障がい福祉サービスにおいて、利用者様への支援の質を左右するのは「人材」です。質の高い人材の確保と事業収益の向上を同時に実現するための有効な手段として、「福祉専門職員配置等加算」が設けられています。 このコラムでは、障害福祉サービス全般における「福祉専門職員配置等加算」について、算定要件、単位数、対象となるサービスや職種・資格、そして実務上の注意点を分かりやすくご説明します。
福祉専門職員配置等加算とは?(制度の概要)
福祉専門職員配置等加算とは、社会福祉士や介護福祉士といった国家資格を持つ職員や、経験豊富な常勤職員を配置している事業所を評価し、基本報酬に上乗せされる加算です。 単なる報酬アップだけでなく、専門知識に基づいた支援の提供や、有資格者の定着を促進する狙いがあります。加算の区分は要件のハードルに応じて(Ⅰ)から(Ⅲ)までの3段階に分かれています。
【一覧表】福祉専門職員配置等加算の単位数まとめ
対象となるサービスによって、取得できる単位数が異なります。
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加算区分 |
単位数(1日につき) |
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福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) |
15単位 (※療養介護・共同生活援助・福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設等は10単位) (※自立生活援助は1月につき450単位) |
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福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) |
10単位 (※療養介護・共同生活援助・福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設等は7単位) (※自立生活援助は1月につき300単位) |
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福祉専門職員配置等加算(Ⅲ) |
6単位 (※療養介護・共同生活援助・福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設等は4単位) (※自立生活援助は1月につき180単位) |
【特例:生活介護における併給について】
基本的には最も区分の高い加算のみを算定し、併給はできませんが、生活介護に限っては、加算(Ⅰ)または加算(Ⅱ)と、加算(Ⅲ)を併給することが可能とされています。これは、サービスの質を適正に評価するための見直しによるものです。
対象となるサービスと職種・資格のルール
■ 対象となるサービス種別
療養介護、生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、宿泊型自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労選択支援、自立生活援助、共同生活援助(グループホーム)、児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設など、幅広いサービスで算定可能です。
■ 対象となる職種と資格
加算の対象となるのは、直接利用者様の支援を行う「直接処遇職員(生活支援員、職業指導員、就労支援員など)」に限られます。 有資格者としてカウントできる主な国家資格は以下の通りです。
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
- 作業療法士(※就労移行支援や就労選択支援、就労継続支援A型・B型のみ対応)
算定するための必須要件(チェックリスト)
福祉専門職員配置等加算を確実に算定するためには、以下の要件を満たし、実務フローを遵守する必要があります。
① 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)の要件
常勤の直接処遇職員のうち、有資格者の割合が35%以上であること。
② 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)の要件
常勤の直接処遇職員のうち、有資格者の割合が25%以上であること。
③ 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)の要件
以下のいずれかを満たすこと。
- 直接処遇職員のうち、常勤の職員が75%以上であること。
- 常勤の直接処遇職員のうち、勤続3年以上の職員の割合が30%以上であること。
④ 記録と体制の整備
- 資格証原本の保管:現場に「資格証の原本」または「原本証明済みの写し」を保管する必要があります。
- 毎月のモニタリング:月初(シフト作成時)のシミュレーションと、月末(勤務実績確定後)の再計算を行い、有給休暇や欠勤によって割合が基準を下回っていないか確認します。
【Q&A】実務で迷いやすいポイント
Q1. 多機能型事業所では、各事業所ごとに加算を算定しますか?
A1. 原則として、事業所全体(全サービス種別)の直接処遇職員を合算して要件を判定します。サービスごとに計算するわけではありません。
Q2. ほかの職種と兼務している職員については、どのように算定しますか?
A2. 兼務している常勤職員が「どの業務に」「どれだけの時間を割いているか」という実態に合わせて算定します。例えば生活支援員として勤務している時間が2分の1を超えていれば算定対象となります。
Q3. パート・アルバイト職員も計算に含まれますか?
A3. 労働時間が「事業所の所定労働時間」に達している場合は、有資格者として認められます。また、加算(Ⅲ)は「常勤換算」を用いるため、非常勤職員も計算に含まれます。
Q4. 処遇改善加算との併給はできますか?
A4. 併給可能です。処遇改善加算の計算ベースとなる「総単位数」には福祉専門職員配置等加算の分も含まれるため、この加算を取ることで結果として処遇改善加算の受給額も増加します。まとめ:専門職員配置を収益と支援の質に繋げるために
有資格者の採用は不可欠ですが、福祉専門職員配置等加算を正しく運用できれば、採用コストをカバーしつつ、事業所の収益性と支援の質を同時に高めることができます。 ただし、職員の退職等により要件を満たさなくなった場合は、事実が発生した日から算定できなくなるため、速やかな届出が必要です。要件割れに気づかず請求を続けると返還金の対象となるため、正確な人員管理体制を整えましょう。
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