いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の松本です。
保育園を経営されている方に関しましては日々、園の運営や職員の採用活動にご尽力されていることと存じます。
昨今、「求人を出してもなかなか集まらない」「採用の難易度が年々上がっている」「せっかく採用した保育士が日々の業務の多さで離職してしまう」と実感されている経営者様も多いのではないでしょうか。
実際に厚生労働省の一般職業紹介状況等のデータによると、直近の保育士の有効求人倍率は令和8年4月時点で2.54倍となっており、全職種平均(1.12倍)と比べても依然として高く、人材の奪い合いが激化する超売り手市場が継続しています。
こうした厳しい環境下において、現場の保育士の業務負担を劇的に軽減し、残業や過重労働をなくして安心して長く笑顔で働き続けられる環境をいかに作るか。
これこそが、今後の安定した園運営における最優先の経営課題と言えます。。
一方で、多くの保育園・幼稚園の経営者様とお話しする中で、もうひとつの切実な想いや悩みを耳にします。
「今、園で大切にお預かりしている障がいを持つ子どもたちは、卒園し、18歳を超えて大人になったとき、一体どこでどのように働いて生きていくのだろうか?」
現場の保育士を支える働き方改革と、今目の前にいる子どもたちの未来を守ること。 この2つの課題を同時に解決し、かつ法人の経営基盤を強固にする戦略として、今大きな注目を集めているのが就労継続支援B型事業への参入・多角化戦略です。
現代における障がい者の現状と社会的背景
「障がい」と聞いて車椅子などの身体障がいを第一にイメージされる方も多いかもしれません。しかし、現在の国内においては労働人口が年々減少する一方で、障がい者の総数は増加傾向にあり、令和5年時点のデータでは全人口の約9.2%を占めています。
特に増加が著しいのが、知的障がいと精神障がいです。
保育現場でも、発達の遅れや知的障がい、発達障がいを持つお子さんをお預かりする機会が増えている実感があるのではないでしょうか。知的障がい者の数は年々増加傾向にあり、療育手帳の交付数も右肩上がりで増えています。幼児期・児童期に手厚く見守られてきた子どもたちが18歳を迎えた際、社会に出てどのように働いていくかという就労の受け皿の確保は、ご家族にとっても極めて深刻なテーマとなっています。
また、精神障がい者の増加も顕著であり、その約6割が65歳未満の現役世代です。生まれつきの障がいに限らず、過度なストレスによる精神疾患や不慮の事故など、後天的に障がいを持つケースも決して珍しくありません。
身体障がいだけでなく、知的障がいや精神障がいも含め、誰もが当事者となり得る時代において、一人ひとりの特性に応じた日中の活動拠点や働く機会を提供する障害福祉サービスの社会的必要性は、これまで以上に高まっています。
就労継続支援B型とは
「そもそも、就労継続支援B型と保育園にどんな関係があるのか?」と思われるかもしれません。
就労継続支援B型とは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つで、一般企業等で働くことが困難な障がいを持つ方々に、働く機会や日中の活動場所を提供する事業です。
就労継続支援B型事業所を利用されるのは、主に18歳以上の障がいを持つ方々です。
近年では、特に知的障害の方や、精神障害・発達障害の方の利用割合が増加傾向にあります。 手先が器用で丁寧な作業が得意な方、決まった手順を正確にこなすことが得意な方など、一人ひとり多様な特性や得意分野を持っています。
一般企業との雇用契約を結んで働く就労継続支援A型や一般就労とは異なり、就労継続支援B型では雇用契約を結びません。そのため、最低賃金が適用される給与ではなく、作業の成果に応じて工賃(こうちん)が支払われます。
工賃の目安は、全国平均では時給換算で200円〜300円程度(令和6年度平均工賃は月額24,141 円)ですが、各事業所が取り扱う作業内容や利益率に合わせて柔軟に設定することができます。
また、週1日~や1日2時間~など、利用者様自身の体調やメンタル面に合わせて無理なく出勤ペースを調整できます。
