皆様、いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は「介護業界における多職種連携」に焦点を当て、
① 連携がうまくいかない施設の特徴
② 連携がうまくいかない理由の整理
③ 多職種連携を実現するためのポイント
という3点をお伝えしていきます。
今回は医師・看護師・介護職・リハビリ専門職・相談員・栄養士と
介護業界で最も多くの職種が関わる介護老人保健施設での知見をベースにお伝えしていきます。
どの業態でも当てはまる内容かと思いますので、ご参考になれば幸いです。

多職種連携がうまくいっていない状態と原因、解決に向けたポイント

多職種連携がうまくいかない施設の特徴
 まずは「多職種連携がうまくいっていない」という状況を定義していきます。
共通してみられる特徴は
・離職率が15%を大きく上回っており、入職した職員がすぐに辞めてしまう
・入所、入居の相談が判定会議で否決され、施設に空きが出ている
・入院防止、ターミナルケアといった医療対応が苦手
・職種間で上下関係が生じてしまっている
この4つです。

 離職率については想像がつきやすいかと思います。
介護業界における離職率の平均は15%と言われており、それ以上に離職が起きてしまっている場合は組織の風土、
職員の人間関係がよくない可能性があります。
中には、「新人を育てる時間なんてない。即戦力の人材を採用してほしい」という声が挙がってしまう施設もあります。
先輩職員が新人を育てる風土はなく、職員間のコミュニケーションも不十分である施設によくみられるケースです。

 次に、入所・入居の相談が断られてしまっている場合も要注意です。
相談員や管理者など、渉外活動を担当されている方の営業活動によって得た問い合わせを、
「現場が忙しい」など受け入れ・対応の都合で断ってしまっている場合は要注意です。
これは施設の受け入れ基準や方針(どんな医療対応であれば対応できるのか、
どういう方に利用いただくのが良いのか)が浸透しておらず、
いわゆる営業担当とサービス担当との間に溝が生じているという状況です。

 3つ目の入院防止・ターミナルケアについても、2つ目と類似しています。
特に看護師の方の協力がなければ、施設での医療対応やターミナルケアは実現不可能です。
ドクターが配置されている老健では、医師の方の方針によっても医療対応やターミナルケアを実施しないという施設もあります。
「医療と介護の連携」とよく言われますが、核となる看護師(及び医師)と介護職での連携が不十分であったり、
2つ目に挙げた施設方針と現場の目線がそろっていないケースに起こりやすい問題です。

 最後が職種間の上下関係です。ここまでの3つの問題にも大きく関わりがありますが、
介護と看護、介護と医療(リハビリ)との間で溝が生じてしまっているケースです。
老健においては、リハビリ専門職の方が職員間で「○○先生」と呼ばれていることがあります。
ドクターによる医療の提供と同様に、リハビリの現場では患者と先生という関係性がありますが、
本来介護福祉士も看護師もリハビリ専門職も国家資格を有するという点で同じであるはずです。
ある施設では、「看護職だけが使える休憩室がある」という話もありました。
職種間の関係性がよくなければ、当然多職種連携のハードルも高くなります。

多職種連携がうまくいかない理由と解決のヒント
 次に、なぜ多職種連携がうまくいかないのか、原因や理由を整理していきます。
まず新人育成の風土がなく、離職率が高い点についてです。
これは事業所単位での話であると同時に、法人全体に共通した問題であることがよくあります。
カギを握っているのは各事業所のマネジメント職です。
離職防止において最も重要なことは上司と部下のコミュニケーション頻度を担保することです。
1on1ミーティングなど、上司―部下のコミュニケーションの機会を定期的に作ることと、
その際には仕事の話ではなく「その人の人となりを知るための会話」を心がけることがポイントです。

 次に、入所・入居の受け入れが断られることについては施設方針、経営方針が浸透されていないことが原因です。
渉外活動に関わる相談員や管理者であれば、「稼働率を上げなければならない」ということを理解されている方がいる一方で、
受け入れ後にサービスを提供する現場の方々にとっては、
事業所の収支状況や稼働率の話は日々目の前のご利用者への対応よりも遠い話に感じてしまいます。
これについても経営陣と現場の間に立つ管理者や役職者の動きが重要であり、
経営会議等で決まった内容を現場に落とし込むことができているかどうかと、
逆に現場で出ている課題や声を経営会議にむけて吸い上げるということができているかがポイントになります。

