介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【特別養護老人ホーム版】
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報酬改定の概要
基本報酬は1.59%プラス改定で、処遇改善が0.98%プラスです。改定は6月1日と4月1日から施行され、処遇改善は4月からです。特別養護老人ホームの処遇改善加算は4月から変更され、配分の引き上げは6月1日からです。
全ての型で点数が上がり、経営難の実態に応じて改定率が高く設定されました。空床利用やショートステイの単位も同様です。介護保険制度の改定率は令和4年で1.13プラス、令和3年で0.7アップ、今回は1.59となり、プラス改定が続いています。5つの大枠の改定内容があります。今日の報酬改定セミナーでは、地域包括ケアシステムの進化、自立支援、介護サービスの提供効率化、職場環境改善、制度の持続性について解説します。特に、地域ケアシステムの推進に焦点を当て、厚生労働省の文書を参照しながら、配置医師緊急時加算の見直しなどを説明します。新設された医師の緊急訪問制度や医療連携の重要性にも触れます。
介護と看護の連携
介護と看護の連携、医療機関との協力が特養の大きなテーマです。新改定では、介護施設の緊急対応の見直しが必要です。年1回、医師や医療機関を再評価し、患者対応の方針を更新することが求められています。また、施設と医療機関の連携体制を常に整えることが重要です。急場の対応だけでなく、継続的な協力関係を築く必要があります。3年以内に体制を整えることが指示されています。
特養の行動指針と新加算
診療報酬の改定には新たな点数設定はなく、介護保険の面での対応が必要です。特養は積極的に動き、退院後の受け入れを速やかに行うべきです。また、特養以外の施設は医療連携を努めるべきとの表現ですが、特養は必須です。これは、特養が医療との連携において重要な役割を担っていることを示しています。図式には特養の行動指針が示されており、緊急時対応も含まれています。協力医療機関との会議を定期的に実施し、情報共有を行うことが新設されました。これにより、新しい加算が設けられています。
新加算の詳細
特養に関連する加算は100単位、それ以外は5単位です。医療機関は定期会議を行う必要がありますが、介護施設との会議だけでは診療報酬は変わりません。介護施設と連携を強化することが重要です。また、入院時の情報提供に関する新加算もあります。新設される情報提供加算は、医療機関連携に関わります。入院時や退院時のカンファレンスで、入居者の病状や生活歴を示す情報を提供する際、患者の同意が必要です。これは、適切なケアに必須で、医療機関との連携を強化します。透析患者の送迎新設加算は、月12回以上の送迎で適用され、医療連携を促進しますが、必要時の適用が望ましいです。また、ショートステイの見取り体制強化により加算があり、看護師の協力が不可欠です。これらの要件は、特養にとって重要です。感染症対策の新たな加算について、医療機関は連携体制を築き、感染対策研修に参加し指導を受ける必要があります。これにより、コロナウイルス等への対応で加算が可能です。介護施設への指導も含まれ、影響は大きいです。新規感染症には特別な対応が必要で、定義に基づき算定が行われます。感染発生時の指導受講や未知ウイルスへの対策も規定されています。BCPの作成は減算の対象となり得ます。割合の減算は33%または11%ですが、BCPを作成すれば減算はなしです。
認知症ケアと自立支援
虐待防止研修は義務化され、実施で減算1%。認知症ケアには「認知症ケアチームケア推進加算」があり、150点や120点が加算されます。利用者の半数以上が認知症で、専門研修を受けた職員が必要です。特養では、認知症加算が重要です。自立支援にはリハビリと栄養管理の取り組みがあり、新設加算は6か月以内793単位、6か月超473単位です。リハビリと栄養管理の職員が協力し、アセスメント実施、情報共有、計画作成を共同で行うことで加算が可能です。特別養護老人ホームでは、これによりADLの維持向上が期待されます。個別機能訓練加算3を取得し、口腔衛生管理加算も目指しましょう。
職員の処遇改善と生産性向上
介護保険施設の栄養管理情報の提供も新たな加算対象です。連携が重要です。特別養護老人ホームで栄養状態に問題がある入居者には、栄養情報連携加算70単位が適用されます。これは医師の判断に基づくものです。また、入院時や再入院時の栄養連携加算があり、特別なケアが必要な方に対して設置されています。介護保険施設では、感染症管理が義務付けられ、職員と専門職が連携して対応する必要があります。歯科医師や歯科衛生士も感染症管理に関わります。ユニットケア施設管理者研修は努力義務化されているため、受講が求められます。
LIFEの科学的介護が特養ホームにも拡大し、自立支援の見直しがありました。6ヶ月ごとの見直しを3ヶ月に短縮し、LIFE使用の頻度増を促します。特養ホームでは、3ヶ月に1度の状態管理とアウトカム評価が重要です。LIFE上でのアウトカム評価は、3以上の改善が見られた時に行われます。これには、尿道カテーテルや褥瘡の治癒などが含まれ、改善があれば評価されます。看護師のモチベーション向上にも繋がります。
