介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【訪問介護版】
- カテゴリ:
- 介護
講演内容をすべて読みたい方はこちら
2024年の改定概要
2024年の改定は全体で1.59%の増加、処遇改善分を含むものです。訪問介護以外は4月から、訪問看護等は6月から施行されます。厚生労働省の資料によると、平成27年から約8年間、介護報酬はプラス改定が続いています。しかし、訪問介護の基本報酬は約2%のマイナス改定を受けました。単位数の減少は、利益率を考慮した国の決定です。訪問介護事業所は高額な経費が少なく、経営への影響は小さいとされています。
一方、施設系業態は光熱費の増加などで利益率が低いです。改定後の対策が関心事であり、セミナーで前向きな対応を考えたいと思います。
改定の背景と重点項目
令和3年の報酬改定では、感染症対策、地域ケア、自立支援、介護人材の確保、制度の安定性などが重視されました。特に、地域包括ケアシステムの推進、自立支援、介護サービスの提供改善、制度の持続可能性が注目されています。
訪問介護の報酬改定とBCP策定
訪問介護においては、特定事業所加算の変更があり、新たな項目が追加され、既存の項目は減算率が変更されました。BCP策定が必須となり、虐待防止措置の不履行には減算が適用されるようになりました。認知症ケア加算の要件も一部変更されています。これらの改定は、サービスの質の向上と効率性を目指しています。第8項目では、家族の状況変化に応じて、介護サービス事業者がケアマネージャーや医療機関と連携し、計画を見直すことが求められています。また、見守り利用者への対応実績が必要で、国はこれに注力を促しています。
BCPについては、感染症や災害対策のため策定が必要で、未策定の場合は減算があります。訪問サービスは令和7年3月31日まで減算免除されています。虐待防止では、再発防止措置が不可欠であり、減算を避けるための対策が求められます。
過去8年間の介護報酬はプラス改定が続いていましたが、訪問介護の基本報酬は約2%減少しました。令和3年の改定では、感染症対策や地域ケアなどが重視され、特定事業所加算の変更やBCP策定の必須化などが行われました。また、見守り利用者への対応実績が必要とされています。BCP未策定の場合の減算や虐待防止の再発防止措置などがセミナーで取り上げられる予定です。
認知症ケア加算と自立支援加算
認知症専門ケア加算は、体制変更はないものの、算定要件が緩和されました。自立度2以上の利用者が半数以上いる場合に適用されます。過去の自立度3以上のケアは現在の加算要件に含まれます。認知症専門ケア加算には留意が必要です。取得事業所が少ないため、改定がありました。加算は取得を目指し、要件をチェックしましょう。自立支援と重度化防止の新設加算には、口腔連携強化があり、月1回の報告で50単位が算定可能です。LIFE加算は訪問介護には適用されず、サービス拡大もありませんでした。口腔ケア加算は、訪問ヘルパーが評価し、情報提供で50単位が加算されます。LIFEの科学的介護推進体制加算は訪問介護を除く多くのサービスに適用され、3か月ごとのデータ提出が必要です。訪問介護の対象拡大は未定ですが、準備は必要です。良質な介護サービスと働きやすい職場づくりには処遇改善が重要です。処遇改善は一本化され、最上位を取得した場合、加算率は2.1%上がりますが、基本報酬の減少で全面的な喜びは難しいです。生産性向上やICT活用は訪問介護には影響が少ないものの、施設系サービスでは進んでおり、訪問介護も取り入れるべきです。
令和6年度には2.5%、令和7年度には2.0%のベースアップが見込まれます。新処遇改善加算は4段階で、柔軟な職種間配分が可能です。特定処遇改善加算のグループ分けはなくなり、介護職員への配分は中心ですが、より柔軟になりました。国は賃金改善に向けて要件を見直し、事業所は配分の自由度に困ることもあります。訪問介護はヘルパー中心で、他職種への配分で不満が出ることも考慮が必要です。国の方針として、介護人材の確保が重要です。現行制度では、処遇改善加算1は13.7%、特定処遇改善加算1は6.3%、ベースアップは2.4%で、合計22.4%です。改定で最上位は24.5%になり、2.1%上がります。
