身元保証ビジネス:2025年への戦略的展望
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本コラムをお読みいただきありがとうございます。船井総合研究所の経営コンサルタント、鶴慈子です。
はじめに
シニアビジネスは、日本社会の急速な高齢化に伴い、大きな成長を遂げています。そして、その中でも特に注目を集めているのが「身元保証事業」です。 高齢化が進むにつれて、身寄りのない高齢者や、家族に迷惑をかけたくないという思いから身元保証人を頼みにくい高齢者が増加しています。 このような社会背景から、身元保証事業者のニーズは益々高くなっています。
身元保証業界の時流
身元保証事業は、社会的に重要な役割を担っている一方で、これまで明確な業界基準や規制が存在していませんでした。 そのため、事業者によってサービスの質にばらつきが生じていることが課題として挙げられてきました。
しかし、2024年6月、内閣府から「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が発表されたことで、業界に大きな変化が訪れています。 このガイドラインは、身元保証事業の標準化を図るための第一歩であり、事業者に対して、サービス内容や契約に関する明確な指針を示しています。 また、静岡市では、行政主導で優良事業者を認証する制度が導入されるなど、各自治体レベルでも取り組みが進められています。
2025年 身元保証業界の予測
「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の制定により、身元保証事業は「高齢者等終身サポート事業」として、より社会的に認知され、事業者数も増加していくと予想されます3。 ガイドラインの周知徹底は、「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針)」や「高齢社会対策大綱」にも盛り込まれており、国を挙げてこの事業を推進していく姿勢が明確になっています。
また、ガイドラインでは、金融機関の手続き、医療同意、死亡届の提出など、現状では法規制によって制限されている業務についても触れられており、今後、規制緩和に向けた動きが出てくる可能性もあります。
今後の展望とビジネスチャンス
シニアビジネスを展開する企業にとって、身元保証事業は大きなビジネスチャンスとなります。 特に、介護業界や葬儀業界など、高齢者と接点の多い事業者にとっては、既存事業との相乗効果も見込める魅力的な分野です。 ご紹介している事例では、介護業界と葬儀業界でそれぞれ新規に身元保証事業を立ち上げたケースが紹介されていますが、いずれも本体事業との連携によって着実に契約者数を伸ばしています。
2025年に向け、身元保証事業への参入を検討する際には、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の内容を理解し、遵守することが必須となります。ガイドラインには、事業者として必要なサービス提供の基準などが詳細に規定されており、事業を成功させるためには、本ガイドラインの内容をしっかりと把握しておく必要があります。
レポートダウンロードのお勧め
本コラムでご紹介した内容は、あくまで概要です。 身元保証事業への参入を具体的に検討されている場合は、ぜひ、詳細な情報が記載されたレポートをダウンロードしてご覧ください。2024年に引き続き2025年も注目の業界となります。身元保証事業にぜひご注目ください。
この記事を書いたコンサルタント
鶴 慈子
国際基督教大学教養学部を卒業後、新卒で船井総研に入社。 入社後は医療業界を経て、シニアビジネスの新規立ち上げコンサルティングに従事。 身元保証事業をはじめ、その他シニアビジネスのスタートアップを専門とする。