 次に、医療対応やターミナルケアについてです。
看護師の方の中には、看取りを経験したことがない方もいらっしゃいます。
また、介護施設は急性期病棟などとは異なり、緊急の医療対応が必要な方ばかりがいらっしゃるわけでもありません。
医療対応やターミナルケアがどの程度必要であるかは業態や施設の特徴によっても異なります。
「過去に看取りをやったことがある」看護師の方がいらっしゃる場合は、シンプルにその方を中心にまずやってみるということが大切です。「誰もやったことがない」という場合は、地域の在宅医療のドクターの方が開催される看取りの勉強会や、
協会研修などをうまく活用してまずはやり方を知るということが必要です。
これらの研修・勉強会などに参加してもらうためには、前述の「方針の浸透」ができていることが前提として必要となります。

 最後の職種間の関係性については、職種によって特徴が異なります。
過去にあったのは「介護職で急な欠勤があった際に、看護の方がカバーしているが、
逆の場合は介護職が看護の仕事をカバーすることはできず、看護から介護に対する不満が出た」というケースです。
このケースは技術的な面でできることとできないことが明確に分かれる以上、どうしても起きうることです。
こういった事態が起きないような業務シフトを組んでおくことも重要ですが、起きた後の勤務調整や業務調整、声掛けも大切です。
職員間での呼び合い方についても、「○○さん」で統一することがおすすめです。
ちなみに船井総研でも、上司と部下の関係で合っても「○○さん」と呼び合うルールになっています。
個人間の相性などもこれらに加えて関係することがありますが、ポイントをまとめると

① 離職防止に向け、上司と部下のコミュニケーション機会を定期的に作る
② 管理職は経営会議と現場会議を双方向でつなぐ役割を果たす
③ 施設方針を浸透させたうえで、ターミナルケアを含め対応力を上げる
④ 職種によって得意な分野が異なるが、上下関係を生まないためのルールを作る

今回お伝えするポイントについては、以上の4点となります。

多職種連携の成功事例が学べるセミナー/老健の収支改善・超強化型転換に成功した事例が学べるセミナー

いかがでしたでしょうか。
今回はなるべく端的にポイントをお伝えしましたが、
実際にどんな取り組みをすれば多職種連携が実現していくのか、
上手く多職種連携を実現されている法人の成功事例をお伝えできればと思います。
最も多くの職種が関わる介護老人保健施設において、
①離職率の改善(17%以上⇒約8%へ改善)
②経営方針、運営方針を現場に浸透させることに成功
③医師・看護師を中心とする医療面での受け入れ力向上
④現場の職員同士の関係性、施設内の雰囲気の改善
これらに着手し、成功された法人をセミナーゲストにお招きします。
特に介護老人保健施設で超強化型・高稼働率を目指して
運営されていらっしゃる皆様は必見の内容となっております。
業態ごとに定められている介護保険のルールと、
施設としてその役割を果たすために、多職種連携を実現することは必須といえます。
是非セミナーにご参加いただき、多職種連携の成功事例と方法を参考にしていただければと思います。
 また、介護老人保健施設の皆様におかれましては超強化型への転換、
収支改善に取り組んでいらっしゃる方も多いかと思います。
それぞれのテーマでの成功事例をお伝えするセミナーもオンライン開催いたしますので、
そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

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この記事を書いたコンサルタント

古賀 啓佑

福岡県北九州市出身。久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経済学部を卒業後、新卒で船井総合研究所入社。介護老人保健施設・デイケアの経営コンサルティングを専門とする。基本型老健の超強化型転換、デイケアの稼働率向上、収支改善、採用など、老健・デイケアのあらゆる分野での活性化を得意としている。正しい論理に基づく計画完遂と、論理で割り切れない人付き合いの両立を志向しており、クライントと共に粘り強く成長していくことを信条とする。

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