精神科訪問看護ステーション立ち上げ・運営事例を紹介


 


 


 


いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。船井総研の家徳(かとく)です。今回は、過去のメルマガでお伝えしてきた精神科訪問看護についての総集編として

・精神科訪問看護とはどんなサービス?
・精神科訪問看護は儲かる?気になる収益性は?
・精神科訪問看護の実際の運営事例

についてご説明いたします。

精神科訪問看護とはどんなサービス?

精神科訪問看護とは、訪問看護の業態に区分されるサービスです。その中で、主にうつ病や統合失調症等の精神疾患患者のご自宅にお伺いし、安定した生活のサポートやご利用者様本人の生活力を高める看護のサービスです。精神科訪問看護と聞いて、通常の訪問看護との違いが気になる方がいらっしゃるかと思いますが、業態としては訪問看護に区分されますので、業態が全く異なる訳ではありません。下記、訪問看護のターゲットを分けたポジショニングマップです。

図から読み取れるように訪問看護は、高齢者だけでなく小児や10代といった幅広い年齢層が利用するサービスです。全国の訪問看護ステーションのボリューム層は、高齢者を対象にした訪問看護ステーションですが、近年は、精神疾患患者の数が急激に増加していることを背景に、精神疾患に特化した訪問看護ステーションや小児分野に特化した訪問看護ステーション等、特定の分野に注力している訪問看護ステーションが新規で開設されております。

精神科訪問看護は儲かる?報酬構造の詳細とは

精神科訪問看護が、業態として訪問看護に区分されるというのは先程お伝えした通りですが、事業として見た時に儲かるのかという視点で収益性ついても解説いたします。
訪問看護は、保険報酬としては介護保険と医療保険を算定するサービスです。介護保険は、ご存じの通り要介護認定がされている方が対象になります。
報酬算定の構造が分かりづらいのが、医療保険ですが、訪問看護で該当するパターンは下記の4つになります。

①介護保険認定がされていない
②対象者が、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当する方
③精神科訪問看護指示書が交付されている方
④特別訪問看護指示書が交付されている方

精神科訪問看護は、精神科の医師※が発行する精神科訪問看護指示書交付の元、訪問するため③に該当し、医療保険を算定するサービスになります。
※心療内科の医師は交付することが出来ないため注意

続いて医療保険の報酬構造についてご説明いたします
医療保険は、下記図に示す通り、基本療養費と管理療養費を足し合わせて1日の訪問単価が決まっており、訪問先が一般在宅か、グループホームのような施設に集中訪問するかによって単価が変わってきます。1ヶ月の総訪問回数で平均を取るとおおよそ、一般在宅に訪問する場合が、約9,000円、施設への訪問が6,000円というイメージを持っていただければと思います。

経営的な視点でお伝えすると、訪問看護は病院にあるような高額な医療機器の用意は必要がないため、発生する経費の大半を人件費が占めております。損益分岐のラインは事業所を開設する場所に応じてかかる家賃等の経費や、ご利用者様への訪問回数等で変わってはきますが、おおよそ利用者数20~30人が損益のラインになっているケースが多いです。

精神科訪問看護の運営事例

実際の運営事例について2つご紹介いたします。

1つ目は有限会社MYコーポレーション様です。下記基本情報です。

法人名:有限会社MYコーポレーション様
エリア:福岡県久留米市 
訪問看護の利用者:100名
年商:約1億円
事業:訪問看護、相談支援

有限会社MYコーポレーション代表の北島様は、自身が精神疾患(拒食症)を発症し精神科を持つ病院に入院していた経験があり、あと1歩遅れていたら最悪のケースに陥ってしまうほどの状態から、主治医や、看護師、友人のお陰もあり社会復帰した経験をきっかけに訪問看護ステーションの立ち上げを決意しました。
立ち上げのメンバーは全員精神科の経験はなかったのにも関わらず、外部研修等で知識を付けながら1人1人の利用者の丁寧にケアを継続していきました。その姿勢や普段の実績が地域でも広がり、次第に紹介が多く発生するようになり、今では利用者100名以上と地域でも有数の訪問看護ステーションになりました。

2つ目は、医療法人大壮会様です。

下記基本情報です。
法人名:医療法人大壮会様
エリア:埼玉県久喜市
訪問看護の利用者:700名
年商:訪問看護事業単体で4億円
事業:精神科病院・クリニック、障がい福祉事業等

医療法人大壮会様は、精神科の病院を持つ法人様です。当初は退院患者の生活支援を外部の訪問看護に依頼をしていたところを、患者ケアの連携面を考慮して、自社訪問看護ステーションを立ち上げました。こちらの法人様の特徴は、事業展開のスピード感です。
1店舗目は自社の病院の商圏内に出店すると、その後も新規出店を繰り返し、4年間で10事業所以上展開しました。医療法人の場合は、いわゆるみなし訪問看護で、訪問看護を運営されているケースが多いですが、ステーションとしてこれだけの事業所数を展開されるのは、すさまじい事例といえます。また、事業所も埼玉県内だけではなく、病院の商圏外である東京都や千葉県にも出店を続けております。これだけ、事業所数が展開されているのも
それだけ、精神疾患患者を支える受け皿がまだまだ整備されていないことの裏返しと言えます。

いかがでしょうか。本コラムでは、精神科訪問看護ステーションの立ち上げに当たり、
押さえておくべき、報酬構造等の基本情報をお伝えいたしました。
また、最後の事例でご紹介したように、精神科訪問看護は、医療法人の母体
なしに運営出来ないという事はございます。株式会社の企業形態で運営されている事例は多くございますので、事業検討をされている方は、本コラムが参考になれば幸いです。

すごい事例共有 医療法人を母体に持たない会社の精神科訪問看護新規立ち上げ


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この記事を書いたコンサルタント

家徳尚之

入社後は、精神疾患患者・高齢者向けの訪問看護ステーションの立ち上げ、活性化を専門とする。 理論だけではなく、現場主義を重視しており、全国の生の事例を元に現場に入り込んだサポートを得意とする。

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