Q.福祉用具貸与事業の売上を伸ばす方法は?
A.福祉用具貸与事業の売上を伸ばすためには、「商品力の強化と多様化」、「戦略的な営業活動による件数増加」、そして「レンタル率・継続利用率の向上」の3つの戦略が不可欠です。
1. 商品力の強化と多様化(レンタル単価の向上)
単に用具を貸し出すだけでなく、高付加価値な商品構成と専門性をアピールし、顧客単価の向上を目指します。
- 高付加価値商品の導入と提案強化
- 電動ベッドや車椅子といった標準的な商品だけでなく、機能性の高い高単価な商品(例:最新の見守り機器、高機能な床ずれ防止用具など)を積極的に導入します。これらの高単価商品が利用者の生活の質(QOL)をどう向上させるか、福祉用具専門相談員が具体的なデータや事例を基に提案する能力を高めます。
- 住宅改修事業との連携強化
- 福祉用具の利用状況を踏まえ、手すりや段差解消などの住宅改修ニーズを早期に発掘し、事業部門間で連携します。住宅改修は高単価な売上となり、顧客単価を大きく引き上げます。
- 保険外・自費レンタル商品の開発
- 介護保険の対象外である電化製品、バリアフリー対応家具などのレンタルや販売サービスを導入し、収益源の多角化を図ります。
2. 戦略的な営業活動による件数増加
売上の核となる新規・既存利用者の件数を増やすため、ケアマネジャー(CM)や医療機関との関係を強化します。
- ケアマネジャーへの戦略的なアプローチ
- CMに対して、単なるカタログ配布ではなく、「利用者の身体状況に合わせた用具選定の成功事例」や「複雑な用具のメンテナンス対応力」といった専門性の高さをアピールする情報提供(ニュースレターなど)を行います。重点的に取引したい居宅介護支援事業所を絞り込み、所長や主任との信頼関係を構築します。
- 医療機関との連携強化
- 地域の中核病院やリハビリテーション病院の退院支援部門や医療ソーシャルワーカー(MSW)と連携し、退院後の在宅生活に必要な用具の選定・納品を迅速に行う体制をアピールします。
- 地域住民への認知度向上
- 福祉用具の展示会や体験会を地域包括支援センターなどで開催し、地域住民に対し、福祉用具の必要性や正しい使い方を啓発することで、潜在的な利用者を掘り起こします。
3. レンタル率・継続利用率の向上
一度レンタルが始まっても、用具が合わない、不要になったといった理由で早期解約に至るケースを防ぎ、売上を安定化させます。
- 計画的なアフターフォローの徹底
- 法定のモニタリング訪問だけでなく、利用開始後や状態変化後に電話や訪問によるきめ細かなフォローを実施します。用具の利用状況や満足度を確認し、不満や不便を感じる前に適切な用具への変更を提案します。
- 専門相談員のスキルアップ
- 利用者の残存能力を最大限に引き出すための専門的な用具選定能力や、フィッティング技術を高める研修を継続的に実施します。適切な用具の提供は、利用者の満足度と継続利用期間を延ばします。
- 衛生管理とメンテナンス体制の強化
- 福祉用具の高い衛生レベルと徹底したメンテナンス体制をCMや利用者に明確に提示します。これにより、安心感を提供し、競合他社に対する優位性を確立します。
船井総研の提言:売上拡大の要
福祉用具貸与事業の売上拡大は、「専門性の発揮によるCMと利用者からの信頼獲得」にかかっています。用具選定からメンテナンス、そして住宅改修や自費サービス提案までを一貫したソリューションとして提供することで、単価と件数の両方を最大化できます。
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