また、処遇改善加算は、ルールが変更になり柔軟な配分が可能です。特別養護老人ホームの処遇改善について、月額賃金の改善が図られ、賞与とは別に月額配分が導入されました。処遇改善算定率は1から4の区分で、最高14%です。これは収入の14%が加算されることを意味し、収入が100万円なら14万円が処遇改善に充てられます。業績が良い施設ほど処遇改善が大きいです。加算の半分以上を月額にすること、人手不足対策、生産性向上のためのプロジェクトチーム組織が求められています。生産性向上のため、施設でプロジェクトチームを組織し、加算関連の取り組みを早急に始めることが推奨されます。
特に、生産性向上推進体制加算の1と2に注目し、テクノロジー導入や介護助手の活用が指示されています。具体的なテクノロジーには「見守り機器」や「眠りスキャン」があり、インカムやスマートフォンの使用も認められています。人員配置には「常勤30時間」の基準が新設され、特定の職員に適用されます。外国人職員は、意思決定後に人員配置基準にカウントされるようになりました。管理者要件も、同一敷地内外を問わず全サービスで見直されています。
重要な更新事項
ローカルルールに関しては、厚生労働省の基準と異なる場合、その必要性を説明し運用するよう指示されています。小規模特別養護老人ホームでは、短期入所施設併設時に生活相談員の配置が不要に。また、短期入所の評価が特別養護老人ホームと同程度に調整され、61日以降の点数が変更されます。
特養に関する重要な更新事項を4つ挙げます。まず、重要事項説明書をインターネットで公開すること、これは令和7年から義務化されます。次に、居住費の見直しについて、特養施設は改定を確認すべきです。低所得者の負担軽減策も2段階で導入されます。地域区分や投薬の見直しもあり、注意が必要です。これらの情報を把握し、BCPの作成を急ぎましょう。厚生労働省のホームページに雛形があります。リハビリ歯科栄養士の最新情報は連携に不可欠です。正確な情報共有が推進を容易にします。改定情報をテキストで確認し、理解を深めましょう。
ライフでは3か月ごとの評価が重要で、特養でも加算があります。初回入力後は更新が容易です。医療機関との連携は診療報酬改定に限らず、介護保険制度の改定も含まれます。医療機関は連携と役割を求められ、診療報酬の加算には地域との協力が必要です。在宅ケアの理解と病棟連携が重要で、これがなければ加算は得られません。看護師は医療連携の窓口であり、加算を得るには連携が不可欠です。介護補助員の導入やリネン交換などの無資格作業も生産性向上に寄与します。再雇用、継続雇用、発掘は65歳以上の職員に関わります。人材確保には処遇改善が必要で、月額配分の透明性が重要です。特定職種への配分を強化し、看護師不足地域では看護師に、そうでなければ介護職に焦点を当てるべきです。
営業力とマーケティング力の向上
営業力とマーケティング力の向上も必要です。介護保険報酬改定に対応し、特養の改定率の高さに注目し、施設数の増加傾向を把握することが大切です。令和5年の特別養護老人ホームの調査によると、収支差額は約2,800万円の赤字でした。全国1,427施設のデータが示す利用率の低下が原因です。令和3年の利用率は94.0%で、空室が増えていることが赤字の主な理由です。赤字施設が多いため、報酬の増加が求められていますが、これは根本的な解決策ではありません。稼働率を上げることが黒字化への鍵です。たった1人の入居者増で赤字を回復できる可能性があります。戦う力の強化とは、経営を自ら構築する能力です。営業リストの重要性を強調し、利用者やケアマネージャーの情報を活用することが勝つための環境整備です。
また、特養の強みは、待機者の存在と低価格での充実ケアです。空き情報の伝達は、顧客がサービスを理解し選択するために不可欠です。十分な供給がある今、特養は積極的に情報を提供すべきです。即行動を起こすことが大切です。迷うより、すぐに実行しましょう。アプローチブックは、1ページごとにストーリーを持つ営業ツールです。介護業界では珍しいが、効果的です。居宅配布で、利用者家族に選ばれる可能性が高まります。感情を動かすアプローチブックは、運営の質を伝える重要な手段です。特別養護老人ホームでの稼働率向上には、環境整備とベッドコントロールが重要です。空室をフレキシブルに管理し、職員の協力を得ることが成功の鍵です。また、医療連携を強化し、組織全体で対応する力を育てることが大切です。役職者と現場が協力し、営業活動が必要です。特別養護老人ホームは地域社会福祉の中核として、営業力を強化すべきです。
お読みいただきありがとうございました。
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この記事を書いたコンサルタント
管野 好孝
小売業の店長職を10年間経験。不振店の建直しを得意としてマネジメント業務に携わる。レンタル業界大手のTSUTAYAに着任後、たった1年で日本一に導いた実績を持つ。(ツタヤ・スタッフ・カンファレンス2009年) 船井総研入社後は介護業界に特化してコンサルティングを実施(詳しくは下部、コンサルテーマ参照)。経営者の「やりたいコト」に「伴走」したコンサルスタイルに定評があり「指名」を頂くケースが非常に多いコンサルタントである。(6年連続 指名数No.1)