「赤字からのV字回復!半年で稼働率60%成長の秘訣とは」
近年、高齢化が進む日本において、高齢者の自立支援と健康寿命の延伸に貢献する半日型リハビリデイサービスの役割はますます重要になっています。しかし、中々稼働率が上がらず、収益化にお困りの事業所様も多いのではないでしょうか。そこで今回は、半年で稼働率30%から95%に脅威のV字回復を達成した半日型リハビリデイサービス事業の成功事例企業である、悠栄コミュニケーション株式会社の代表取締役安西裕子氏に、船井総合研究所の介護経営コンサルタントが、その成功の秘訣を伺いました。高稼働を実現するためのヒントが満載です。

代表取締役 安西裕子氏
Q&A
Q.船井総合研究所:安西社長が半日型デイサービス事業を始められたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか。
A.安西社長:
私は40代後半から50代にかけて、4人の息子を育てながら家庭にいましたが、地域がお寺の多い場所柄、地域のサロンなどで高齢の方と日常的に接する機会が多くありました。
元気だったおばあちゃんたちが、ある日突然来られなくなり、理由を尋ねると足腰が弱って外出できなくなったという話を聞く中で、元気なのに家に閉じこもっている高齢者の方々が多いことに気づきました。
そんな時に、お迎えに行き、楽しい時間を過ごしていただき、またお送りするというデイサービスの仕組みに出会い、「もしかしたら私がやって差し上げたいことはこれかもしれない」と思ったのがきっかけです。
それから、経営やサービスについて学び始め、会社設立に至りました。


悠栄コミュニケーション株式会社「シニアフィットネス沙羅」
Q.船井総合研究所:貴社は2023年の半年で稼働率が60%もアップしたとのことですが、それまでの経営状況はどのようなものだったのでしょうか?また、急成長のきっかけは何だったのでしょうか?
A.安西社長:
開業当初は、本当に素人が参入したということもあり、全てが勉強でした。 利用者様は少しずつ来てくださっていましたが、稼働率は50%に満たない状態が続き、経営的には非常に苦しい状況でした。
赤字が続き、持ち出しでなんとか凌いでいたところに、運営していたデイサービスの建物が立ち退きになり、移転を余儀なくされました。 そんな大変な時期に、船井総合研究所の武藤さんと出会い、ご指導をいただいたことが大きな転機となりました。
アドバイスを素直に受け止め、実践していく中で、現在の高稼働という状況を迎えることができました。
Q.船井総合研究所:具体的に、2023年に業績が大きく向上した要因として、どのような施策が挙げられますでしょうか?
A.安西社長:
いくつか要因がありますが、まず大きかったのは、移転を機に外部への情報発信を強化したことです。 これまで十分に取り組めていなかった広報活動を、アドバイスのもと、不安を抱えつつも一生懸命行ったことが奏功しました。
また、新しい場所に移転したことを機に、これまであまり接点のなかった居宅介護支援事業所のケアマネージャーさんたちに、積極的に施設の様子を見てもらう機会を作りました。
Q.船井総合研究所:広報活動の強化ということですが、具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?
A.安西社長:
これまでにも広報活動は細々と行っていましたが、うまくいかない経験もあり、正直トラウマもありました。 今回、思い切って情報発信する担当者を1名採用し、最初からしっかりと研修を行い、集中的に訪問活動を行いました。
幸いなことに、優秀な求職者さんと巡り合うことができ、積極的に居宅介護支援事業所を訪問し、資料を準備して丁寧に情報提供を行ったことが、多くのご利用者様から選ばれることにつながりました。
内覧会も企画し、ケアマネージャーさんに実際に体験していただくことで、より理解を深めていただくことができました。
Q.船井総合研究所:担当者を新たに採用されたことは、大きなポイントだったのですね。 他にも、高稼働につながった要因はありますでしょうか?
A.安西社長:
はい、もう一つ大きな要因として、私たちのデイサービスがある埼玉県鳩山町が、「健康寿命日本一」を3年連続で達成している地域であるという特性が挙げられます。
最初は、健康な方が多い地域なのでデイサービスのニーズは低いのではないかと心配しましたが、実際には、元気な方にも介護予防・日常生活支援総合事業の対象となる方は多く、「迎えに来てくれるなら行ってみたい」という声が多く聞かれました。
町の体操教室などに参加されながらも、当施設を利用してくださる方もいらっしゃりと、利用者数の増加につながりました。 また、ご利用者様、ご家族、ケアマネージャーとの密な連携を心がけ、安心感を提供することも重要だと考えています。
Q.船井総合研究所:稼働率が向上していく中で、スタッフの確保や育成はどのように取り組まれたのでしょうか?
A.安西社長:
人手不足は本当に大きな課題でした。 ハローワークなど、一般的な求人媒体も活用しましたが、最も効果的だったのは、スタッフからの紹介採用(リファラル採用)の仕組みを整えたことでした。
看護師さんが新しい看護師さんを紹介してくれたり、介護士さんが以前一緒に働いていた方を紹介してくれたりするケースが多く、大変助かりました。
また、立地が良いこともあり、「看護師募集」「ドライバー募集」といった旗を掲げていたところ、それを見た方が直接応募してきてくれることも多かったです。
育成に関しては、事業所の理念や運営方針を古参の職員が新しいスタッフに伝えてくれるなど、自然な形で共有できています。 細かい業務については、各部署のリーダーが中心となって指導を行っています。
また、研修サイトを活用し、部署ごとに研修を受ける体制も整えています。

スタッフの皆様
Q.船井総合研究所:高稼働を維持する上で、利用者様の満足度を高めるためにどのような工夫をされていますか?
A.安西社長:
まず、一日を始める際にみんなで掛け声をかけたり、テーマソングを歌ったりすることで、一体感を高めています。
個別の機能訓練プログラムは、それぞれの目標や状態に合わせて作成しており、日替わりで内容が変わるので、飽きずに取り組んでいただけていると思います。
レクリエーションに関しても、画一的なものではなく、利用者様一人ひとりの興味や希望に寄り添った内容を取り入れるように心がけています。
また、職員自身が楽しんで働くことで、その雰囲気が利用者様にも伝わり、楽しい時間を共有できているのではないかと感じています。
Q.船井総合研究所:最後に、今後の展望についてお聞かせください。
A.安西社長:
機能訓練を中心としたデイサービスの提供が形になったので、次の展望としては、認知症の方にもより安心してご利用いただけるような、ゆっくりと過ごせる環境を整えた事業所も展開していきたいと考えています。
また、現在のリハビリ型のデイサービスと合わせて、3店舗くらいの規模で、地域に必要な介護サービスを提供していけるように、日々努力していきたいと思っています。
まとめ
今回の取材では、悠栄コミュニケーション株式会社が高稼働を実現した背景には、地域特性を活かした営業戦略、積極的な人材採用と育成、そして何よりも利用者様一人ひとりに寄り添ったサービスの提供があることが分かりました。安西社長の熱意と、それを支えるスタッフの方々の努力が、高稼働という素晴らしい成果に繋がっていると言えるでしょう。半日型リハビリデイサービス事業の可能性を感じさせる、大変貴重なお話でした。
(取材・文:株式会社船井総合研究所 介護経営コンサルタント)