新しい処遇改善加算と事業者の対応
約75%の事業所が処遇改善加算1を取得しています。加算取得は望ましいです。訪問介護は加算率が高いですが、小規模事業所は絶対額が少なく、職員の処遇改善につながりにくいです。
認知症専門ケア加算と新設された加算
認知症専門ケア加算の算定要件が緩和され、自立度2以上の利用者が半数以上いる場合に適用されるようになりました。新設された自立支援と重度化防止の加算には口腔連携強化が含まれ、LIFE加算は訪問介護には適用されません。
処遇改善と介護サービスの質向上
処遇改善は介護サービスの質と職場環境の向上に不可欠で、一本化された新しい制度では加算率が上がりますが、基本報酬の減少が影響します。令和6年度と7年度にはベースアップが予定されており、新処遇改善加算はより柔軟な職種間配分が可能です。介護人材の確保が国の重要な方針であり、訪問介護は加算率が高いものの、小規模事業所では職員の処遇改善につながりにくい状況です。法人事業者の75%が処遇改善策1を採用しています。最上位の加算を目指すべきです。
新加算の配分と賃金改善
加算は1から4の段階があり、事業者は柔軟に配分できます。新加算の半分以上を賃金改善に使ってください。訪問介護の加算率は14.5%で、7.2%は月額配分です。フルタイム雇用は基本的に月額配分を推奨しており、求人要項では月額が重要です。他業種との競争で月額を高く見せることが人材獲得に影響します。新加算4では職場環境改善や賃金体系整備が必要です。18.2%の緑色部分では昇給の仕組み作りが、22.4%の2段階目では年額440万円以上が要件です。特定処遇改善の配分ルールは廃止され、職場環境改善が求められています。介護福祉士30%以上配置が最上位の要件です。新規事業所は資格取得が難しいかもしれませんが、長期的には目標を持ってほしいです。セクション4に関しては、システムの安定性と持続可能性を確保しています。同じ建物控除に関する新しい項目が追加されました。同じ建物の利用者数が50未満であっても、半月または半年の90%以上の訪問がその利用者による場合、12%の控除が利用可能です。
訪問介護の新しい控除制度
法人事業者の75%は処遇改善策1を採用し、最上位の加算を目指しています。加算は4段階あり、新加算の半分以上を賃金改善に充てることが推奨されています。訪問介護の加算率は14.5%で、フルタイム雇用には月額配分が推奨されています。新加算4では職場環境の改善が必要で、特定の昇給の仕組みや年額440万円以上の賃金体系が求められます。特定処遇改善の配分ルールは廃止され、介護福祉士の30%以上配置が最上位の要件となっています。新規事業所は資格取得が困難ですが、長期的な目標が望まれます。セクション4ではシステムの安定と持続可能性を確保し、新しい同じ建物控除が導入されており、特定条件下で12%の控除が可能です。
地域区分と報酬改定の影響
以前は、50人未満のユーザーであれば10%の控除が適用されていましたが、付属オフィスやシニアハウジングの増加に伴い、ユーザー数に関係なく12%の控除が適用されるようになりました。図2に示されているように、1日50人以上のユーザーには15%の控除が、50人未満では10%の控除が適用されていましたが、これは不公平と見なされたため、12%のガイドラインが導入されました。
厚生労働省の図は、49人のユーザーと自宅で2人の場合に、訪問の90%以上を占める場合に12%の控除が適用されることを示しています。
在宅ケアと付属オフィス間の収益性の違いも経営調査で考慮されました。最後に、地域分類の新しい例外を除き、在宅ケアの項目には特有のものはありませんでした。運営規定などの重要事項は、基本的にウェブで公開されるようになりました。書面掲示からウェブ掲載への移行を忘れないでください。これは2027年度から義務化されます。
訪問介護事業所の経営強化策
地域区分は基本的に変わらず、特定の条件下で地域手当が異なる場合があります。特例のある自治体は除きます。セミナー参加者は自分の事業所の地域を確認してください。訪問介護の報酬改定では、特定事業所加算の要件変更と加算率の減少があります。BCP策定が必須で、未策定は減算対象です。認知症ケア加算の要件も変更されましたが、単位数は同じです。地域包括ケアシステムの進化では、口腔ケアの報酬でライフ加算が可能ですが、訪問介護への適用は見送られました。
