【全文公開】赤字の小多機がV字回復した経営者の言葉——スパーテル橋本社長・秋田課長インタビュー

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更新日
執筆者森永 顕成
コラムテーマ小多機・看多機,セミナー・研究会のご案内
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先日、7月3日開催のセミナーにゲスト講師としてお招きする
株式会社スパーテルの橋本昌子社長と秋田利恵執行役員に
インタビューを行いました。

年間売上2,760万円・営業利益率-20%の赤字から
9,870万円・営業利益率+15%へのV字回復——

そのリアルなストーリーを、今回は特別に全文公開します。
ぜひ最後までお読みください。

特別インタビュー|株式会社スパーテル

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地方商圏でも成功できる!
赤字続きだった小規模多機能が年間売上9,800万円を達成し、
収益化を実現したサクセスストーリー
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Q1|小規模多機能を開設したキッカケを教えてください。

橋本氏:2015年に老人ホームで介護事業に参入し、デイサービス、訪問看護へと展開してきました。そんな中、野々市市の職員から「小規模多機能を公募する。地域包括ケアの要になる大切なサービスだ」と力説され、ぜひ取り組みたいと思ったんです。
周囲からは「利益が出ない」と言われていた矢先、全国の医療・介護関係者が集まる講演会で「あおいけあ」の加藤忠助さんに出会いました。たまたま隣の席に座られた加藤さんに「職員は集まりますか?経営は大丈夫ですか?」と聞いたら、「大丈夫ですよ」の一言。その言葉を信じて「絶対やろう!」と決めました(笑)。地域に居場所をつくり、どんな状態になっても支え続けられる。そのサービスの本質に共感したんです。公募に手を挙げたのは、結局うちだけでした。

Q2|開設後に直面した課題はありますか?

秋田氏:開設当初、野々市市に小規模多機能は2か所しかなく、ケアマネさん自体がサービスの使い方をよくご存知ではありませんでした。営業に回っても「ケアマネが変わるので紹介しにくい」という壁が常につきまとい、なかなか興味を持ってもらえませんでした。
紹介がきても、「デイサービスに毎日通っているけどもっと回数を増やしたい」といった限度額オーバーのケースや、居宅のケアマネさんがお手上げになった困難事例ばかり。要支援や軽度の方も多く、定額制ゆえに売上にはつながりませんでした。登録者は最大9名で頭打ちが続き、当時は「こんな大変なケースを受け入れて、本当にこれで正しいのか」と、現場も迷いながら運営していました。

橋本氏:制度への理解も営業の仕組みも手探りのまま赤字が続き、「このままでは続けられない」という危機感が正直ありました。希望を持って始めた事業だっただけに、とても苦しい時期でしたね。

Q3|どのように課題を解決しましたか?転換点は?

橋本氏:転換点は、北陸電力主催のセミナーで船井総合研究所の森永コンサルタントと出会ったことです。ファシリテーションを見た瞬間、「信頼できる人だ」と直感しました。全国の成功事例をもとに方向性を絞ってもらったことで迷走から抜け出せましたし、森永さんが言うと私が言うより現場にも届くんです(笑)。本当にリードしていただいたからこそ、ここまで来られたと思っています。(森永さんには2018年から現在まで末永くご支援いただいています。)

秋田氏:それまでは地域包括支援センター中心の営業でしたが、利用ターゲットを「退院支援・医療ニーズの高い方」に絞り込み、営業ツールも整備しました。「こういう方に小規模多機能が合っています」と具体的な事例で伝えることで、紹介が増えてきました。ケアマネの事例発表への参加も重なり、「押野に紹介すれば何とかしてくれる」という信頼が積み上がっていいました。

橋本氏:今では金沢大学の講義でも事例発表するほどになっています。

Q4|事業実績はどのように変化しましたか?

橋本氏:年間売上は2,760万円から9,870万円へとV字回復を果たしました。登録者数は9名から29名、単価は23万円から27.9万円、人件費率は91.3%から58%に改善し、営業利益率は-20%から+15%へと黒字転換しています。さらに2025年にはM&Aで経営不振の小多機を譲り受け、わずか7か月で登録者を14名から29名へと倍増させる事業再生も実現しています。

秋田氏:医療ニーズの高い方や困難ケースへの対応を重ねる中で、職員の対応力も確実に引き上がりました。地域での認知度と信頼が定着してきた実感があり、現在は常時29名の登録者が埋まった状態で、待機者も5〜6名いる状況です。月間売上も850万円を超え、かつて赤字だったことが嘘のようです。

Q5|今後の展望を教えてください。

橋本氏:今後は小規模多機能のサテライト開設と、看護小規模多機能の開設を計画しています。当社はもともと有料老人ホームと訪問看護を強みとしており、これらの事業もさらに伸ばしていく考えです。薬局を起点に医療と介護を一体的に提供してきた強みを活かし、在宅から施設まで切れ目のない地域包括型モデルをさらに深化させていきたいと思っています。小規模多機能はその中核を担う存在として、これからますます重要になると確信しています。

秋田氏:赤字続きで「このまま続けられるのか」と思っていた頃と比べると、本当に別世界のようです。あの時期があったからこそ今の土台があると思っています。職員同士や多職種間で小さなことを気軽に言い合える関係性が、結果的に利用者さんの安心につながっていると実感しています。同じように苦しんでいる事業所の方々に、私たちの経験を包み隠さずお伝えできればと思っています。

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執筆者 : 森永 顕成

愛媛県松山市生まれ。2016年、株式会社船井総合研究所に入社。シニア関連事業の戦略策定と実行支援を専門とし、データ分析と全国の成功事例をもとにしたコンサルティングを行っている。特にデイサービスや小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護における不採算事業の黒字化や事業再生支援を得意としており、多くの事業再生・収益改善プロジェクトに携わってきた。クライアントは中小企業から地域一番企業まで幅広く、売上10~40億円規模の中堅企業の経営支援を多く担当。単発のプロジェクトではなく長期的な伴走支援となるケースも多く、7~9年にわたり継続して経営支援を行うクライアントも多数。近年はAIを活用した事業分析や戦略提案にも取り組み、介護事業におけるデータ活用の支援も行っている。