住宅型有料老人ホーム×定期巡回で実現する
「持続可能な経営」と「看取り」への体制強化

  • 介護
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執筆者船井総研 介護・福祉支援部
コラムテーマ取材記事
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「属人的な過剰サービス」からの脱却と、定額制による安心感の醸成が成功の鍵。

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社会福祉法人 幸輪福祉会(エバーガーデン久留米中央町) 福岡県久留米市にて、住宅型有料老人ホームに併設する形で定期巡回・随時対応型訪問介護看護を展開。訪問介護事業所や自社の訪問看護ステーションと連携し、効率的な人員配置と質の高いケアを両立。地域に根差した福祉サービスを提供している。その軌跡と運営のポイントを、川上様に伺いました。


Q.まずは、定期巡回サービスを開設されたきっかけや、当時の課題について教えていただけますか。
川上様 もともと住宅型有料老人ホームの中に、訪問介護とデイサービスを併設して運営していましたが、それだけでは収支改善が難しいという課題がありました。また、施設として「看取り」までしっかり対応していくためには、既存のサービスだけでは機能が不足しており、定期巡回の導入が必要だと判断しました。 参入後に直面した課題としては、当初は自立に近い軽度のご入居者様が多く、定期巡回の必要性が理解されにくかったことです。

また、本来、専門職として対価をいただくべきケアが曖昧になり、職員の善意に頼りきった持続性の低い業務負担が発生していました。
 
Q.そのような課題に対し、どのように対応されたのでしょうか。
川上様 大きな転換点は、ケアマネジャーや入居者様に対する「意識の変革」です。訪問介護の都度課金ではなく、定期巡回ならではの「定額制(包括報酬)」のメリットをしっかりとお伝えしました。

例えば、ナースコール(随時対応)や安否確認、トイレ誘導などにおいて、「1 回呼んだらいくら掛かる」と気にして我慢するのではなく、定額で安心して何度でも呼んでいただける仕組みであることを訴求しました。これにより、現在はご入居のタイミングで、ほぼ皆様に定期巡回をご案内する流れが確立できています。
 
Q.安定した運営体制を実現されていますが、そのポイントを教えてください。
川上様 もっとも大切にしているのは、限られた資源を最大限に活かし、職員が「ケアそのもの」に集中できる環境を作ることです。当法人では施設併設のメリットを活かし、移動時間を極小化することで、その分を「利用者様と向き合う時間」や「必要な時の素早い対応」に充てています 。

また、人員配置においては、訪問介護や有料老人ホーム、デイサービスの職員がチームとして連携し、定期巡回業務を柔軟に兼務できる体制を整えています 。 これにより、特定の職員に負担が偏ることなく、24 時間 365 日、切れ目のない安心を提供し続けることが可能です。 結果として、無理のない経営体制が整い、質の高いケアを持続的に提供できる好循環が生まれています。
 
Q.連携型の定期巡回を運営されていますが、訪問看護との連携や「看取り」への対応はどのようにされていますか。
川上様 当初は他法人の訪問看護ステーションとの連携型でしたが、現在は自前で訪問看護ステーションを立ち上げ、連携しています。 一体型ではなく連携型を選んだ理由は、自社の訪問看護だけでなく、サテライトや他法人とも連携できる柔軟性を持たせるためです。自前で訪問看護を持つことで、医療依存度が高い方や精神科領域の方、そして看取り期の対応においても、介護職と看護職がスムーズに連携でき、24 時間の安心感を提供できています。
 
Q.最後に、今後の展望や、この事業が地域で果たすべき役割についてお聞かせくだ
さい。
川上様 現在は施設内のご入居者様へのサービス提供が中心ですが、定期巡回は本来、地域包括ケアシステムの根幹をなすべきサービスだと考えています。施設内で培った『24 時間対応』や『看取り』のノウハウが確立できた今だからこそ、次はそれを地域のインフラとして外へ展開するフェーズに入ったと考えています。地域住民の方々の見守りや安否確認など、最低限の生活を保障するインフラとしての役割を担い、住み慣れた地域で最後まで暮らせるような支援を展開していきたいと考えています

執筆者 : 船井総研 介護・福祉支援部

船井総研の介護・障がい福祉業界の経営コンサルティングは、全国の成功事例を武器に「業績向上」と「社会貢献」の両立を支援する専門家集団です。稼働率アップや人財採用・定着など現場の課題を解決いたします。