介護サービスの質向上には処遇改善が一本化され、加算率が2.1%向上しましたが、基本報酬は2.2%減少し、実質的に変わらずです。生産性向上やICTの導入は訪問介護に影響を与えません。制度の安定には、訪問介護と併設施設の利益率差に注意が必要です。新たな減算率とウェブ公表義務化もあります。処遇改善は2%以上引き上げられていますが、基本報酬の減少で訪問介護事業は厳しい状況です。経営強化が必要です。
報酬改定の講座を終え、次の対策講座に移ります。訪問介護事業所の収益は、訪問回数とヘルパー数に比例し、多いほど利益率が上がります。一方、400回未満の訪問やヘルパー3.5人未満の小規模事業所は赤字が多いです。600回以上の訪問を持つ事業所は3パーセント以上の収益が見込めます。規模を大きくすることが収益率向上につながるため、事業者は成長を目指すべきです。現在、最も多いのは201回から400回の訪問回数を持つ事業所です。全国で3.5人から5人の職員を抱える訪問介護事業所が多いですが、人件費の増加や報酬の減少で苦境に立たされています。
大規模化とヘルパー不足の対応
大規模化が解決策とされており、多くが規模拡大を望んでいます。しかし、ヘルパー不足が大きな障害です。訪問介護員の求人倍率は15.5倍と極めて高く、ヘルパー確保が急務です。小規模事業所は赤字で、大規模化が望まれていますが、それにはヘルパーの増員が不可欠です。採用強化が事業拡大の鍵となります。職員の採用と定着には、報酬改定が重要です。特定事業所加算と処遇改善加算を2%以上目指し、給与に反映させるべきです。また、求人活動を強化し、ウェブサイトの利用やホームページの充実が効果的です。リファラル採用の推進、働きやすい環境の整備、生産性向上のためのポイント制度導入、勤務希望の確認も大切です。これらにより、採用と職員の満足度を高めることができます。利用者獲得には、整理されたパンフレットと即時の情報伝達が重要です。訪問介護では、加算取得は職員の給与向上につながりますが、過度な加算は顧客負担増となり選ばれにくくなるリスクもあります。
競争と事業存続のための戦略
訪問介護の報酬改定により、特定事業所加算の要件と加算率が変更され、BCP策定が必須となりました。認知症ケア加算の要件も変更されたものの単位数は変わらず、地域包括ケアシステムでは口腔ケアによるライフ加算が可能になりましたが、訪問介護への適用はなしです。処遇改善による加算率は2.1%向上しましたが、基本報酬は2.2%減少しました。生産性向上やICT導入は訪問介護に影響を与えず、新たな減算率とウェブ公表義務化が導入されました。処遇改善は2%以上引き上げられていますが、基本報酬の減少により訪問介護事業は厳しい状況にあります。訪問介護事業所の収益は訪問回数とヘルパー数に比例し、小規模事業所は赤字が多いですが、大規模事業所は利益率が高くなります。ヘルパー不足が問題であり、採用と定着が重要です。加算取得は給与向上につながりますが、過度な加算は顧客負担増となるリスクがあります。ルパーの有無が事業存続の鍵です。他事業所との競争で、努力を怠ると職員流出や事業停止の恐れがあります。
特定事業所加算の取得と目標
大規模化と粘り強い加算取得が生存戦略です。特定事業所加算の取得を提案し、規模拡大を目指します。介護福祉士資格と5年の実務が必須です。要項9では、介護士の割合が30%以上、または特定研修終了者が50%以上必要です。実務者研修が要件です。資格取得の負担軽減を目指します。要項2は、9と10を満たした上での取得を推奨します。法人は基本報酬で2%減、処遇改善で増えた分を特定事業所加算で減らさず、プラスを目指すべきです。介護福祉士配置や訪問看護連携で、さらに上を目指す法人もあります。
人員不足とリファラル採用の重要性
人員不足の法人は、最低でも2位を目指すべきです。令和3年度の処遇改善加算1取得率は75%で、問題なく取得できる事業者もいますが、そうでない場合は、賃金テーブル整備や職場環境改善を含め、24.5%を目指すべきです。給与差は求人影響を与え、厳しい市場を生む可能性があります。採用は最優先で考慮すべきです。リファラル採用は従業員が他者を紹介する手法です。訪問介護では、従業員は単独で業務を行い、責任感が増します。施設やデイサービスでは、同僚と協力が可能です。リファラル採用を進めるには、従業員が組織のファンになることが重要です。組織の真剣な姿勢を示し、紹介フィーを設定することが効果的です。紹介者にのみフィーを提供し、モチベーションを高めることが望ましいです。また、職員が求人条件を説明できるよう、リファラルカードを作成することが役立ちます。
