2024年の介護報酬改定に向けて徐々に情報と方向性が発表されてきています。
国が2025年問題から2040年問題の解決を検討している中で、今回の改定がどのようになっていくか?ということについて、各法人、各事業所、気になっているのではないでしょうか?
情報を「早く」収集することで対策を検討いただきたいと思います。
報酬改定まであと1年
次回の報酬改定の内容について気になるかと思いますが、あと1年は現行の報酬体系となります。
次回に向けて何を準備するか?ということはもちろん必要なことですが、この現行の報酬体系での「成果」の最大化を目指すことは非常に重要です。現在の課題を整理し、どのように対応するか?その際、どうすれば法人、事業所としての「成果」につなげるということが出来るのかを検討する必要があります。これは、報酬改定への対応を検討するよりも優先順位が高い項目です。なぜならば、現在の財源や人口動態を踏まえると、次回報酬改定を含め、今後現在の報酬から大きく報酬が「上がる」ということはなかなか考えづらいからです。つまり、現在の報酬体系できちんと成果が出てなければ、この先の運営を担保することが難しくなっていくと言えます。この1年をどう「使う」ことができるか?現在の報酬体系で「成果」の最大化をすることこそが今一番にやるべき報酬改定への対応と言えます。
現在検討されている介護報酬改定の内容
現在の運営を見直し、成果の最大化を図った上で次回改定に向けて現在出ている情報を整理していただきたいと思います。現在審議されている内容に対して、どのように対応していくかを考える必要があります。既に、議題には上がったものの見送られそうなものもいくつかあります。まだ、審議している内容もあり、決定に至っていないものもあります。その中で、本稿では、議題に上がっているもの、見送られたものも含めて整理し、対策を検討したいと思います。今回ピックアップするのは、次の項目です。
①財務諸表の公表
②人員配置基準の緩和
③「訪問+通所」の新サービスの創設
④要介護1・2の総合事業への移行(訪問介護、通所介護)
⑤介護助手の人員配置基準の位置づけ
⑥介護老人保健施設、介護医療院、介護療養病床の多床室の室料の利用者負担
⑦利用者負担の増
⑧ケアプランの有料化
⑨要介護認定の有効期間の延長
⓾被保険者範囲の拡大(40歳未満)
①については、社会福祉法人だけでなく、営利法人についても公表が必要になる可能性があります。拠点ごとでP/Lを作る必要があるため、税理士への依頼または変更を検討してください。
②の人員配置基準の緩和への対応については、下限品質を担保し、間接業務の時間を減らすためにもICT・IoTへの投資は必須であると考えます。補助金の活用も含めて、何を導入するか?を早めに検討し、23年度中に導入を目指すべきでしょう。
③の「訪問+通所」の新サービスの創設については、まずは通所で訪問をやるかやらないか?を決める。また、小規模多機能等の複合施設は競合対策必須であると言えます。
この中には既に今回の改定では見送ることになっているものもあります。
ただ、④のように何年も審議が行われている項目もあり、今回の報酬改定で見送ったとしてもいずれは実施される可能性が高いと考えられるものもあります。
今後の審議会の動向を注視しつつ、改定前に対応できる内容については、対応を検討いただきたいと思います。
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この記事を書いたコンサルタント
沓澤 翔太
デイサービス、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの新規開設、収支改善、異業種からの介護事業への新規参入支援などを手がける。現在は、主としてデイサービスや有料老人ホームの利用者獲得や新規開設を中心にコンサルティングを行っている。 介護事業のコンサルティングの他、療養病床の転換や訪問診療など、医療業界のコンサルティングや、医療器具の販売促進についても実績を持つ。