取材記事 地域と福祉を結びつける「地域共生文化拠点」を実現された、社会福祉法人愛川舜寿会様のお取り組みについて

2022年7月22日配信

カテゴリ:
障がい福祉

今回は弊社で取材をさせていただきました法人や事業所のお取組みについてご紹介させていただきます。
今回ご紹介させていただきますのは、一度は空洞化してしまった商店街の復興に取り組まれている、社会福祉法人愛川舜寿会様です。
社会福祉法人愛川舜寿会様の運営する事業所「春日台センターセンター」では、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型共同生活介護(高齢者グループホーム)のほか、就労継続支援事業A型・B型、そして放課後等デイサービス事業を行っていらっしゃいます。本日は社会福祉法人愛川舜寿会様の各種事業に対する想いや、工夫に富んださまざまなお取組みについて記事にさせていただきました。是非ご一読ください!

「春日台センターセンター」について

【「春日台センターセンター」という事業所名の背景】
「春日台センターセンター」という名前を見て、「センター」を間違えて2回打ってしまったのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、決してそのようなことはございません。

実は、現在事業所が建っているこちらの土地にはかつて「春日台センター」というスーパーがございました。2016年までの約30年間、そのスーパーは春日台地域の中心的な場所でした。

ところがその後、近隣にショッピングモールができてからスーパーの利用者は激減。隣にあった商店街の店舗もいつしかシャッターをおろしてしまいました。スーパーの閉店後もしばらくは、建物が取り壊されないまま残っておりましたが、落書きをされたり若者がたむろしたりと治安が悪化する一方でした。このままではいけない、と考えた社会福祉法人愛川舜寿会様は、この地で事業を始めようと決心されます。「春日台センター」を、再びこの地域の「センター(中心的場所)」にしたい。そのような思いを込めて、こちらの事業所は「春日台センターセンター」と名づけられました。

【ビジョンは”社会をやさしくする”】
自分以外の誰かのことをちょっとだけ気にかけられるようにしたい。社会にやさしくするのではなく社会をやさしくする。それが社会福祉法人愛川舜寿会のビジョンです。少子高齢化社会の中では、福祉に携わる人間だけでは高齢者、障がい者、子どもを支えきれません。だからこそ、地域の人が一人でもやさしくなってほしい、という思いで福祉の仕事に取り組まれていらっしゃいます。

【足を踏み入れやすい、バリアフリーな設計】
「春日台センターセンター」の大きな特徴は何といっても開放感あふれる建物の設計です。設計を担当されたのは、建築家の金野千恵様。「半屋外空間」をコンセプトに、あたたかみのある木材とガラスの壁を使って屋内と屋外、部屋と部屋の隔たりを感じさせない空間を作り出しました。こうした効果によって、「春日台センターセンター」では高齢者の方、障がいを持った方、小さなお子様、お散歩中の近所の方などがお互いの間に壁を感じず、助け合って励まし合って共生していらっしゃいます。

就労継続支援A型

【洗濯文化から社会をやさしくする(就労継続支援A型)】
洗濯という活動は、日々の生活の中でどのご家庭でも欠かせません。しかし、現代においてもなお「洗濯をするのは女性の仕事」といった考えが残っているという現実があります。そこで社会福祉法人愛川舜寿会様は、洗濯代行・コインランドリーのサービスを提供されています。障がい者の方々そして職員の皆さまが、それぞれ一地域住民として、お仕事を通じて地域社会に貢献されていらっしゃるのです。洗濯という観点から社会のありかたを研究する。そのような意味で、A型の事業所は「洗濯文化研究所」と名付けられました。

ここではA型のご利用者様が洗濯代行のお仕事をされていらっしゃいます。具体的には、洗剤の量を量って洗濯機に入れる、洗濯機を回す、ちゃんと洗濯物が乾ききったか確認をする、といった作業です。

意識しているのは、洗濯文化研究所では法人内の洗濯は基本的に代行しないということです。これは、内製化させてしまうのではなく地域コミュニティとのつながりを最優先に考えていらっしゃるからです。ご利用者様の中には、こうした地域の皆さまとのつながりを求めて来られた方もいらっしゃるそうです。

