2025年障がい福祉業界の動向とポイント-報酬改定を踏まえた対応策
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障がい福祉業界の現状
障がい福祉業界は、現在大きな成長期にあります。国の関連予算は直近10年間で約2倍に増加し、令和6年度には2兆円を突破しました 。特に、障がい児向けサービスの予算は約4倍に急増しており、市場全体の拡大を牽引しています 。この予算規模の拡大に伴い、サービスの利用者数および事業所数も10年間で約2倍弱に増加しており、需要の高さがうかがえます 。
この成長は主に利用者数の増加によって支えられています 。特に18歳未満の利用者は、令和2年から4年間で約58%も増加しており、顕著な伸びを示しています 。一方で、業界の重要な役割である一般就労への移行支援に目を向けると、就労系サービスからの移行者数は増加傾向にあるものの、その移行率はサービス種別によって大きな差が生じているのが実情です。特に就労継続支援A型・B型からの一般就労への移行率は伸び悩んでおり、今後の課題と言えるでしょう 。
令和6年度報酬改定の現状
令和6年度の報酬改定は、各事業所の経営戦略に大きな影響を及ぼしています。特に、共同生活援助(グループホーム)、生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービスでは、人員配置や支援内容の評価が見直されたことで、事業所ごとの収入や運営面に与える影響が大きく、経営力の差がサービス品質の差、ひいては事業所間の格差拡大につながる可能性があります 。
とりわけ影響が深刻なのは就労継続支援A型です。基本報酬の評価方法が変更された結果、多くの事業所で報酬が減少し、経営が立ち行かなくなり廃業する事業所が増加。令和6年3月以降、事業所数は減少に転じています 。これに伴い解雇者数も急増しており、利用者の行き場が大きな社会問題となりつつあります 。生き残りを図るため、一部のA型事業所が就労継続支援B型へ転換する動きも見られ、B型事業所の競争環境にも変化が生じ始めています 。
2025年 障がい福祉業界の現状
2025年の障がい福祉業界は、これまでの「拡大・成長」のフェーズから、「競争・淘汰」のフェーズへと本格的に移行することが予測されます。キーワードは「二極化」と「多事業展開」です。小規模な法人や、変化に対応できない事業所は撤退を余儀なくされる一方、経営体力のある法人はM&Aも活用しながら、さらに多店舗展開を進めていくでしょう 。
サービス別に見ると、就労継続支援A型や就労移行支援では、高い就職実績を持つ事業所に利用者が集中する「一強多弱」の構図が鮮明になります 。就労継続支援B型はA型からの転換組も加わり、競合の増加は避けられません 。また、障がい児事業では、増加する事務作業へのDX化対応や、専門職の存在を保護者にアピールするマーケティング力が事業所の明暗を分けるでしょう 。法人の経営戦略は、単に拠点を増やすことから、地域内のシェアを高める多事業展開へとシフトしていく必要があります 。
2025年 実施いただきたいこと
2025年を見据え、障がい福祉事業者が今すぐ取り組むべきことは、事業の「再設計」と「組織強化」です。まず、多くの自治体で導入され始めている総量規制や公募制を念頭に置いた、新たな事業計画の策定が急務です 。SNS活用や地域向けセミナー開催といったマーケティング活動を強化し、数ある競合の中から「選ばれる事業所」になるためのブランディングが不可欠となります 。また、多店舗展開だけでなく、保育所等訪問支援や保険外サービスを組み合わせて1拠点あたりの収益性を高め、リスク分散のために複数のサービスを提供するワンストップ体制の構築を目指すべきです 。
これらの実現には、強固な組織基盤が欠かせません。特に採用が困難になっているサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者のために、「週休3日制」や「在宅勤務」といった柔軟な働き方を導入し、選ばれる職場環境を整えることが重要です 。あわせて、専門職が定着・活躍できる研修体系や、新卒採用にも力を入れた育成の仕組みを構築し、人的資本経営へと舵を切ることが、これからの時代を勝ち抜く鍵となります 。
以上のような内容を「時流予測レポート」という形で詳細をまとめさせていただきました。
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この記事を書いたコンサルタント

中谷 文哉
大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。 運動学習特化型放課後等デイサービス、専門特化型の児童発達支援事業所、多機能型事業所の新規開発・業態転換・活性化をメインにコンサルティングを行う。現在は、「一般就労」を実現すべく、就労移行支援、就労継続支援A型、就労準備型放課後等デイサービスの新規開発・業態展開・活性化も手掛ける。 採用・集客からカリキュラム構築まで、現場に寄り添ったサポートを行う。