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売上10億円を目指す中小企業への国の支援が話題ですが、介護・福祉の経営者様からは「うちが規模を追う意味はあるのか」という声も聞きます。
今回は、介護福祉事業者が規模を目指すべき理由と、モノを売る業界とは異なる成長の進め方についてお伝えします。
規模を追う理由は「売上」ではない
「介護福祉で売上10億円」と聞くと、利益追求のように感じる方もいるかもしれません。
しかし介護における規模の意味は、一般企業とは異なります。
規模とは、職員と地域を守り続けるための「体力」だと考えることができます。
そのように考える理由は3つあります。
1.人材の確保と定着
介護労働実態調査では、事業所の規模が大きくなるほど離職率が低くなる傾向が示されています。
規模があれば教育担当を置け、休みも取りやすく、事業所間の異動でキャリアの道筋も描けます。
小さな事業所では一人の退職が経営危機に直結します。
2.制度変更への耐性です。
2025年の介護事業者は倒産が176件、休廃業・解散が653件といずれも過去最多でした(東京商工リサーチ)。
倒産した事業者を従業員数別に見ると小規模・零細が大半です。
複数のサービスを持つ法人は、一つの報酬改定による揺らぎにくくなります。
3.地域貢献です。
撤退する事業所が増えるなか、利用者と職員の受け皿になれるのは体力のある法人です。
厚生労働省も地域でサービスを確保し続けるために、テクノロジー活用とあわせて協働化・大規模化による経営改善を推進しています。
つまり、「10億」は目的ではなく、地域で困った方の相談を断らず、支え続けるための手段なのです。
モノを売る業界とは成長の道筋が違う――「介護福祉版」10億企業化
製造業や住宅・不動産業は「商品を持ち、売る」業界です。
価格を自社で決め、広告で見込み客を集め、営業力で販売数を伸ばせば売上が上がります。
一方、介護は「人がサービスそのもの」の業界です。
価格は国が決め、利用者はケアマネジャーや病院の紹介で来ます。
そして売上の上限は、営業力ではなく職員数で決まります。
だからこそ、成長の打ち手も業界によって異なります。
■「集客」から「紹介元づくり」へ
他業界なら、チラシやWeb広告で見込み客を集めます。
介護業界では利用者の多くはケアマネジャーや病院の相談員の紹介で来ます。
紹介元別の件数を管理者が毎月確認し、職員個々の人脈を組織の資産に変えていく必要があります。
■「追加販売」から「切れ目のない支援」へ
他業界なら、家を買ったお客様にリフォームや保険を追加で提案して売上を伸ばします。
介護業界ではサービスの量はケアプランで決まり、過剰な提供は指導・返還の対象です。
住まい・在宅・通いをつなぎ、状態が変わっても支え続けられる体制の構築が、中長期の成長と安定経営になります。
■「営業力」以上に「採用・定着力」
他業界なら腕のいい営業担当が一人いれば売上が大きく伸びます。
介護業界では、職員一人が支えられる利用者数に限りがあるため、人が集まり辞めない法人が伸びます。
そのため、インセンティブで一人を抱えるのではなく、大勢が働きやすい環境づくりをハード・ソフト面でつくっていきます。
ある企業では利用者の状態によって自社サービスを様々提案できる「相談センター」を構築することで各事業所の稼働率を最大化しています。また、ある企業では社員への「食事」をコミュニケーションの場として上手に活用する取り組みをしてから3年連続離職率が一桁に変わっています。
これらはほんの一例です。
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