~社会福祉法人愛川舜寿会様のこだわりポイント~
①「飲食OK!B型で販売するコロッケ・コーヒーを楽しみながらゆったり」
通常のコインランドリーでは、ボタンを押して洗濯が完了するまで携帯をいじったり一度家に帰ったりするでしょう。洗濯文化研究所では、すぐ隣で販売されているコロッケやコーヒーを買って、開放感のある建物内で優雅なひとときを過ごすことができます。また、洗濯文化研究所は中に入るとスタッフの方が出迎えてくださいます。洗濯機の操作で分からないことがあればその場で質問することができるので安心です。

②「何でも話せる、無料のよろず相談」
洗濯機を回している間に、生活上のさまざまなお悩みを無料で相談できるサービスが「よろず相談」です。洗濯文化研究所の隣には小規模多機能型居宅介護施設や放課後等デイサービスの事業所等があり、ケアマネジャーや社会福祉士の方もいらっしゃるため、日常生活全般のお悩みを気軽に相談することができるのです。無人の殺風景なコインランドリーから、有人の会話ができるコインランドリーへ。これぞ洗濯を通じて社会を変えていくということですね。

③「誰でも使いやすいコインランドリーにする」
通常の無人コインランドリーは、洗濯機の操作方法の説明をしようとして小さな文字がびっしり並んでいます。皆さんの中にも、説明書きを見て「読みづらいな」「読んでもよく分からないんだよな」と思われた経験のある方がいらっしゃるでしょう。洗濯文化研究所では、ここにも工夫を凝らしていらっしゃいます。文字を少なくし、イラストを入れることでご年配の方でも、そしてそこで働く障がい者の方でも分かるように工夫されています。

就労継続支援B型・放課後等デイサービス

【春日台センターの名物コロッケをもう一度(就労継続支援B型)】
かつてはにぎわっていたスーパー「春日台センター」で、名物だったのがスーパーのオーナーの奥様が作っていたお惣菜のコロッケ。「春日台センターセンター」でも、これを引き継いでコロッケを製造・販売しています。

コロッケを揚げてくださるのは就労継続支援B型のご利用者様です。コロッケのほかに、ドリンクの準備もしてくださいます。

せっかく現地で取材させていただいたので、これから名物にしていきたい!という「春日台コロッケバーガー」をいただきました。粒マスタードがきいていてとても美味しかったです。

【高齢者グループホームと隣り合わせでみんなが笑顔に(放課後等デイ)】
社会福祉法人愛川舜寿会様では、認知症対応型共同生活介護(高齢者グループホーム)のすぐ隣に放課後等デイサービスのスペースが設けられています。グループホームをご利用されている方は、放デイに来て元気にはしゃぐ子どもたちを見て思わず笑みがこぼれます。建物内には子どもたちが大好きな駄菓子コーナーがあり、小規模多機能をご利用の方が駄菓子屋の番をされていらっしゃいます。ここでも、バリアフリーな空間が、人と人とのつながりを生んでいます。

【どんなひとでも包み込む、あたたかい場所】
「春日台センターセンター」が位置する神奈川県愛甲郡愛川町は、県内で外国人が最も多く暮らす地域です。社会福祉法人愛川舜寿会様は、障がい者だけでなく、日本語学習に苦労して学校に通えなくなってしまった、外国にルーツを持つ子どもたちにも利用してもらえるよう、工夫されていらっしゃいます。建物内の掲示板には、外国にルーツを持つ子ども支援のご案内が、英語・スペイン語・ポルトガル語でそれぞれ掲示されていました。
また、ここではジェンダーの壁もありません。トイレのマークは男女で分かれるのではなく、トイレットペーパーのイラストで統一されています。性別に関わらず、誰でも自由に使えるトイレ。こんなところにも、ちょっとした優しさが表れていました。

社会福祉法人愛川舜寿会様の先進的なお取組みについて、お届けしてまいりました。高齢者、障がい者の方だけにとどまらず、子どもたち、外国にルーツを持つ方、地域のみなさんがおのずと集まってくる、まさにバリアフリーな空間を作り出していらっしゃることが皆様にも伝わっていれば幸いです。

この度、弊社の取材をこころよく受けてくださった社会福祉法人愛川舜寿会の皆様、お忙しいところ誠にありがとうございました。

この記事を書いたコンサルタント

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