いつも船井総合研究所のメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。 船井総合研究所 介護グループの前田です。
これまでのメールで、2026年診療報酬改定がナーシングホームの収益に与えるインパクトと、包括型・出来高制の選択の考え方をお伝えしてきました。
本日は「では、具体的に何から手をつければいいのか」という点を整理してお届けします。
経営判断の前に押さえておきたい3つの視点
① 別表7・8の該当者数
改定後の収益を最も大きく左右するのが、この数字です。同一建物内に別表7・8の該当者が何名いるかによって、包括型が有利になるか、出来高制を維持すべきかが変わります。弊社の試算では、深夜加算を算定しない施設の場合、同一建物利用者が9名以上になると包括型への移行が有利になるケースが多く見られます。この数字が手元にない状態では、どの選択肢も根拠のある判断になりません。
② 改定後の人件費率
改定後の収入水準をベースに人件費率を再計算しておく必要があります。ナーシングホームにおける適正な人件費率の目安は50〜60%程度です。改定後に70%を超える場合、現行の人員体制の見直しは避けられません。収入が下がっても人件費がそのままであれば、利益は急速に圧迫されます。早遅番・夜勤帯の人員を中心に、改定後の収入から逆算した人件費上限の設定が急務です。
③ ビジネスモデルの転換点の認識
今回の改定が示すのは、「大型施設に入居者を集めて頻回訪問する」モデルの転換点です。これからの収益の鍵は、スケールの大きさではなく、利用者の重症度と運営効率の掛け合わせに移っています。特に、余剰となった人員を地域の在宅訪問看護に展開するなど、施設内の訪問看護に依存しない収益の複線化が、中長期の経営安定につながります。
経営者が取り組むべき4つのステップ
上記3つの視点を踏まえた上で、取り組む順番は以下の通りです。
STEP1:収支シミュレーション
改定後の収益を自社の数字で精緻に試算します。出来高制を維持した場合・包括型に移行した場合それぞれの売上見込みを出し、かけられる人件費の上限と配置可能な人員数を把握します。
STEP2:自社の方向性の決定
数字を踏まえた上で、「自社がどんな施設を目指すか」を決めます。誰に・どんな価値を・いくらで提供するか。特定の疾病に特化した施設にするのか、受け入れの幅を広げていくのか。今後の入居者像と施設のポジショニングを再定義することが、その後のすべての判断の土台になります。
STEP3:算定方式の選択
シミュレーションと方向性をもとに、出来高制・包括型のどちらを選ぶかを判断します。どちらが正解かは自社の規模・入居者構成・人員体制によって異なります。重要なのは、「周囲がそうしているから」ではなく、自社のデータに基づいて決断することです。この判断を先送りにするほど、対応できる選択肢が狭まります。
STEP4:現場の仕組みの再構築
算定方式が決まったら、訪問スケジュール・人員配置・オペレーションを再設計します。出来高制であれば時間管理の精度向上とコンプライアンス体制の整備、包括型であれば夜間対応シフトと正看護師の配置計画が焦点になります。KPIや評価制度も、「訪問回数の最大化」から「稼働効率とケアの質」への転換が必要です。
この3つの視点の整理から4つのステップまで、自社の状況に照らし合わせながら考えられる場として、セミナーを開催しています。
「どこから手をつければいいかわからない」「STEP1の試算自体がまだできていない」——そうした経営者の方に、ぜひご参加いただけますと幸いです。
ナーシングホーム×診療報酬改定 2026年診療報酬改定を勝ち抜くナーシングホーム経営戦略
※本セミナーは終了しております。
このような方にオススメ
☑同一建物利用者への訪問のマイナス改定を受け、今後の利益確保に危機感がある方
☑「包括型」への移行か、「出来高制」の維持か、自社における最適な選択を知りたい方
☑報酬逓減を前提とした、今後の新規出店や店舗展開の舵取りに悩んでいる方
☑新しい報酬体系に合わせて、現場のオペレーションや評価制度を見直したい方
☑さらに先の「2027年介護報酬改定」「2028年診療報酬改定」の行方を見据え、中長期の経営戦略を立てたい方
セミナー概要
日程: 2026年7月7日(月)・8日(火)・9日(木)・10日(金)
時間: 各日 13:00〜15:00 / 16:00〜18:00(※内容は同一です)
形式: オンライン開催









