わずか1年で2400万円の利益改善!小規模多機能の成功モデル

株式会社ハピネライフ一光は、鳥取県・島根県・三重県・兵庫県などの山陰・近畿エリアを中心に、有料老人ホームなどの入居系サービス、小規模多機能、福祉用具をメインに現在33拠点展開している介護会社です。経営者の強いリーダーシップで運営体質を変革し、早期 収益化に成功された小島克己社長に取材しました。

取材の様子

Q.小規模多機能型居宅介護の収益化に至るまでの経緯を教えていただけますか。

A.私は、2015年10月にもともと努めていた銀行から転籍をする形で代表取締役社長に就任しました。就任当時は、1箇所のみしか黒字化に成功しておらず、事業所の中には年間800万円の赤字事業所もあり、経営的にはかなり苦しい状態でした。事業所数が8事業所ありましたので、小規模多機能部門全体で見ると、非常に大きな赤字だったんです。困惑しながらも、小規模多機能について調べると、このモデルが、在宅で暮らす高齢者の生活を支えるモデルだと理解しましたが、それを具体的にどうしていけば良いのかが、正直、イメージが湧いていない状況でした。なので、小規模多機能というものが、イメージできないからこそ、まずは現場に入り込んで、黒字化に成功している事業所と赤字に陥っている事業所を比較し、成功の要因がどこにあるのかを考えるところからスタートすることにしました。

Q.要因分析をされてみて、いかがでしたか。

A.要因分析を始めた当初、偶然にも行政担当者と接点を持つ機会に巡り会いました。貴重な機会でしたので、意見交換をしていると、「小規模多機能は定額制の24時間365日使い放題のサービスだから」と小規模多機能について発言をされていたんですね。私は、このことを耳にしたとき、非常に大きな危機感を抱いたんです。たしかに私は業界外から来た素人でしたが、24時間365日使い放題のサービスなんてものが本当に実現されてしまうと、当然ながら、職員は何人いても足りませんので、労務コストが膨れ上がります。とは言え、強引に人員基準通りの人数で回そうとすると、スタッフは疲弊し、現場のサービス品質の大幅な低下にも繋がりかねますので、いずれにしても持続的経営が成り立つわけがありません。私は、行政担当者ですら、小規模多機能のことを定額制の24時間365日使い放題のサービスだと誤解しているのですから、営業先や地域や他の事業所、はたまた我々の中にもそのようなズレた理解が蔓延しているのではないかと想像しました。

Q.スタッフの実態は、どうでしたか?

A.現場に入り込んで、職員から話を聞くと、案の定、悪い予感は的中しましたね。小規模多機能のサービスを24時間365日使い放題サービスだと認識をしているスタッフや、過剰サービスでも、利用者とご家族が喜べばいいじゃないかという考え方を持ったスタッフがいたんです。私は、恐ろしくなって、該当の職員に業務内容をヒアリングをしました。すると、やはり、明らかに介護事業所が事業として提供する業務量以上の過度なサービスを行っている現状が浮き彫りになったのです。まるで、ご自宅で自分の家族に対して介護をするかのように、四六時中利用者と接することをやりがいとして、働いている職員がいたのです。

Q.その状況を目の前にして、どうされたのでしょうか?

A.介護事業者が提供する介護サービスがどういうものであるべきを、改めて私自身も自問自答しましたが、結局、過剰サービスは、会社のためにも、スタッフのためにも、ご家族のためにも、利用者ご本人のためにもならないと結論し、職員の意識改革を行うことを決めました。当時、18名の利用者を14名の職員で対応している状態でした。職員の意識改革を行うにあたっては、収益化をしなければ、皆さんに還元することができないと、経営視点で意識改革の必要性を伝えました。また、サービスを詰め込みすぎてしまうことで、利用者ご本人のできることを奪い、ADLの低下に繋がってしまうことや、ADL低下に伴ってご家族の負担が増え、最悪の場合には、本人の自宅で暮らしたい想いを妨げることにも繋がると伝えました。運営側がサービスを提供して差し上げることに満足するのではなく、ご本人が在宅で暮らすために、可能な限りサービス量を減らし、自立してもらうアセスメントや動機づけを行うことが大切だと、何度も何度も教育していったのです。

Q.意識改革の他に取り組まれたことはありますか?

