厚生労働省は、令和9年度の「社会福祉施設等施設整備費補助金」として、83億円を概算要求しています。
この補助金は、障害者総合支援法等に基づく施設の整備費用の一部を補助するもので、対象には障害者支援施設、生活介護、就労継続支援、短期入所、共同生活援助(グループホーム)等が含まれます。
その中で特に今回注目したいのが、国が
「障害者の社会参加支援及び地域移行をさらに推進するため、地域移行を支える基盤として、グループホーム等の整備を促進する」
という方向性を明確にしている点です。
国の予算書が示す、グループホームの位置づけ
厚生労働省が公表した「社会福祉施設等施設整備費補助金」の資料には、次の内容が記載されています。
・令和9年度概算要求額:83億円(令和8年度当初予算額は101億円)
・事業の概要:地域移行等の受け皿として、グループホーム等の整備を促進する
・補助率:国2分の1、都道府県・指定都市・中核市4分の1、設置者4分の1
・工事費の高騰に対応するため、補助の基準単価の引き上げを要求
要求額そのものは前年度の当初予算を下回っています。
注目していただきたいのは、限られた予算の中で、何を整備の対象として名指ししているかです。
この補助金は、耐震化や防犯対策など既存施設の安全を守る使い道と並んで、グループホームの整備を明確に挙げています。背景にあるのは、入所施設や親元から地域での暮らしへ移る方の住まいが足りていないという課題です。
国は、この住まいを増やす側に予算を置いています。
つまり、補助金が自社で使えるかどうかとは別に、「国はグループホームの定員を増やしたい」という方針が示されており、これは、参入を検討する際の一つの材料になります。
※出典:厚生労働省「令和9年度各部局の概算要求」障害保健福祉部 参考資料
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/27syokan/03.html
活用の可能性と条件
資料に記載された実施主体は「社会福祉法人 等」です。多くの都道府県の交付要綱では、対象が社会福祉法人や特定非営利活動法人などに限られており、株式会社・有限会社は対象外とされている例が少なくありません。
運用は自治体ごとに異なりますので、必ず所在地の都道府県・市の要綱でご確認ください。
加えて、対象になるのは原則として自己所有の物件を新築・改修する場合です。
賃貸のアパートや戸建てを借りて始める形は、この補助金の対象にはなりません。
整理すると、補助金を検討できるのは次の場合です。
・法人格が「社会福祉法人」である
・自法人で土地・建物を所有している、または取得して整備する
・市町村の障害福祉計画の中で、グループホームの整備が必要とされている
3番目は見落とされがちですが、国の補助金は都道府県を通じて交付され、市町村の計画との整合が取れていない計画は協議の段階で通りません。
まず市町村の障害福祉担当課に相談することが出発点になります。
なお、株式会社等で参入する場合は、賃貸物件を活用した開設が営利法人の参入では主流です。
この場合は初期投資を抑えられる一方、物件の選定と、消防設備や用途の扱いなど建物側の確認が成否を分けます。
そして、補助金を使わない参入であっても、前述した国の方針は判断材料として有効です。
住まいを増やす方向に予算を置いているということは、その先の地域移行の流れが当面続く可能性があるいうことだからです。
グループホームは事業者数が増え、支援の内容が問われる段階に入っています。
住まいの提供に加え一人ひとりの支援をどう組み立てるかを評価する方向に動いています。
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