Withコロナ時代でも成功するM&A

2020年11月6日配信

カテゴリ:
M&A

前回のメールマガジンでは、コロナ前と比較して『売手企業の増加+買手企業の減少=買手優位のM&A市況』であるとご説明致しました。今回はWithコロナ時代において、買手がどのような観点から案件を検討するかをご説明してまいります。

 

1.買手が魅力を感じる企業の特徴

【事業性の評価】
・自社の売上高が3期連続で成長している
・成長期の業種・業界と注目されている
・収益性が良好で、業界平均と比較して売上総利益率・営業利益率が高い
・商品に独自性があり、競合に模倣されにくい
・商圏に競合が少なく、シェアを伸ばしやすい
・主要得意先が複数あり、取引先の倒産による共倒れの危険が少ない
・従業員・拠点数など、ライバルと比較して規模に強みがある

【財務状況】
・借入金が過大でない(債務償還年数が10年以内・自己資本比率が20%以上)
・現金預金が運転資金の半年から1年分程度確保できている
・売上債権が月商3カ月以内に収まっておりキャッシュの滞留が見受けられないこと

経営成績・財務状況は最も重要な検討項目の一つです。決算書において、どのように売手企業の強みが反映されているのか、買い手には検討の初期段階で確認されます。
現在は各業界のトップ企業でさえもコロナの影響を少なからず受けている状況です。直近の業績が悪化している場合には、収益性が確保できやすい、競合に模倣されない商品の強みがある、拠点数が多いといったように、事業の伸び代が検討材料として重視されます。
また、コロナ発生以降は月次試算表にて、進行期の状況をライムラグなく把握したい動きが強まっております。これは急激に業績や財務状況が悪化する企業が増えたためです。経営状況が悪化するほど買収後の経営統合の難易度が上がりますので、買手のチェックもシビアになります。
なお、業績や財務状況の悪化が進んだ場合は、いわゆる「救済型」案件として買収が検討されます。この場合、買収後の立て直し策の一環として債務整理が検討されます。債権者合意の可否(得られるための道筋を立てられるか)もポイントになります。

上記のような経営成績や財務状況の他にも、よくある例として組織体制が確立されているかが論点となります。

【組織体制】
・業務が組織化されており、オーナー(退任予定のキーパーソン)から権限移譲が進んでいる
・月次決算の体制が整っている
・人材育成の制度が整っている(または、売手企業の従業員平均年齢が高くない)
・有資格者を多く抱えている

事業承継を目的としたM&Aの場合、オーナー(代表者)の引退が想定されます。こうした場合では、業務フローが出来上がっており、組織的に業務を遂行できる体制が魅力的に映ります。他方、これまでワンマン経営を行ってきた場合は、代表者の不在で一気に業務が回らなくなってしまった...といったことを防ぐ必要があります。そこで、十分な引継ぎ期間の設定・引継ぎへの協力体制について、主に売手側による配慮・歩み寄りが求められます。

 

2.希望の譲渡条件に近づけるためには

 Withコロナの時代においても、M&Aを成功させるためには、上記に触れた項目を網羅している方が望ましいです。とはいえ、大なり小なり各社ともにコロナの影響を受けており、右肩上がりの成長は描きづらい状況です。また、組織の権限移譲や必要資料についてはこれまで準備してこなかったという場合もあるかと思います。

重要な点は、自社のどのような点が、どのような買手にとって魅力となるのか。どのタイミングでどの準備を行うか、といった点について整理することです。はじめてのM&Aであっても、準備に時間がかかりすぎて適切なタイミングを逃してしまった、ということは避けたいところです。

船井総研では、「はじめてでも成功できるM&Aセミナー」と題し、ご相談の多いテーマ別にセミナーを開催します。どのような買手とM&Aを模索していくか、どのようなスケジュール感と準備事項を想定すべきか、そして自社の企業価値はどれくらいか、ご説明します。

また、いずれもWEB形式(Zoom利用)で開催のため、どこからでもご参加いただけます。
なお、本セミナーでは他の参加者との交流・名刺交換の場は設けておりません。どうぞお気軽にご参加ください。

 

▼セミナーの詳細・お申込みはこちらから
2.『業界別M&Aの相場と企業価値算定方法』
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065882
3.『M&Aができる組織体制の考え方』
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065881
4.『借入金過大でのM&A手法』
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065880

株式会社船井総合研究所
金融・M&A支援部 M&Aグループ
平井 貴大

この記事を書いたコンサルタント

株式会社船井総合研究所

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