障害児相談支援給付費の仕組みと算定構造を徹底解説|児童発達支援・放課後等デイサービス

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執筆者石川 善大
コラムテーマ障がい福祉
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児童発達支援・放課後等デイサービス事業所を運営していると、お子さまの利用開始や受給者証の発行の場面で必ず関わることになるのが「障害児相談支援」です。障害児相談支援を提供する事業者には「障害児相談支援給付費」が支給され、保護者の自己負担はありません。

このコラムでは、児童発達支援・放課後等デイサービス事業者の視点から押さえておきたい障害児相談支援給付費の概要や算定構造、児童発達支援・放課後等デイサービス運営との関わり方を分かりやすく解説します。

障害児相談支援給付費とは?

障害児相談支援給付費は、児童福祉法に基づき、指定障害児相談支援事業者が障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援・居宅訪問型児童発達支援)の利用者である障害児や保護者に対して相談支援を行った際に支給される給付費です。

障害児相談支援には、大きく2つの援助があります。

  • 障害児支援利用援助:受給者証の申請時等に、障害児の心身の状況や保護者の意向を踏まえて「障害児支援利用計画案」を作成し、支給決定後に「障害児支援利用計画」を作成・交付する援助。
  • 継続障害児支援利用援助:支給決定後に、計画通りに支援が行われているか、状態に変化はないかを定期的にチェックする「モニタリング」を行う援助。

いわば、児童発達支援・放課後等デイサービスの利用に至るまでの「入口」と、利用開始後の「定点観測」を担うのが障害児相談支援であり、それぞれに対する報酬が障害児相談支援給付費です。なお、計画相談支援は障害者総合支援法に基づく成人向けの仕組みで、障害児には原則として障害児相談支援が適用されます。

【一覧表】障害児相談支援給付費の単位数(通常型・機能強化型)

障害児相談支援給付費の基本報酬は、大きく「通常型」と「機能強化型」の2つに分かれます。さらに、いずれの型でも、相談支援専門員1人当たりの「取扱件数」(前6か月平均の支援対象保護者数÷相談支援専門員の平均員数)が40件未満か40件以上かによって単位数が変わり、取扱件数40件以上の部分には、逓減制により低い単位数が適用されます。

まず、機能強化型の届出を行っていない事業所が算定する「通常型」の基本報酬の単位数は、以下のとおりです。

区分 障害児支援利用援助費 継続障害児支援利用援助費
(Ⅰ)取扱件数 40 件未満の部分 1,766 単位/月 1,448 単位/月
(Ⅱ)取扱件数 40 件以上の部分 815 単位/月 662 単位/月

次に、令和6年度報酬改定で基本報酬が引き上げられた「機能強化型」の単位数は、以下のとおりです(いずれも取扱件数40件未満の部分に適用される単位数)。機能強化型の算定には、区分(Ⅰ〜Ⅳ)に応じた要件(専門人材の配置、24時間連絡体制、協議会への定期的な参画等)を満たして市町村に届出を行う必要があります。求められる要件の組み合わせは区分ごとに異なります。

区分 障害児支援利用援助費 継続障害児支援利用援助費
機能強化型(Ⅰ) 2,201 単位/月 1,896 単位/月
機能強化型(Ⅱ) 2,101 単位/月 1,796 単位/月
機能強化型(Ⅲ) 2,016 単位/月 1,699 単位/月
機能強化型(Ⅳ) 1,866 単位/月 1,548 単位/月

なお、機能強化型を算定する事業所であっても、取扱件数40件以上の部分については、上記の通常型(Ⅱ)の単位数(障害児支援利用援助費815単位/継続障害児支援利用援助費662単位)が適用されます。取扱件数は、相談支援専門員1人当たりで「前6か月平均の支援対象保護者数÷相談支援専門員の平均員数」により算出し、40件未満の部分と40件以上の部分でそれぞれの単位を使い分けます。

児童発達支援・放課後等デイサービスと障害児相談支援の関係

児童発達支援・放課後等デイサービス事業者は、相談支援を直接行う立場ではない一方で、相談支援と現場運営は密接に関わっています。

①利用までの流れと相談支援の関わり

保護者が市町村に通所給付費の支給申請を行うと、原則として障害児支援利用計画案の提出を求められます。この計画案を作成するのが指定障害児相談支援事業者です。市町村は計画案を踏まえて支給決定し、受給者証が発行されます。

保護者が自ら計画案を作成する「セルフプラン」も認められており、その場合は相談支援事業者を介さずに支給決定が行われる場合があります。

セルフプランで複数事業所を併用するケースについては、令和6年度改定で新設された「事業所間連携加算」(児童発達支援・放課後等デイサービス側の加算)でカバーする仕組みが整備されました。

②サービス担当者会議への参加

障害児支援利用計画の作成・見直しに当たっては、相談支援専門員が「サービス担当者会議」を開催します。この会議には児童発達支援・放課後等デイサービス事業所も招かれ、現場の支援状況や課題を共有することが期待されます。

現場での具体的な支援目標や、お子さま・ご家族のニーズを相談支援専門員と共有する重要な機会です。

テレビ電話装置等の活用も認められているため、地理的・時間的制約があっても参加しやすくなっています。

③モニタリング対応

モニタリング(継続障害児支援利用援助)は、原則として市町村が定める標準期間ごとに実施されます。児童発達支援・放課後等デイサービス事業所は、現場での支援経過や家族との状況を相談支援専門員に共有することで、計画見直しの基礎情報を提供します。

