いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。船井総研の家徳(かとく)です。2024年は介護・医療・障がい福祉サービスのトリプル改定の年です。
今年の改定では、訪問看護の医療保険算定について大きな変更がありました。そのため、
精神科訪問看護の報酬も昨年までの体系とは大きく異なってきております。訪問看護全体では、細々とした改定はありましたが、本コラムでは、精神科訪問看護の収益に関わる部分にしぼって改定内容をお伝えします。
精神科訪問看護への影響は?診療報酬改定2024の内容を解説!
改定の内容に入る前に、訪問看護の医療保険制度について改めて触れておきましょう。
訪問看護は元々、介護保険と医療保険という2種類の保険を算定するサービスですが、
例えば、末期の悪性腫瘍やパーキンソン病等の神経難病を抱えている方、精神疾患を抱えている方は医療保険適用なります。ご存じの方も多いと思いますが、
医療保険の場合は、介護保険のような要介護度に応じた利用上限という概念がないため、
保険報酬額が大きくなる傾向があります。医療保険の報酬構造が分かりづらいため、下記の図を見ていただければと思います。
医療保険は、図に示す通り、基本療養費と管理療養費の足し算で1日の訪問単価が
決まっておりますが、訪問先が一般在宅か、グループホームのような施設に集中訪問するかによって単価が変わってきます。1ヶ月の総訪問回数で平均を取るとおおよそ、一般在宅に訪問する場合が、約9,000円、施設への訪問が6,000円というイメージです。
今回の改定で変更がかけられた箇所は、管理療養費2日目以降の報酬額の部分です。
上記の図は、改定内容を反省させたものになっておりますが、従来までは3,000円で
統一されておりましたが、今年の改定では3,000円から2,500円かの2パターンに
分かれるようになりました。
3,000円に該当するパターンは下記に該当する時のみです。
・訪問看護ステーションの利用者のうち、同一建物居住者の占める割合が7割未満で、次のいずれかに該当する
・精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者のうち、GAF尺度:40以下の利用者の数が月に5人以上である
上記に該当しないパターンが2,500円に該当します。文章だとわかりづらいですが、
簡単にお伝えすると
「障がい者グループホームなどの施設入居者だけの訪問や軽度者のみへの訪問は従来より
単価を下げます」
という趣旨の改定内容です。
改定内容を受けた今後の戦略
上記、訪問看護の医療保険の改定内容は精神科訪問看護に限らず、通常の訪問看護医療保険(末期の悪性腫瘍患者等への訪問)にも適用されております。
近年、国が問題視しているのは同一施設に住むご利用者様に集中して訪問するという
ケースです。一般在宅への訪問よりも移動効率が格段に良いため、施設に併設して訪問看護を始めるパターンが多かったですが、一般在宅にも訪問看護を必要としている方は相当数います。特に、一般在宅のご利用者様は家族のような、身の回りのサポートをしてくれる存在がいないケースも多く、必要度も高いです。加えて、国も病床数を減らす方針や在院日数を減らす方針を打ち出しており、今後も一般在宅で訪問看護を必要とする方は増えることが予想されます。訪問看護を新規事業として検討されている方は、上記のような国の目指している方向性を押さえていただければと思います。
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この記事を書いたコンサルタント
家徳尚之
入社後は、精神疾患患者・高齢者向けの訪問看護ステーションの立ち上げ、活性化を専門とする。 理論だけではなく、現場主義を重視しており、全国の生の事例を元に現場に入り込んだサポートを得意とする。