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株式会社船井総合研究所の森永です。
小規模多機能型居宅介護は、近年注目を集めている介護サービスです。利用者様一人ひとりのニーズに合わせた柔軟なサービス提供が可能であること、住み慣れた地域での生活を継続できることなど、多くのメリットがあります。
しかし、小規模多機能の経営は決して容易ではありません。事業の運営難易度が高く、黒字化に苦戦している事業所も多いのが現状です。
そこで本コラムでは、最新の調査データに基づいた小規模多機能の現状分析と、2025年に向けた成功戦略について解説いたします。
はじめに
小規模多機能型居宅介護は、近年注目を集めている介護サービスです。利用者様一人ひとりのニーズに合わせた柔軟なサービス提供が可能であること、住み慣れた地域での生活を継続できることなど、多くのメリットがあります。
しかし、小規模多機能の経営は決して容易ではありません。事業の運営難易度が高く、黒字化に苦戦している事業所も多いのが現状です。
そこで本コラムでは、最新の調査データに基づいた小規模多機能の現状分析と、2025年に向けた成功戦略について解説いたします。
業界の時流について
■小規模多機能事業所の現状と課題
厚生労働省のデータによると、小規模多機能事業所の数は2022年まで増加傾向にありましたが、2023年以降は減少に転じています。 これは、市場の成熟化に加え、事業の運営難易度が高く、黒字化できない事業所が多いことが要因と考えられます。
実際、株式会社船井総合研究所の調査では、登録者数が20名未満かつ平均要介護度が2.0未満の事業所が全体の6割以上を占めており、収益的に厳しい状況にある事業所が多いことが明らかになっています。
■小規模多機能の需要予測
一方で、厚生労働省は、第8期介護保険事業計画において、小規模多機能の整備を今後も推進していく方針を打ち出しています。 これは、中重度者~重度者向けの在宅介護サービスを充実させることで、社会保障費の抑制を図る狙いがあります。
また、少子高齢化の進展に伴い、在宅介護の担い手不足が深刻化していることも、小規模多機能の需要増加を後押しする要因となっています。 内閣府の調査によると、65歳以上の者がいる世帯のうち、独居や老老介護の世帯割合は6割を超えており、今後も増加していくと予想されます。
今後の予測
■2025年に向けた成功戦略
2025年、小規模多機能事業を成功に導くためには、以下の3つのポイントが重要になります。
① 認知度向上
小規模多機能のメリットやサービス内容を、地域住民や医療機関に積極的に発信し、認知度向上を図ることが重要です。 特に、病院からの退院支援や、既存の在宅介護サービスでは対応困難なケースへの対応を強化することで、新規利用者の獲得につなげることが期待できます。
②サービス量の適正化
既存利用者のサービス量の見直しや、新規利用者の獲得において、小規模多機能の強みに合致した適切な利用者を受け入れるための営業活動・集客施策を行うことが重要です。 登録定員29名まで利用者を増やすためには、アセスメントとサービス量の適正化を行い、サービス量の余力を生み出す必要があります。
③単価アップ
要介護度が高い利用者を受け入れるとともに、各種加算の算定を着実に行うことで、収益向上を目指しましょう。 特に、認知症加算、看護職員配置加算、訪問体制強化加算、総合マネジメント体制強化加算などを積極的に取得していくことが重要です。宿泊費や食費の値上げも合わせて検討が必要です。
■成功事例に学ぶ
実際に、上記の戦略を実行し、高収益化を実現している事業所も数多く存在します。 例えば、埼玉県さいたま市の社会福祉法人永寿荘では、退院支援・在宅復帰の受け入れに注力することで、高稼働を維持し、高収益化を実現しています。 また、石川県金沢市の株式会社スパーテルは、登録者数を28名まで増やし、安定的な収益を確保しています。
ダウンロードレポートについて
本コラムで解説した内容は、船井総研が発行する「【小規模多機能】2025 時流予測レポート」で詳しく解説しています。 本レポートでは、小規模多機能の収益化に必要なテーマをワンストップでサポートするサービスもご紹介しています。 ぜひダウンロードして、貴事業所の経営戦略策定にお役立てください。
2025年は、小規模多機能にとって大きな転換期となるでしょう。 変化の波を乗り越え、成功を掴むために、今から準備を進めていきましょう。
本コラムが、皆様の事業発展の一助となれば幸いです。
【小規模多機能業界】時流予測レポート2025
2025年の小規模多機能の今後の時流についてまとめました。具体的には、小規模多機能が2025年に取り組むべき施策や、どのように業績アップを実現すべきかを記載しています。特に「何から始めればよいのか」「この先何をしていかなければならないのか」とお悩みの小規模多機能の経営者様必見の資料になっております。
小規模多機能の収支改善セミナー
■このような方にオススメ
・事業赤字が続いており、早期に黒字化をしたい
・介護事業で赤字を補填しており、事業継続を迷っている
・地方でも黒字化するためのノウハウが欲しい
・黒字化に成功している事業所の取り組みや方法を知りたい
・自事業所の経営状況が、他と比較して適切なのか知りたい
■講座構成
第1講座 小規模多機能の赤字脱却のためにすべきこと
・小規模多機能の運営実態
・小規模多機能が赤字に陥る理由と赤字脱却のためにすべきこと
・赤字の事業所と高収益な事業所の違い
第2講座 小規模多機能 成功への軌跡
・小規模多機能モデルの収益化に成功するまでの取り組み
・アセスメント重視のケア・マネジメントと多職種連携
・介護職の専門性を高めるための教育と環境整備
・サービスの指標化・見える化による運営管理
・在宅復帰や在宅生活継続事例のフィードバック営業による顧客獲得
第3講座 小規模多機能の高収益化の方法
・高収益化を実現するための事業戦略
・サービス設計、集客設計、業務設計の全体像とポイント
・赤字パターン別の改善ステップ
第4講座 本日のまとめ
・事業成長を続ける法人になるための成功法則
この記事を書いたコンサルタント
森永 顕成
新卒で船井総合研究所に入社。 専門はデータと事例を活用したシニア関連事業の 戦略策定と実行支援コンサルティング。 既存事業の収支改善、高収益化支援を得意としており、 中小・中堅企業から地域一番企業まで 幅広いクライアントの経営支援を行なっている。