介護老人保健施設が生き残るために最も重要なこと

2024年3月6日配信

カテゴリ:
老健・デイケア

介護老人保健施設を運営されている医療法人・社会福祉法人の皆様。
いつもありがとうございます。
船井総合研究所の古賀です。

4月1日から施行される2024年介護報酬改定について、情報がそろってきています。
介護老人保健施設については、ショート・通所リハビリ・訪問リハビリと入所だけでなく、
居宅サービスを含めかなり多くの改定事項が出ています。
室料に関する改定、リハ・口腔・栄養の一体的取り組み、介護DX、医療との連携など様々ありますが、
「結局何に取り組めば?」と感じていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

タイトルにも問いを設定しましたが、その答えは「強化型以上を算定しておくこと」です。
今回は報酬改定の内容にも触れつつ、その理由をご説明いたします。

全体的にプラス改定だが、格差が広がる改定となった

2023年末に出された経営実態調査において、
介護老人保健施設と特養は経常利益率の平均値がマイナスとなりました。
老健は-1.1%となっており、約4,200の全国の施設の経営状況の平均が赤字ということになります。
この厳しい状況もふまえ、基本報酬をはじめ今回の改定はプラス改定となりました。
基本報酬は類型に関わらずプラス改定となったほか、各種新加算の設定により、
老健全体の収益を安定させ、事業を継続させることが国の意図となります。

老健にとって改定の目玉となる内容は
・処遇改善加算の統一
・基本報酬の改定
・リハビリテーションマネジメント加算の見直し
・在宅復帰・在宅療養支援等指標の見直し
このあたりになるかと思います。

新しい取り組みの評価、基本報酬の底上げなどプラス改定といえますが、
基本報酬の差は強化型以上/未満でさらに広がることとなりました。
要介護3の方で見た場合、現行は強化型以上/未満の単位数は76単位の差でしたが、
今回の改定でその差は100単位に広がることになります。

100床の規模で考えたとき、100単位の差は月間300万円の収益の差となります。
「在宅強化型」以上でいられるかどうかが、老健の”勝ち負け”を明確に分けるラインといえます。

”単独型”老健が超強化型へ転換した事例

老健の類型を強化型以上のにするためには、
「在宅復帰率」(20点満点)
「ベッド回転率」(20点満点)
のどちらかを最低でも10点取らなければなりません。
在宅復帰率を30%以上に上げるか、ベッド回転率を5%に上げるかが必要になります。
しかし、在宅への退所を進めていくことで稼働率が落ちてしまう、
というのが老健が陥りやすい落とし穴です。

稼働率を維持しながら、在宅復帰支援・ベッド回転を行う必要がありますが、
ここでよく言われるのが「母体に病院がないと入所者獲得が難しく、稼働が維持できない」
というお悩みです。

病院やクリニックを持たない、いわゆる「単独型」老健の場合、
母体の医療機関の患者さんを老健へ、という動きができません。
それゆえに、「ウチで在宅復帰支援は難しい。とにかく満床にしておくことで加算型だけど何とか黒字に」
という方針を取りがちです。

しかし、冒頭お伝えしました通りそれではダメなのです。
強化型以上のほうが報酬が大きい、ということだけではなく
「在宅復帰支援を行う施設かどうか」で国からの見られ方が変わってきています。
今回の改定でその他型・療養型の老健は多床室料が減算となりました。
これは、「高齢者が”住む”ための費用は介護保険で賄わない」という明確な国のメッセージです。
サ高住や住宅型であれば、当然居住費を介護保険で補填はしません。
しかし老健は、「住む場所ではなく一時的に入所する施設」であるからこそ、
多床室料が介護保険で一部賄われているということです。
今回はその他型が対象となりましたが、「在宅復帰支援を行わない施設は減算」という流れはおそらく今後も変わりません。

それだけでなく、24年に完全廃止の療養病床が介護医療院へ転換していきます。
地域包括ケア病棟の在宅復帰先となる介護医療院と、そうではない老健を比較した場合
「医療機能のある施設で最期まで安心して暮らしたい」という方は、退院後老健ではなく介護医療院へ移っていきます。
老健はこれまで以上に病院からの入所者獲得が難しくなるため、
「リハビリしたい」「在宅復帰したい」という方を一番の対象者として、
「在宅復帰できる施設」つまり在宅強化型であることが何よりも重要となります。

単独型で超強化型を算定しており、
10項目の在宅復帰・在宅療養支援等指標で満点を取られた施設の事例について、
セミナーでお伝えさせていただくこととなりました。
単独型の施設の皆様はもちろんのこと、併設医療機関のある施設の皆様にとっても、
必ず参考になる内容となっております。
「超強化型転換」「高稼働率の維持」という二大テーマでお伝えしますので、
年度の切り替わり、改定の施行に合わせて知っておいていただくことを強くオススメします。
お読みいただきありがとうございました。

【単独型老健の超強化型転換の事例】


この記事を書いたコンサルタント

古賀 啓佑

福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。

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