実務上の注意点

障害児相談支援を運営する場合、また児童発達支援・放課後等デイサービスから関わる場合のいずれにおいても、押さえておきたいポイントを整理します。

①全額が給付費として支給される

障害児相談支援給付費は、報酬額の全額が給付費として相談支援事業者に支給されるため、保護者の自己負担はありません。この点が、自己負担が発生する児童発達支援・放課後等デイサービス等の通所給付費と異なる重要な特徴です。

②機能強化型を算定するためのハードル

機能強化型を算定するには、区分(Ⅰ〜Ⅳ)ごとに定められた要件を満たす必要があります。主な要件には、以下のようなものがあります(すべてを一律に満たす必要があるわけではなく、算定する区分によって求められる組み合わせが異なります)。

  • 常勤専従の相談支援専門員の配置(人員配置要件)。
  • 24時間の連絡体制の確保(主に区分Ⅰ・Ⅱで求められます)。
  • 現任研修修了者同行による研修、事例検討会への参加、支援困難ケースの受入等。
  • 協議会への定期的な参画、基幹相談支援センターが行う地域の相談支援体制強化の取組への参画。

上位区分ほど求められる要件が多くなるなど、区分に応じて要件は異なります。単独事業所で要件を満たすことが困難な場合は、複数事業所が協働で体制を確保することも認められています。

③児童発達支援・放課後等デイサービスとの兼業を検討する場合

児童発達支援・放課後等デイサービス事業者の中には、自法人で指定障害児相談支援事業所を併設するケースも増えています。お子さまの利用の入口段階から自法人内で一貫して関われるメリットがある一方、公正中立性の観点で留意すべき点もあります。

運営基準上、相談支援は「サービス提供主体から実質的に独立した事業所であること」が強く望まれています。

自法人の児童発達支援・放課後等デイサービスへの誘導と受け取られないよう、保護者への選択肢の提示、サービス担当者会議の中立的な運営など、運用面での配慮が不可欠です。

④取扱件数の管理

基本報酬は「取扱件数」によって単価が変わる仕組みです。事業所として収益と支援の質のバランスを取るためにも、相談支援専門員1人当たりの担当ケース数を定期的にモニタリングする運用が重要です。

  • 取扱件数は「前6か月の平均値」で計算されるため、新規受入や担当変更があった月は変動を見越して管理することが必要です。

【Q&A】実務で迷いやすいポイント

Q1. 計画相談支援給付費と障害児相談支援給付費は何が違うのか。

A1. 対象者と根拠法令が異なります。計画相談支援給付費は障害者総合支援法に基づき、主に18歳以上の障がい者が対象でサービス等利用計画を作成します。障害児相談支援給付費は児童福祉法に基づき、児童発達支援・放課後等デイサービス等の障害児通所支援を利用する障害児が対象で障害児支援利用計画を作成します。両者を一体的に運営する事業所も多く、その場合は取扱件数を合算して算定します。

Q2. 児童発達支援・放課後等デイサービス事業所が自法人で障害児相談支援事業を始めるべきか。

A2. メリットとデメリットがあります。メリットとしては、自法人で「入口」を担えること、家族との関係構築が早期から可能であること、地域のニーズを直接把握できることが挙げられます。一方で、公正中立性の確保や、専門人材(相談支援専門員)の採用・育成、機能強化型であれば算定する区分に応じた要件(区分Ⅰ・Ⅱでは24時間連絡体制等)の整備が必要となる場合があります。求められる要件は区分ごとに異なります。地域の相談支援資源の不足状況も踏まえ、戦略的に検討することが重要です。

Q3. セルフプランの場合、児童発達支援・放課後等デイサービス事業所はどう関わるべきか。

A3. セルフプランで複数事業所を併用しているケースについては、令和6年度改定で新設された「事業所間連携加算」が活用できます。市町村から「コア連携事業所」として依頼を受けた事業所が中心となり、事業所間の情報連携を行うことで算定可能です。相談支援専門員が介在しない分、事業所間での積極的な連携が不可欠です。

※出典:こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」(児報酬告示・実施上の留意事項)https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/hoshukaitei

※出典:厚生労働省「児童福祉法に基づく指定障害児相談支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成24年厚生労働省告示第126号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab2684&dataType=0&pageNo=1

まとめ:地域に選ばれる事業所を目指して

障害児相談支援給付費は、児童発達支援・放課後等デイサービス事業者にとって直接の収入源ではないものの、地域の相談支援事業者との連携を深めることは、安定した利用者紹介や質の高い支援提供につながる重要なテーマです。自法人での相談支援事業の併設や、機能強化型の算定要件への対応、セルフプラン併用ケースへの対応設計などについて不安がある場合は、専門のコンサルティングを活用することも一つの手です。

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執筆者 : 石川 善大

大学卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。 児童発達支援・放課後等デイサービス事業のコンサルティングに従事し、新規参入から運営安定化までを一貫してサポート。 特に、学校法人や社会福祉法人による児童発達支援の新規立ち上げサポートを強みとする。