しかも、就労継続支援B型は基本的に日中の時間帯(10:00〜15:00等)で完結するため、夜間対応や宿直などは一切発生しません。そのため、既存の保育園経営の傍らでも、無理なく両立・管理ができるという大きな特徴を持っています。
保育現場の周辺業務を就労継続支援B型のお仕事へ切り出す仕組み
保育士の負担を重くしている最大の要因は、日々の清掃、掲示物の制作、行事の小道具準備といった保育以外の周辺業務にあります。自法人で就労継続支援B型事業所を立ち上げることで、これらの業務を障がいを持つ方々への大切なお仕事としてお任せする仕組みを作ることができます。
| 保育士が抱える主な周辺業務 | 就労継続支援B型事業所へのお仕事としての委託・切り出し例 |
|---|---|
| 園内の美化・環境衛生 | 園庭の落ち葉掃き、おもちゃの定期消毒、教室・廊下・トイレ清掃 |
| 教材整備・手作り作業 | 季節ごとの壁面掲示物制作、行事小道具の制作、壊れた絵本・おもちゃの修繕 |
| 各種事務・広報サポート | 園だよりの印刷・折込・封入作業、備品チェック・在庫管理、SNS投稿 |
保育×就労継続支援B型がもたらすシナジー
保育事業者が就労継続支援B型事業に取り組むことで、単なる業務の外注にとどまらない、経営面・社会面の双方で相乗効果が生まれます。
1.保育士の業務負担軽減(定着率&採用力の向上)
雑務から解放された保育士が、本来の子どもと向き合う保育業務に専念できる環境が整います。残業削減による離職防止はもちろん、求人活動においても、「保育業務に没頭できる園」として強力な差別化ポイントになります。
2. 自園業務の切り出しによる仕事不足リスクの回避
一般的なB型事業所が参入時に最も苦戦するのが利用者に提供する仕事の確保です。民間企業から作業を受注しようとしても、なかなか受注できなかったり、景気によって作業量が大きく変動したりする課題があります。しかし、保育園・幼稚園を運営する法人であれば、自園の中に日々の業務という形で常に豊富な作業が存在するため、開所初期から年間を通じて、作業量の変動に悩まされることなく安定して提供できます。
3. 園で育った障がいを持つ子どもたちの未来の居場所づくり
幼少期に自園で育った子どもたちが、大人になったときに誇りを持って安心して働ける環境を自法人で用意することができます。成長を見守ってきた法人だからこそ、ご家族にも絶大な安心感を提供できます。
4. 法人本部の法定雇用率達成と法人のイメージ向上
障害者法定雇用率が段階的に引き上げられる中、就労継続支援B型事業所でしっかりと訓練を重ね、スキルを高めた優秀な利用者様を、将来的に保育法人の本部や各園の障害者雇用枠として直接雇用へとステップアップさせることが可能です。これにより法定雇用率を無理なく達成できるだけでなく、地域住民や自治体からの信頼や法人のイメージ向上にも寄与します。
まとめ
「保育士が集まらない」「現場が雑務で疲疲している」「預かっている障がい児の将来が心配」など、これらの悩みは、決して個別の問題ではありません。発想を少し転換し、保育×就労継続支援B型という掛け合わせを行うことで、今ある課題の解決へと近づくことができます。
保育×就労継続支援B型は、保育士を助け、園の経営を安定させ、さらに子どもたちの未来も創る、発想の転換による多角化戦略です。
「なぜ就労継続支援B型事業は安定した経営が可能なのか?」 「参入に必要な条件やスケジュールはどうなっているのか?」といった具体的な事業モデルや収支構造の秘密、具体的な始め方や成功事例は、本レポートにまとめております。ぜひこの機会にダウンロードいただき、貴法人の多角化戦略にお役立てください。
【保育園経営者様向け】 就労継続支援B型スタートガイド
このような方にオススメ
●障がいを持つお子さんの将来の「働く場所」をつくりたい方
●職員の業務負担軽減を進めたい方
●福祉領域の多角化・多機能化経営を推進したい方
●就労継続支援B型の立ち上げに興味がある方
●保育士の採用難にお悩みで、今いる職員の負担を減らして定着率を上げたい方
是非本レポートをご一読ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。









