IoTシステム導入で、17時間/日の業務効率化に成功
ICT/IoTシステムをパートナー企業と共同開発
三浦(船井総研):ICT/IoTシステム『EGAO link』とはどのようなシステムですか?
山本様:当社と4社のパートナー企業(「パラマウントベッド株式会社」「アイホン株式会社」「株式会社富士データシステム」「住友電設株式会社」)と共同開発した、介護業界スタッフ向け業務効率化ICT/IoTシステムです。
大きな特徴は、各パートナー企業がすでに介護業界向けにリリースしている製品を連動させ、『記録の電子化』『ナースコールの自動記録』『呼吸・心拍・睡眠状態の24時間モニタリング』、これらを一つのスマートフォンによる管理を可能にしたことです。
三浦:『EGAO link』の狙いと開発の背景は何でしょうか?
山本様:狙いは、従業員の業務負担の軽減です。今までは、余裕を持って人員を配置することが従業員の満足につながると考えていました。しかし、近年の採用難により、人員確保が難しくなってきました。その中で既存の従業員を守り、満足度の向上を実現するためには、ICT/IoTを活用した業務の効率化による負担軽減が欠かせないと考え、開発に踏み切りました。
効果は当初想定していたよりも大きかった
三浦:導入による現場での効果はどうだったのでしょうか?
山本様:効果は当初想定していたよりも大きく、実際に『EGAO link』を導入したアズハイム町田では、記録業務や夜間の巡視の効率化を中心に、1日の業務時間を約17時間削減することができました。記録業務に関しては、スマホでのリアルタイム入力が可能になり、記録のために居室とステーションを何度も往復する必要がなくなりました。また24時間、スマホでご入居者の呼吸・心拍・睡眠状態が把握可能になり、本当にケアが必要なご入居者に優先的にお伺いすることが可能になりました。夜間帯にすべてのご入居者を巡視する必要がなくなり、ご入居者の睡眠を妨げることもなくなりました。
また、呼吸・心拍・睡眠のデータがエビデンスとして蓄積されるようになったおかげで、日中の過ごし方が夜間に与える影響をモニタリングすることが可能となり、こうしたデータを日中のアプローチに活かしていくことでご入居者の昼夜逆転を防ぐことが可能になりました。
このように、『EGAO link』の導入は従業員の業務負担の軽減だけでなく、本来の目的であるサービスの質の向上にもつながっています。ちなみに、『EGAO link』を新規開設時から導入したアズハイム練馬ガーデンの従業員からは、「(システムが導入される)前には戻れない!」と言う嬉しい声も上がってきています。
三浦:今後は、この『EGAO link』をどのように展開していくのでしょうか
山本様:現在、国内外問わず多くの視察希望をいただいておりまして、先行導入ホームであるアズハイム町田・アズハイム練馬ガーデンを中心にご案内しています。こうした活動によって、今までシステム導入に少し抵抗があり、踏み切れなかった方々の後押しになればと思っています。また、この『EGAO link』の導入が広く進むことで、人材難の介護業界において、離職防止や介護の仕事へのイメージの変化につながってほしいと思っています。そのためにもこの『EGAO link』の啓蒙活動は今後も進めていきたいと考えています。
株式会社アズパートナーズ
設立:2004(平成16)年11月2日
資本金:4,000万円
本社:東京都千代田区有楽町1丁目5番2号 東宝ツインタワービル6階
シニア事業として、首都圏を中心に、介護付きホーム(介護付き有料老人ホーム)(15棟)、
デイサービス(11か所)、ショートステイ(3か所)を展開。
URL:https://www.as-partners.co.jp/
担当コンサルタント
三浦 基寛
株式会社船井総合研究所 介護・福祉グループ 施設介護チーム
介護業界のコンサルティングに特化。介護施設・有料老人ホームの『業務標準化』『スタッフ定着・離職防止』『リーダー・管理者育成』を中心とした組織づくりや生産性向上のコンサルティングを得意とする。人手不足・採用難時代の中で。経営者・事業部長・管理者・リーダーといった法人内の各階層の役職メンバーを巻き込みながら、成功事例を基に手堅くコンサルティングを実施している。
講演実績:奈良県社会福祉協議会施設士会総会