登録ヘルパーの定着とインセンティブ
登録ヘルパーの定着が重要で、離職防止は採用に匹敵します。具体的には、訪問業務時間を50%以下に抑え、コミュニケーションを増やすことです。また、事務作業の時間を確保し、困難な利用者は他の職員に委ねるべきです。自己犠牲からの脱却と、登録ヘルパーが相談しやすい環境作りが必要です。業務時間の適切な配分が、ヘルパーの増加につながります。また、定期的な対面でのコミュニケーションと、ポイント制度によるインセンティブが重要です。
ヘルパーの有無は事業の存続にとって重要であり、競争において努力を怠ると職員が流出し、事業が停止するリスクがある。大規模化と加算取得による生存戦略を提案し、介護福祉士資格と実務経験が必要とされる。特定事業所加算の取得を目指し、法人は基本報酬の減少を補うために処遇改善加算を活用すべきである。人員不足の法人は競争で上位を目指し、処遇改善加算の取得率を高めるべきである。給与差が求人に影響を与えるため、採用は優先されるべきであり、リファラル採用が有効な手法である。登録ヘルパーの定着と離職防止が重要であり、業務時間の適切な配分とインセンティブがヘルパーの増加につながります。
ポイント制度によるモチベーション向上
企業ポリシーへの協力を促進するために、難しいシフトをカバーしたり、週末や祝日に働いたりするとポイントを授与します。これらのポイントは、急なカバーや他の人が利用できない時に代わりに勤務する場合にも与えられます。勉強会への参加や紹介によっても報酬が与えられます。蓄積されたポイントは特定の報酬と交換可能で、企業の望むコミュニケーションを強化します。
このシステムを通じてモチベーションを高めることを目指しています。状況は変わるため、必要に応じて労働時間の増減を定期的に更新し、柔軟に調整することが重要です。これにより、過度なストレスなく維持できたはずの労働時間の過負荷や損失を防ぎます。希望と可能性の確認が重要であり、事業者はこれを定期的に尋ね、調整を容易にするべきです。利用者獲得には、ケアマネージャーが家族に説明しやすい明確なパンフレットの作成や、FAXでの定期的な情報提供が効果的です。ヘルパー不足の際も、情報を積極的に伝えるべきです。
経営強化と職員不足解消のための対策
報酬改定の影響を軽減し、職員不足を解消するための対策を提供いたしました。セミナーが役立つと感じていただければ幸いです。訪問介護の拡大と職員採用に焦点を当て、マネージメントに時間を割き、モチベーション向上のためのポイント制度や営業戦略を実践していきましょう。
お読みいただきありがとうございました。
講演内容をすべて読みたい方はこちら
介護保険報酬改定2024年対策セミナー講演録一覧
・介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【通所介護版】
・介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【特別養護老人ホーム版】
・介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【 訪問看護版 】
・介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【訪問介護版】
・介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【グループホーム版】
この記事を書いたコンサルタント
三浦 基寛
介護業界のコンサルティングに特化。介護施設・有料老人ホームの『業務標準化』 『スタッフ定着・離職防止』『リーダー・管理者育成』を中心とした組織づくりや生産性向上のコンサルティングを得意とする。人手不足・採用難時代の中で、経営者・事業部長・管理者・リーダーといった法人内の各階層の役職メンバーを巻き込みながら、成功事例を基に手堅くコンサルティングを実施している