A.職員の意識改革と並行して、業務管理にもテコ入れを行いました。具体的には、ご家族との信頼関係を構築するための連絡帳活用、適正人員のシフト設計、利用者毎のサービス内容が視覚的に分かる利用者名簿を導入しました。利益体質な事業運営が可能になる適正人員をシフトで定め、家族と信頼関係を構築することで家族の協力を得ることができ、利用者毎のサービスが見える化されて、業務効率化に繋がりました。職員の意識が改善され、サービス量の適正化がなされるプロセスの中で、本来の小規模多機能の利用対象にすべき顧客像・役割が明確になってきました。

Q.具体的には、小規模多機能はどういった役割を担うものなのでしょうか?

A.例えば、小規模多機能は、病院を退院してから在宅で暮らすまでの期間のブリッジ的役割や、家族の介護資源に限りがあり24時間体制で見ることができない方の補助的役割、独居の方の服薬のお手伝いなどの見守り的役割を担うことができることが分かってきました。小規模多機能の役割が明確になり、地域の方々にも正しく発信して、伝えることで、在宅での暮らしをサポートしたいと考えました。

Q.地域の方々には、どのように発信をしていかれたのでしょうか?

A.小規模多機能の役割を周知するために、様々な施策に取り組みましたね。介護職員の専門は介護ですから、利用者と話すのは得意でも、外部の人と話すのが苦手な人が多いですので、毎月営業ツールを作って持っていかせる営業スタイルにしました。また、地域密着型サービスの特性を活かして、スーパーや開業医の窓口や喫茶店にあるパンフレットラックにチラシを置かせてもらい、営業導線を強化していきました。私自身も、行政とは頻繁にコンタクト取り、ケアマネ講習会などで、行政から説明してもらうようにお願いし、地域のケアマネにも小規模多機能の使い方、役割を理解していただけるように根回しを行ったりもしました。

Q.成果はあったのでしょうか?

A.こういった取り組みに切り替えた結果、私の中での手応えと連動して、1年間で西川津の単体事業所は年間700万円の利益額の改善、小規模多機能部門全体では年間2400万円の利益額の改善し、役割を周知するという意味における一定の手応えを感じました。以前は、18名の利用者を14名のスタッフで対応したこともあったのですが、現在は24名の利用者を10名のスタッフで対応しており、コンパクトな事業所でありながら、月最大利益が150万円に達する事例も出てきており、非常に利益体質な事業の柱になりました。

Q.小規模多機能が事業として成立したことで、何か変化はありましたか?

A.小規模多機能が利用者を安定獲得できるようになったことによって、これまでは抜け落ちていたニーズを法人内で確保することが可能になったので、既存業態への相乗効果を得ることができ、介護部門全体の利益体質にも繋がりました。例えば、デイサービス単独利用で、在宅で暮らせない方の小規模多機能への契約切り替えや、小規模多機能でリハビリを行ってデイサービスへの契約切り替えという流れがスムーズにできるようになりました。

Q.今後の事業展開について教えてください。

小規模多機能は、収益性も高く、既存の業態では救えない方を救うことができるという意味で社会性も高い素晴らしいモデルですので、これからも事業展開の中核に据え、人材が充足したタイミングでチャンスを見て、展開を検討していきたいと考えています。

株式会社ハピネライフ一光

設立:2005年10月

本社:三重県津市西丸之内36番25号
株式会社ハピネライフ一光は、鳥取県・島根県・三重県・兵庫県などの山陰・近畿エリアを中心に、有料老人ホームなどの入居系サービス、小規模多機能、福祉用具をメインに現在33拠点展開している介護会社。

HP:http://www.h-ikkou.co.jp/index.php

担当コンサルタント

大塚 卓史

森永 顕成
介護・福祉グループ 施設介護チーム

船井総研に入社後、様々なBtoCビジネスを経て、介護業界の経営コンサルティングに特化。
利益体質の法人作りをサポートする新人育成体制の構築、社内基準の標準化、生産性を上げる人事制度構築など、マネジメント領域支援を得意としている。現場主義・事例主義・結果主義を信条とし、成功確率の高いコンサルティングを志向。親身な対応、熱心な仕事ぶりから、厚い信頼を得ている。

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