【成功事例法人から学ぶ!】就労準備型放課後等デイサービスについて
- カテゴリ:
- その他
いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の岩井です。
放課後等デイサービス事業を運営する皆様は、日々多様なニーズを持つ子どもたちと向き合っていることと思います。しかし、その一方で「小学校高学年になると利用者が減ってしまう」「思春期を迎えた中高生のニーズに応えきれない」といった悩みを抱えている経営者様も少なくありません。このコラムでは、これらの課題を解決し、将来を見据えた持続可能な事業運営を可能にする新たな選択肢、就労準備型放課後等デイサービスについて詳しく解説します。
中高生の支援ニーズと放課後等デイサービスの現状
児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所数は、ここ10年で約3倍にまで増加しています。このことは、支援の担い手が増えたという喜ばしい側面がある一方で、事業所の競争が激化し、特色のない事業所は埋没してしまうという厳しい現実を意味しています。
また、厚生労働省のデータによると、放課後等デイサービスの利用率は年齢とともに下がっていく傾向にあります。これは、子どもたちの身体が大人に近づき、自我が芽生える一方で、既存の支援プログラムが思春期を迎えた子どもたちのニーズに合致していないことが大きな要因です。特に、将来の「就労」や「自立」を見据えた実践的な支援プログラムが不足していると感じている事業所が多く、中高生向けの支援に特化した事業所は地域にまだ少ないのが現状です。
◆就労準備型放課後等デイサービスが求められる理由
既存の支援では満たしきれない中高生のニーズに応える一つの答えが、就労準備型放課後等デイサービスです。このモデルは、子どもたちの将来の「働く」や「自立」を明確なゴールとして据え、それに向けた具体的なプログラムを提供します。これにより、小学校高学年以降の利用率減少という構造的な課題を解決し、地域の多様なニーズに応えることができます。
◆就労と自立に必要なスキル育成
就労準備型放課後等デイサービスでは、将来の就労や自立に必要なスキルを総合的に育成します。単に作業訓練を行うだけでなく、社会に出てから役立つ様々な能力を身につけることを目的としています。
・コミュニケーション能力の向上
社会で働く上で不可欠なコミュニケーションスキルを養います。例えば、挨拶や返事、報連相(ほうれんそう:報告・連絡・相談)といった基本的なビジネスマナーから、相手の気持ちを理解する力、自分の考えを適切に伝える力まで、実践的なトレーニングを通じて身につけていきます。
・生活スキルの習得
将来的に一人暮らしやグループホームでの生活を見据え、時間管理や身だしなみ、整理整頓、簡単な家事といった生活スキルを習得します。これらのスキルは、自立した生活を送る上で欠かせないものです。
・学習・作業スキルの定着
指示を正確に理解し、集中して作業に取り組む力や、間違いを自分で修正する力、そして新しいことを学ぶ意欲を育みます。また、パソコンの基本的な操作や電卓の使い方など、将来就職した際に必須となる能力の向上を目的としたプログラムも提供されます。
・自己肯定感の醸成と余暇の過ごし方
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定的に捉える感覚のことです。自己肯定感を育むことは、得意なことや苦手なことを知り、自分らしい生き方を選択する上で非常に重要です。また、休日にしっかり休んだり、興味のあることを見つけて計画的に活動したりするなど、余暇の過ごし方を学ぶことも支援の一環となります。
成功事例に学ぶ、就労準備型放課後等デイサービスの取り組み
千葉県松戸市・柏市で就労準備型放課後等デイサービスを計5事業所展開している「株式会社マザーライク」は、この分野の先進事例として注目されています。同社は、もともと介護・保育事業で培った知見を活かし、2018年に障がい福祉事業をスタートさせました。
◆卒業後の未来を見据えた切れ目のない支援
株式会社マザーライクは、中高生向けの『こすもすカレッジ』と、その土台を築く小中学生向けの『こすもすカレッジジュニア』を運営しています。これは、保護者から「もっと早い段階から将来の準備をさせたい」という声が多く寄せられたことがきっかけで開設されました。
『こすもすカレッジジュニア』では、将来の就労準備の「土台」を築くことはもちろん、目前に迫った中学校への進学も、学校と連携しながら丁寧にサポートします。そして、『こすもすカレッジ』では、PC&インターネットの活用、ビジネススキル、コミュニケーション、実践的トレーニング、職場体験といった、高校卒業後の一般就職を意識したスキルアップトレーニングを提供しています。
◆成功を支える強固な組織構築術
多店舗展開を成功させるためには、マネジメントが非常に重要です。株式会社マザーライクでは、経営と現場のトップの役割分担を明確にし、両輪で事業を推進しています。
特に力を入れているのがスタッフ育成です。月1回の全社勉強会や事例検討会に加え、忙しいスタッフでも自分のペースで学べるように、研修動画を定期的に配信しています。また、事業所間の交流も積極的に行っており、定期的な研修や活発な「異動」を奨励することで、知見の共有を促進し、強固なヘルプ体制を築いています。
また、現場リーダー向けのミーティングも設け、現場の意見を吸い上げ、運営に反映させる仕組みを構築することで、カリキュラムの改善にも繋げています。専門職限定のミーティングも定期的に開催し、より良いサービス提供のための専門的な議論を深めています。最終的には「人」が重要であるという考えのもと、スタッフ一人ひとりが成長できる環境を整えることが、結果として多店舗展開を支える力となっています。
◆保護者や学校からの高い信頼
この就労準備型放課後等デイサービスは、保護者から大きな反響を呼んでいます。「まさに、こういう事業所を探していました」という声が多く寄せられており、特に「就労」や「自立」に特化した場所が地域にほとんどなかったため、そのニーズに強く応えることができています。
学校の先生方も、卒業後の進路について心配する声を多く聞く中で、実践的なカリキュラムに喜びの声を上げています。目的がはっきりしているため、子どもたち自身も主体的に活動に参加し、その前向きな姿を見て家族が安心するという好循環が生まれています。実際に、卒業生の中には、大学や専門学校への進学、上場企業の障がい者雇用枠での就職、そして運営する法人への就職など、様々な未来を歩んでいる方がいます。
【中学生・高校生・不登校児向け】
将来の「自立」と「働く」力を育む
「就労準備型」放課後等デイサービス

今回のセミナーでは、上記でご紹介させていただいた株式会社マザーライク様の取り組みを余すことなくご紹介いただきます。
ぜひこの機会に、“次の一手”を見つけにいらしてください。
この記事を書いたコンサルタント

岩井 愛斗
大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。 現在は障がい福祉業界専門のコンサルタントとして、 主に就労支援事業や障がい者グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスの新規開業、業績UP、事業活性化を担当している。 また、WEBサイトや生成AI活用、SNS運用による採用・集客支援も得意としている。 経営者と現場の双方に寄り添う支援を目指している。