のような状態であったとしても、
在宅復帰率50%は達成されるということになります。
実際はご利用者のご状態やご家族の状態に合わせた復帰支援を行いますので、
回転用ベッド(在宅復帰を希望されている候補者)は毎月18床「以上」確保しておく必要があり、30床もあれば充分と言ってよいかと思います。
この回転用ベッド数が定まることによって、
「在宅復帰を希望しない方」「ターミナルを想定されている中重度者」
についても、「ウチの老健で受けられます」とハッキリ回答できるようになります。
これが先ほどメリットの①と②で挙げた内容です。
そして、回転用ベッド30床以外の残り70床は長期利用(ターミナル)が可能であるため、
老健入所中に申し込んでいた特養待機の順番が来たとしても、
「ウチで最期まで対応できます」というアプローチが可能となり、
メリット③に挙げた特養への移行による退所を減らすことも可能です。
これが老健に求められる在宅復帰支援とターミナルケアの両立を実現する入退所管理方法ということになります。
「スプレッドシート」を使った超簡単なDX
次に、「DX」の部分についてお伝えしていきます。
結論は「スプレッドシートを活用することで誰もがいつでも最新状況を確認できるようにすること」です。
前章の入退所管理方法(入退所管理表)をスプレッドシートを使って実施するということです。
先ほどの管理方法の複雑さと比べると「なんだそのくらいの内容か」と思われるかもしれません。
が、「DX」なんて実はそんなもん、と思っていただくことが大事な第一歩です。
皆様の施設でも入退所管理は実施されているかと思いますが、どのような方法でしょうか?
・相談室にホワイトボードで掲示している
・介護ソフトの機能を使って相談員が管理している
・Excelで管理、共有している
様々かと思います。
紙で作成して・・・ということは流石にないかと思いますが、
重要なポイントは
①誰もが ② いつでも ③ 最新状況を 確認できるということです。
この全てを満たしているのが「スプレッドシートでの管理」ということです。
入退所管理を中心で行う役割はもちろん相談員ですが、
介護・看護・リハを中心としたフロア担当の各職種リーダーにも共有するということが非常に重要です。
特に入退所の予定は現場も把握しておきたいということと、
先ほどの特養移行を減らすということについては現場の動きが不可欠であることが理由です。
その他、経営陣としてもベッドの空き状況を確認できるという点は、
現場にとってはプレッシャーですが正常なプレッシャーと言えます。
そしてこのスプレッドシートですが、複数人で同時に編集が可能であるため、
常に最新状況に更新されたものを見ることができます。
入れ替わりのある老健にとってはピッタリの機能です。
いかがでしょうか。
この章の冒頭で「たったそのくらい」とはお伝えしましたが、
期待される効果自体はとても大きく、
こういった「当たり前」を徹底することが介護事業において勝つために重要な行動です。
これまでの管理方法をスプレッドシートに変える、たったこれだけのことですが、
劇的な効果を期待できる「DX」でした。
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いかがでしたでしょうか。
老健にうってつけの入退所管理方法×「DX」という内容でお伝えしました。
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この記事を書いたコンサルタント

古賀 啓佑
福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。