取材記事 「ノキシタ」のような交流を ~障がい者・高齢者・子育て世帯の居場所づくりの取り組み~

2022年8月3日配信

カテゴリ:
障がい福祉

みなさま、こんにちは。株式会社船井総合研究所の中谷文哉です。
本日は宮城県仙台市で「障がい者・高齢者・子育て世帯の居場所づくりの取り組み」をされている株式会社AiNest様に取材をさせていただきました。

地域の障がい者・高齢者・子育て世帯の方がどのように交流しているのか、その取り組み事例をお伝えさせていただきます。

~はじまりは区画整備の計画から。震災を経て、地域共生社会の計画へ~

ノキシタは、宮城県仙台市宮城野区にある複数の施設がひとつになった交流拠点になります。

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ノキシタには、
・コレクティブスペース エンガワ
・障がい者就労支援カフェ(就労継続支援B型)
・企業主導型保育園
・障がい者サポートセンター(グループホーム+ショートステイ)
以上の4つの施設があります。
子ども~高齢者まで、障がいのある方もそうでない 方も、 利用することができます。
「約束をしていなくてもふらっと来て、交流ができる」家の“軒下(ノキシタ)”のような居場所にしたいという想いからこの名前がつけられました。

ノキシタの計画は、90年代に遡ります。当時田んぼしかなかった地域は区画整理の計画が立ち上がりました。ほぼ計画が決まり実行されようとしていたとき、東日本大震災が発生します。その後、行政との連携を図る中で復興公営住宅が建設されることになりました。戸建てに住んでいた高齢者・子育て世代の方が、この地域でマンションに住むようになったのです。しかし、かつての自然なコミュニケーションが生み出されにくくなり、交流の機会がないという問題が発生します。そのような中、「地域共生社会」の考えを元に計画されたのが、「ノキシタ」でした。

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~「ノキシタ」の活用方法~

ノキシタには制度事業がありますので保育園児や障がいを持たれた方が利用されています。そこへさらにコレクティブスペース“エンガワ”で高齢者や家族世帯が毎日のように利用しています。
エンガワは、会員制度になっており誰でも登録でき、1回400円で利用が可能です。家のリビングのようなスペースで自由に過ごすことができ、利用される方は、食事をしたりコミュニケーションをとったり、イベントを実施したりしています。

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主な利用者は高齢者や子供を持つママになります。自由に過ごす中で自然とコミュニケーションが生まれ、新たなきっかけづくりになっています。また、施設の特徴を活かして野菜の販売やはなれでは訪問販売の実施などがされています。このエンガワでは障がい者スタッフも働いていて、高齢者が障がい者スタッフと話したり、あるいはママ友とつながったりと新たなつながりを持てる空間になっています。
就労継続支援B型で運営するNokishitacafeはInstagramの活用とクチコミの効果もあって日に日にお客様が増加。休みの日には駐車場いっぱいになるほどです。このcaféからはエンガワの様子が見える仕組みになっており、ノキシタの「看板」としての役割を発揮しています。

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~居場所づくりをして3年。その効果~

エンガワの利用を会員制にしたのには理由があります。利用者の分析を行うことで地域の問題やニーズを分析し、効果計測を行うためです。オープンして3年たち、会員が800人以上となりましたが、当初の想定とは違い地元よりも広範囲に会員が存在していることがわかりました。居場所を求めるニーズは目的地までの距離に関係なく、人のつながりを大事にしたい方が多いということがわかりました。実際、新型コロナウイルスが流行し始めた後、何日か閉所していることはありましたが、オープンしている日は利用者が減ることはなかったそうです。

エンガワを利用する高齢者の方の中には毎日来られる方もいます「障がいを持ったスタッフと話したい」「ほかの方と交流したい」という目的を持って通われています。その結果、杖をついて通っていた方が、杖を使わずに通えるようになるなどの成果がありました。目的を持つことで福祉サービスを使うことなく改善されたのです。

~「ノキシタ」のこれから~

ノキシタでの活動は、制度を活用しながら居場所づくりの仕組みによって利用者の心と体の健康をサポートしています。また、高齢者・障がい者・家族世帯それぞれに長所短所を補完する仕組みになっています。代表の加藤様はこの取り組みによって最終的に制度事業を使わずとも暮らすことができるようになって社会保障費削減ができることを目標にされています。ノキシタはまだ発展の途中でこれからもエビデンスに基づいた仕組みづくりをされていくとのことでした。今後は障がい者・高齢者がもっと活躍できる仕組みを模索されていくとのことです。
まだノキシタは成長途中ということで今後も新たな取り組みに注目です。

この記事を書いたコンサルタント

中谷 文哉

中谷 文哉

運動学習特化型放課後等デイサービス、専門特化型の児童発達支援事業所、多機能型事業所の新規開発・業態転換・活性化をメインにコンサルティングを行う。現在は、「一般就労」を実現すべく、就労移行支援、就労継続支援A型、就労準備型放課後等デイサービスの新規開発・業態展開・活性化も手掛ける。

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